おでん六助(ろくすけ)/壺屋(那覇)

壺屋にある老舗のおでんスナック「おでん六助」。1964年創業と、那覇における老舗オブ老舗であり、地元の方々に長年愛されてきた名店です。我々は2次会としてお邪魔しました。
店内は鮮やかな朱色が支配的であり、10席ほどのカウンター席にテーブル席がいくつか。思いのほか広々としており、席間にもゆとりがあります。ドラムセットにマイクスタンド、ギター、三線なども用意されており、スナックというよりもミュージックバーのような誂えです。
ビールやサワー、ハイボールなどはいずれも400-500円といったところ。ただしゲストの多くは常連客であり、泡盛などをボトルでキープしている方が殆どでした。壁に並ぶキープボトルの名前は「ヒガ」「タマキ」「ギマ」「キンジョウ」「チネン」「オオシロ」と地元感満載で、同じ苗字をどうやって管理しているのやら。
自慢のおでんは写真の1皿で千円ポッキリ。てびち(豚足)に大根、ウインナー、豆腐、葉野菜に昆布、たまご、ちくわ、じゃがいも、こんにゃくと沖縄らしいラインナップであり、このボリューム感で千円とは自炊するよりも安い。こんなにシッカリとおでんを食べたのは「おでん東大」以来かもしれません。
スタッフからリモコンとマイクが回ってくるのですが、先客が歌うのは半分が沖縄のもので、残りは70-90年代の歌という印象。念のためリモコンの履歴を確認するのですが、知らない曲も多い。
個人的には「可愛くてごめん」を高嶺のなでしこバージョンで振りを入れてきたので披露したく、また、「かわいいだけじゃだめですか?」からB小町を数曲流しつつ「アイドルライフスターターパック」で現場を盛り上げ「わたしの一番かわいいところ」で〆ようと目論んでいたのですが、当店の50-70代を中心としたオーディエンス向きではないと作戦を変更しました。
けっきょくチキって「真夏の果実」「もう恋なんてしない」「夏を抱きしめて」と昭和の忖度ソングでお茶を濁します。それでもスタッフはドラムを叩いてくれ、他のゲストたち(全くの他人)からは掛け声も頂戴し、手拍子と指笛でテンションをあげぽよして下さいました。県外客に対しても優しい世界。
1時間強滞在し、数曲歌っていくらか飲み食いし、お会計はひとりあたり2-3千円といったところ。これはすごい、普通のカラオケに行くよりも安い。これは今後も積極的に活用したく、次回からはボトルを入れることにしよう。
また、指笛は盛り上がるだけでなく災害時にも有用なので、真面目に練習しようと心に決めた夜でした。

