浜名湖産の鰻と静岡の地酒を提供する「うなぎ藤田(ふじた)」。浜松の老舗の鰻料理専門店の東京支店であり、プラチナ通りのお洒落なビル3階に位置します。浜松には2店舗を構えており、初代が行商から始め、二代目が養鰻場を設立し、三代目が店を構え、四代目が東京へと進出するという事業の変遷を経ているようです。
鰻屋さんとしてはかなりの広さであり、空間使いも贅沢です。テーブル席のほか、焼き台かぶりつきのカウンター席、個室も用意されており、接待にも使えます。プラチナ通りに面した窓が大きく、ランチタイムの外光も気持ちよさそうです。
お店の高級感に比べると飲み物の値付けは良心的で、ビールの中瓶は800円、日本酒も1合で千円前後です。何でもない焼鳥の中瓶が1,100円もすることを考えると優しい世界です。
まずはツマミに「う作」を注文。鰻の蒲焼きとキュウリを合わせ、酢の効いたさっぱりとしたタレで和えています。鰻の濃厚な旨味と脂の甘味が、キュウリのシャキッとした食感と良く合います。
まずはツマミに「う作」を注文。鰻の蒲焼きとキュウリを合わせ、酢の効いたさっぱりとしたタレで和えています。鰻の濃厚な旨味と脂の甘味が、キュウリのシャキッとした食感と良く合います。
続いて「きも焼」。独特のほろ苦さと濃厚な旨味が口に広がり、噛むほどに深いコクが現れます。タレの甘辛さが肝の風味を引き立て、香ばしい焼き加減が飲みベを煽ります。「きもの天麩羅」は、鰻の肝を天ぷらにしたという、ありそうで無いひと品です。肝のネットリとした食感が熱でまろやかに変化し、外の衣の軽い歯ごたえと対比を成します。鰻料理の新たな一面だ。
主役の「うな重」。サイズは色々あって、今回は「山」でお願いしました。関東風に背開き素焼き、深蒸し上げ。甘さ控えめで上品な味わいのタレを塗布して炭火でジューシーに焼き上げます。表面は香ばしく、中はふっくら。脂はわざとらしくなく思いのほかサラっとしており、重すぎないのがいいですね。ゴハンとの相性も抜群です。
「きも吸い」も付きます。きちんと肝も入っており、澄んだ繊細なスープに肝のほろ苦いコクが溶け合います。三つ葉の風味が心地よいアクセント。
お漬物は恐らく自家製で、脇役ながら輝くひと品。鰻の濃厚な味わいを引き立て、口をさっぱりリセットする効果が抜群です。以上を食べ、軽く飲んでお会計はひとりあたり1万円強。料理そのもののレベルの高さは当然として、この高級感のある空間と接客レベルを考えれば悪くない費用対効果です。都内の有名店に勝るとも劣らない味わいなのに、割と空いているのが良いですね。予約なしでも全然フラっと入れるし、突発的な会食にも耐え得る。実に使い勝手の良いお店です。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。