魚籃坂下の「和食 哲茶ん(わしょく てっちゃん)」。白金高輪駅から歩いて4-5分の場所に位置し、「美味しい手打ちそばと新鮮な魚を提供する和食店」として地元民に愛されています。
店内はカウンターが数席にテーブルがいくつかあって、奥の空間は個室としても使えそう。管谷哲也シェフは生まれも育ちも麻布十番であり、 銀座の和食店などで腕を磨き、蕎麦屋でも経験を積んだ後に当店を開業したようです。
アルコールは日本酒が充実しておりグラスで千円弱。私がお邪魔した際はフグのヒレ酒の用意があったので、つぎ酒と共に無限にチビチビやらせて頂きました。
お通しはお浸しで、ベースのお出汁に骨格があり美味。今後の展開に期待を抱かせます。
サラダは野菜の質が高く、素材本来の味が濃い。トマトなんて果物のようである。加えて自家製のドレッシングにも妙味があり、ベジファースト族歓喜の瞬間です。
お造りは天然物の魚を用いており、昆布締めから炙りまでタネにあった工夫がなされています。東京で質の高いノドグロを食べることができるのは珍しい。
甘鯛のカブト焼き。頭部周辺の身や皮目を味わうことができ、特に皮下の脂が加熱されることで甘みと旨味が際立ちます。それほど可食部は多くなく、食事というよりもツマミに近いひと品です。
鶏の塩焼き。皮目がパリッと香ばしく、中はジューシーで旨味が凝縮されています。焼鳥屋のそれとはまた違った魅力がある。もうちょっと量があると嬉しいな。
〆はもちろん自家製の蕎麦。契約生産者からの蕎麦を天然水で手打ちしており、香りと甘味が心地よい。つゆや辛味大根などの質も良く、専門店に勝るとも劣らない完成度の高さです。
以上を食べ、そこそこ飲んでお会計はひとりあたり1.5万円ほど。暴騰に暴騰を重ねる東京和食界隈においては良心的な価格設定であり、シェフの顔も見える料理で居心地良し。蕎麦は必食、かつ、数量限定なので、予約時にあらかじめ相談しておくと良いでしょう。

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日本料理は支払金額が高くなりがち。「飲んで食べて1万円ぐらいでオススメの日本料理ない?」みたいなことを聞かれると、1万円で良い日本料理なんてありませんよ、と答えるようにしているのですが、「お前は感覚がズレている」となぜか非難されるのが心外。ほんとだから。そんな中でもバランス良く感じたお店は下記の通りです。
- 乃木坂しん ←肝臓を整えてからどうぞ。
- かどわき/麻布十番 ←トリュフ!トリュフ!トリュフ!
- しのはら/銀座 ←予約困難となって当然だ。
- おぎ乃/赤坂 ←赤坂にミラクルな店が爆誕しました。
- 割烹 新多久(しんたく)/村上(新潟) ←魚は新鮮さが全てではない。
- 一本杉 川嶋(いっぽんすぎ かわしま)/七尾(石川) ←能登半島にゴールデンルーキー現る。
- 御料理 一燈(いっとう)/福井 ←福井に来る機会があれば必ず予約を入れましょう。
- 比良山荘(ひらさんそう)/湖西(滋賀) ←鮎をたらふく食べ、熊肉に舌鼓を打ち、マツタケをザルのように食べてこの支払金額はお値打ち。
- 木山(きやま)/ 丸太町(京都) ←京都で一番好きなお店。
- カモシヤ クスモト/福島(大阪) ←独学でもトップに立ててしまうのか。
- 島之内 一陽/難波 ←カジュアル日本料理の最高峰。
- みつき/鳥取駅 ←この質のカニをこの価格で提供できるのは地の利。
- 馳走 卒啄一十(ちそう そったくいと)/広島市 ←中国地方、いや日本全体を含めてもトップクラスに好きな日本料理店。
- 御料理 まつ山/黒崎(北九州) ←北九州の旅程に是非とも組み込みたいお店。
- 日本料理 幸庵/藤沢 ←こちらも費用対効果が素晴らしい。ミシュラン三ツ星って実はお買い得?