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Le Studio(ル ストゥディオ)/代々木公園

代々木公園交番前の交差点に佇む「Le Studio(ル ストゥディオ)」。久しぶりに心から気に食わないレストランにエンカウントしたので、そういった荒っぽい記事が苦手な方は今のうちにそっ閉じして下さい。
店内は壁一面がガラス張りとなっておりインパクト絶大(写真は公式ウェブサイトより)。我々はディナーにお邪魔しましたが、ランチタイムであれば代々木公園の気持ちの良いグリーンが目に飛び込んでくることでしょう。
ハコは悪くないですが、サービスの性能は非常に低い。全員体入なのかフランス料理店として当たり前の対応すら不調なレベルです。例えばこのワインのことを「ブルゴーニュのクローズエルミタージュ」という謎製品に仕立て上げた上、グラスを使い捨てナプキンの袋の上に置き、すげえグラグラさせてきました。お前これ気にならないの?
アミューズにつき「12年熟成させたコンテチーズを練り込んだグジェール」という特級呪物をぶちかましてきました。パテについての説明も「これは岩中豚というお高い豚を使っておりまして~」と、ボキャブラリーの程度が草を通り越して森です。
ヒラメをどないかしたものとマッシュルームなのですが、「この無農薬のマッシュルームは無農薬で栽培しておりまして~」と謎のトートロジーが繰り広げられ四捨五入進次郎。ちなみに肝腎の味ですが、披露宴の干からびた前菜のようなニュアンスが感じられました。
パンについては「無料でおかわりできますので~」と、他所のフランス料理店とか行かないのかな、いや勿論その通りではあるのかもしれませんが、やはりところどころ言葉選びのセンスが変です。
フォアグラのポワレも披露宴風の仕上がりであり、からあげクンレッドのほうが余程美味しい。こんなことなら無理にフォアグラなんて難しい食材を取り扱わなければ良いのに。
魚料理もやはり退屈な味わいです。ジャガイモを用いてウロコに見立てているそうですが、緻密にパッとしない料理を作るよりも、ざっくりと美味しい料理を作る時代が来れば良いのに。
メインは鳩をチョイス。肉そのものは悪くなく、前述のブルゴーニュのクローズエルミタージュに良く合います。「リゾットは、ポルチーニというクセの強いキノコを使っておりまして~」と、いちいち言葉選びが変。クセ強いのお前だから。また、デザートのことを「デセール」、チーズのことを「フロマージュ」と呼ぶくせに、どうしてポルチーニはポルチーニ、マッシュルームはマッシュルームなんだという引っ掛かりもあります。
自慢の「フロマージュ」は左からゴルゴンゾーラ、ブリ、コンテと、学生の宅飲みのように貧しい。こんなに有害無益なラインナップを薄く薄く丁寧に盛りつけた店は有史以来はじめてかもしれません。
こちらは自慢の「デセール」で、「今が旬のイチゴを使っています!」と大いばり。いやイチゴの旬って本来は初夏だから。いま大寒波来てるから。
以上を食べ、ワインを「マリアージュ」してもらってお会計はひとりあたり2万円弱。完全にダメな披露宴料理であり、サービスのレベルも駅前でADSLを配ってる方々と大差ありません。これなら「俺のビストロ 渋谷」のほうが断然レベルは高く、支払金額は3分の1程度で済みます。

今回は店を咎めることばかり記載してしまいましたが、それだけ私も辛い思いをしました。どうにも物足りないので、このあと餃子を食べて帰りました。そのとき傘を無くしました。

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「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
日本フレンチ界の巨匠、井上シェフの哲学書。日本でのフレンチの歴史やフランスでの修行の大変さなど興味深いエピソードがたくさん。登場する料理に係る表現も秀逸。ヨダレが出てきます。フランス料理を愛する方、必読の書。

なかよし食堂/石垣島

石垣島で最も有名な食堂のひとつ「なかよし食堂」。ロゴの「な」と「よ」の穴あき部分がハートになっておりかわちいです。1968年創業と歴史は古く、食べログでは百名店に選出。軒先に駐車場はありますが埋まりがち、かつ、難しくもあるので、近場のコインパーキングなどを利用するのが無難です。
店内は古き良き沖縄の食堂そのもの。ゲストは地元民も観光客もごちゃ混ぜで、店のオバチャンも慣れているのか、分け隔てなく接してくれます。昼食時は行列ですが、ピークタイムを外せばガラガラです。
店のオバチャンから「人気は八重山そば」との案内があったので、そのまま注文すると、1分もしないうちに供されました。スープは豚骨主体でコクがたっぷり。醤油の風味もきいており、思いのほかパンチのある味覚です。
お肉は豚で、しっかりと煮込まれており味が強く麺が捗ります。麺は黄色がかった中太ストレートの丸麺で、八重山そばの王道といったスタイル。本当のそれに比べると噛み応えが乏しいですが、このあたりの好みは人それぞれでしょう。
こちらは「ゴーヤーちゃんぷる」。自動的にライスとお椀も付随します。先の「八重山そば」は600円、こちらは800円と懐に優しい。
ゴーヤーを主役にランチョンミートや豆腐、卵などの様々な食材を炒め合わせた沖縄を代表する家庭料理。ちょっとマヨネーズが入っているのかなあ、独特の酸味が感じられ、アクセントとしてちょうど良かった。
以上の合計が1,400円と大変良心的な価格設定。いずれの料理も定番の美味しさで、毎日お邪魔しても食べ飽きない魅力が感じられます。隣のオジィが食べていた「やきそば」もすげえ旨そうだったなあ。八重山そばを用いたもので、肉や野菜がたっぷり組み込まれたものでした。

