焼鳥 鈴音(やきとり すずね)/六本木

六本木の明治屋の裏あたりの雑居ビル2階にある「焼鳥 鈴音(やきとり すずね)」。焼鳥と中国料理の融合を図る興味深いコンセプトのお店です。シェフは20年以上、中国料理の世界で活躍したのち、恵比寿の「喜鈴」で焼鳥の腕前を磨いたそうです。
なのですが、当店は料理がどうのこうの言う以前に、お客様をお迎えする準備が全く整ってないですね。ホールのおぢはすげえ感じ悪く、かと思ったらシェフがドリンク場でホールのおぢを怒鳴りつけており大変キマG。ライブ感は抜群だ。

もちろん気のきかないホールを叱り飛ばしたい気持ちはわからないでもないですが、あの席数をひとりでサービスさせて回らなくなるなんて予見できたことでしょう。計画性の無さに因る機能不全を末端のスタッフのせいにするのは如何なものかと思います。
飲み物の注文は卓上のQRコードから。客単価1万円を超える店でこのロマンの無さ。安居酒屋やファミレスじゃあるまいし、当店は何処を目指しているのでしょうか。ある程度高価なお店であれば会話がきっかけでスタッフにファンが付くことも多いのに、お店自ら顧客との接点を放棄しており非常に勿体ない。
気を取り直して食事に参ります。イマドキの中華前菜であり、いずれも悪くない味わいです。ところで床の仕上がりが悪いのか、おぢが近くを通るたびにイスが傾いて床がギシギシ言います。
サラダは普通のサラダです。普通に美味しいのですが、この客単価で、このような名前の無い料理を出す神経がわかりません。

ところで、いちおう客の前だからと気を使っているのでしょうか、シェフがおぢを叱る際は顔を近づけ小声で語り掛けているようです。その様はタイトル戦直前の亀田三兄弟のメンチ切りに近いものがあり、あと数センチでキッスできてしまう距離感です。近い近い。
エビ蒸し餃子。プリプリのエビがジューシーで、薄い皮から透ける旨味が愛おしい。ただし、くどいようですが、おぢが近くを通るたびにイスが傾いてギシギシ言います。
焼鳥に入ります。まずはモモ肉で、当店は比内地鶏を用いているとのこと。ちなみに卓上には自家製の調味料(香辣醤、椒麻醤、沙茶醤)が用意されており、焼鳥に付けて味変を楽しむスタイルなのですが、結局どれも似たような味覚となってしまうので、使いどころが難しいです。
まるはつ。ジューシーで肉汁が溢れ、噛むほどに濃厚な旨味が広がります。焼き加減も程よく、プリッとした食感が堪りません。
せせり。コリッとした食感と濃厚な旨味が魅力的なのですが、おぢがグラスを下げようとする際、だらしなく乱れたシャツの袖口がソースに付きそうでヒヤヒヤしました。そういうところだぞ。ギシギシ言わすなよ。
ふりそで。焼き加減が絶妙で、しっとりした食感と深い旨味、甘みのある脂が口に広がります。ギシギシ。
芽キャベツ。普通に美味しいのですが、単に芽キャベツを半分に切って焼いただけであり、串物6本中の1本を担わせるには荷が重いと思料。
レバー。半生でトロトロ。濃厚な旨味とクリーミーな舌触りが心地よく、柔らかく溶けるような食感にメタリックな旨味が堪りません。

以上を食べたところで明らかに店が回っておらず、またシェフがパッキパキにキレており、店内のムードが明らかに険悪だったので切り上げて退散することに。軽く飲んで腹は3分目でお会計はひとりあたり8千円ほどだったので、普通に飲み食いすれば2万円近くを要したことでしょう。

私が責任を持ってお勧めしません。もし私の友人がこの店の門をくぐろうとするならば、私は積極的にそれを止めます。

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焼鳥は鶏肉を串に刺して焼いただけなのに、これほどバリエーションが豊かなのが面白いですね。世界的に見ても珍しい料理らしく、外国人をお連れすると意外に喜ばれます。
素人にとっては単に串が刺さった鶏肉程度にしか思えない料理「焼鳥」につき、その専門的技術を体系的に記しています。各名店のノウハウについても記されており、なるほどお店側はこんなことを考えているのかという気づきにもなります。