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間の悪いことにバンコクにいます。

間の悪いことにバンコクに居ます。その時わたしは「ハイアット プレイス バンコク スクンビット1(Hyatt Place Bangkok Sukhumvit 1)」の7階で仕事をしており、かなり長い揺れではあるものの震度は3から4といったところかな、と甘く見ていたのですが、スタッフからジャンジャン電話かかってくるわ非常ベルまで鳴るわで、いったん建物の外に追い出される運びとなりました。
外に出ると避難民は軽い躁状態で、パニックでぶっ倒れて介抱されているオバチャンまでいました。もちろん耐震基準が日本とタイでは大きく異なるので、良くも悪くも地震慣れしている日本人は逆にどうリアクションすれば良いのか困るところです。私はバンコクで救急車で運ばれ入院したこともあり、タイではトラブル続きである。
しかし数十分もすると「そろそろ大丈夫じゃね?マイペンライじゃね?」という雰囲気になり、三々五々に解散。なんせ屋外は37℃の酷暑だ。階段で7階の部屋までに戻り人心地つくと、なるほど壁にしっかりと壁に亀裂が入っていました。ちーん。当館はまだ開業したばかりだというのに。
日も傾きかけたので、今夜の飲みに行く予定の友人に連絡を取ると、何とも余裕のある回答。阪神・淡路大震災も東日本大震災も生き抜いてきた我々は覚悟が違うのだ。人はそれを生存者バイアスと呼ぶ。
再び外に出ると、屋外に避難していた人々の代わりにとんでもない渋滞が生じていました。グレーター・バンコクは1,300万人の人口を誇るというのに都市計画が全くお粗末で(魚の骨のように大通りから支流が伸びており、その支流は全て行き止まりというクソ設計)、道路は完全に動脈硬化の様相を呈しています。
BTS(高架鉄道)も早々に店じまいし、為す術なく座り込む者が後を絶ちません。
示し合わせたようにMRT(地下鉄)も運航を停止しており、帰宅困難者が続出。ただし東日本大震災の時と違って夜になっても25℃超えは当たり前、野宿上等な気候なので、どこかのんびりとした雰囲気も漂います。
覚悟を決めて徒歩で移動する者も多く、車やバイクはもちろんのこと、歩行者ですら渋滞が生じています。帰宅を諦めた勢は明るいうちから飲み始め、そこらじゅうの飲食店が謎に大繁盛していました。
我々がお邪魔したレストランも何事もなかったかのように営業しており、20時を過ぎるともう満員。連れは明日に日本に向かうとのことで、私も社会活動が麻痺したバンコクを諦め別天地へ発つことを決意しました。
翌朝はGrabでスワンナプーム空港へ向かうのですが、呼んでから7-8分でホテルまで車が来、空港までは高速道路を使って42分で到着しました。何ならいつもよりもスムーズなぐらいである。
空港に着いても混乱は見られず、派手な遅延や欠航は見当たりません。「昨日の地震すごかったねー!」的なテンションの人も居なかったような気がします。
試しに空港から市内へ向かうタクシー乗り場を覗いてみると、ごくごく普通の光景、というか割にヒマそうでした。昨夜は陸軍が動き出し、空港から市内への臨時バスを出していたとは思えないほどの静けさです。
空港から市内へ向かう高速鉄道である「エアポート・レール・リンク(Airport Rail Link, ARL)」も普通に稼働していました。なお、この投稿が公開されている頃にはバンコクに居ないため、続く情報を得ることはできないのであしからず。

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ハイアット プレイス バンコク スクンビット1(Hyatt Place Bangkok Sukhumvit 1)/プルンチット(バンコク)

今回のバンコクは開業したばかりの「ハイアット プレイス バンコク スクンビット1(Hyatt Place Bangkok Sukhumvit 1)」に滞在。場所はスクンビット ソイ1の奥の奥。私が入院したことのある「バムルンラード国際病院」のすぐ裏です。BTSプルンチット駅から歩いて15分ほどですが、道がガタガタで歩きづらいので、ガラガラを曳いて歩いては向かえないのでご注意を。また、Sukhumvit Soi 24に同シリーズのホテルがあるので間違いのないよう気を付けましょう。
ロビーはオフホワイト一色で、大規模な美容クリニックのような雰囲気。チェックイン手続きを進めていると、明らかにシュっとしたボスみたいな方が登場し、わざわざお部屋までご案内下さいました。「ハイアットプレイス」シリーズはちょっと高いビジホ程度の認識だったので、高級ホテルのような接客にどぎまぎします。
私はグローバリスト(ハイアットの最上級会員)なので、一番安い予約をしていたのにも関わらず、いくらかお部屋をアップグレードしてくれたようです。広さは30平米ほどでしょうか、このクラスの部屋に1万円かそこらで滞在できるのだからタイは大好きだ。
きちんとしたソファやワーキングデスクもあり、ネットの速さも充分で仕事の作業としては完璧。また、壁に沿った長い長い机は何でもポイっと仮置きでいるので、何かと便利です。
寝具は一般的なハイアットプレイスのものといった印象で、さすがに「ハイアットリージェンシー」などの高級ラインのクラブフロア的な寝心地の良さはありませんでした。
スーツケースをバカっと開く置き場も大きく使い勝手良し。冷蔵庫の中は空っぽですが、瓶入りのミネラルウォーターが6本も用意されていました。また、追加のアメニティはQRコードから注文できるので便利です。
クローゼットは一般的な大きさです。冬場など厚手のコートなどを着る時期は不便かなと思いましたが、そういえばこの地は厚手のコートなどは必要としない気候でした。
ウェットエリアに参りましょう。ベイシンまわりが広々としており、やはり使い勝手が良いです。ただ、洗面所もトイレもシャワーもひとつの部屋に固められているので、複数人で滞在するには不便かもしれません。
バスタブは無くシャワーのみで、シャンプー類もディスペンサー方式と、こちらも一般的なハイアットプレイス方式です。シャワーの温度や水量は申し分ありません。
共用設備に参りましょう。当館にはグローバリスト向けのラウンジなどは無いため、代わりにドリンクチケットが支給されます。ロビー階にある売店で好きな飲み物をピックアップしテラス席でのんびり。ラウンジ乞食が集まりがちなカクテルタイムなんじゃななくて、こういうのでいいんだよ、こういうので。
フィットネスセンターの規模は小さいですが、客室数を考えれば仕方ないかもしれません。
屋上のプールも小さく、ガチで泳ぐというよりは子供が水遊びを楽しむ程度のサイズ感です。
朝食は1階ロビー奥にあります。09:30頃に訪れたためかゲストは殆どおらずガラガラでした。スタッフのオッチャンがニコニコしながら甲斐甲斐しく世話を焼いてくれるので、居心地はとても良い。
食事はビュッフェスタイルで、コンチネンタルブレックファストを中心に、タイ料理もいくつか用意されています。卵料理もその場でアレンジしてくれ、「Hyatt Place Waikiki Beach (ハイアット プレイス ワイキキ ビーチ)」のクソ朝食に比べると天地の差です。
私はサラダを中心に楽しむのですが、どことなくオリエンタルな味覚が感じられ、とても美味しい。野菜も新鮮だ。
卵料理はタイ式の特別なオムレツをお願いしたのですが、調味と造形がそうなだけで、具材は一般的なオムレツと同じものです。
ココナッツカレー的な麺料理の用意もあり試しにお願いしてみました。味は良いのですが辛味が異常に強く、内臓がついていけません。外人ばかりが泊まるホテルの朝食で、このような攻めた料理を出すとは見上げた根性である。
その後「間悪のいことにバンコクにいます。」で記した通り、大きな地震に見舞われました。その時わたしはホテルの7階で仕事をしており、かなり長い揺れではあるものの震度は3から4といったところかな、と甘く見ていたのですが、スタッフからジャンジャン電話かかってくるわ非常ベルまで鳴るわで、いったん建物の外に追い出される運びとなりました。
しかし数十分もすると「そろそろ大丈夫じゃね?マイペンライじゃね?」という雰囲気になり、三々五々に解散。なんせ屋外は37℃の酷暑だ。階段で7階の部屋までに戻り人心地つくと、なるほど壁にしっかりと壁に亀裂が入っていました。ちーん。当館はまだ開業したばかりだというのに。

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