2024年冬にマークシティ裏にオープンした「俺のビストロ渋谷」が思いのほか良かったので、今回は同じ渋谷にオープンした「俺のイタリアン 渋谷」にお邪魔します。場所は宇田川交番の近く、真新しいビルの2階。ちなみに3階には「俺のやきとり」が入居しています。
スタイリッシュなファミレスのような内装であり、たまたまかもしれませんが「俺のビストロ渋谷」よりも客層が若く感じました(写真は公式ウェブサイトより)。飲み放題があるためか手を叩いて大騒ぎするグループ客も散見され、雑な居酒屋のような雰囲気です。
名物の「俺の泡」は780円。その他のグラスワインも500-600円台のものが多く、ハイボールも700mlも入って680円と良心的な価格設定です。シャンパーニュの値付けなどはびっくりするほど安いのですが、誰も見向きもしません。「俺んちのサラダ」は所謂シーザーサラダであり、アンチョビの風味がきいているのが特長的。このボリューム感で780円というのも懐に優しい。
「黒毛和牛と鮮魚のハーフ&ハーフカルパッチョ」は2千円。このクオリティのブリと和牛を楽しんでこの支払金額は大変お値打ち。「カルパッチョとは本来は肉料理である」という示唆を若者に与えてくれているのも良いですね。
「牡蠣のグラタン」は想像していたよりも全くオシャレなものがやって来ました。焼き目の香ばしさがポイントで、表面はカリッと中身はジューシーで柔らかい。牡蠣の磯の香りがホワイトソースのまろやかさと絶妙にマッチします。
〆に「クロボナーラ」。いわゆるカルボナーラにイカスミとイカの身をぶちこんだものであり、味が濃く酒の進むパスタです。沖縄のイカスミ料理に通ずる味わいであり、暴力的な味覚です。「俺のビストロ渋谷」と同じ食後感で、昔の「俺の~」シリーズからは完全に生まれ変わった印象を受けました。大箱でこのクオリティの料理をテンポよく出しつつ値段を控えめに維持し続けるのは並大抵の企業努力ではないでしょう。ランチはより一層お値打ちだし、夜は飲み放題もある。サイゼリヤの上位互換として活躍できそうなポテンシャルを感じました。

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イタリア20州の地方料理を、その背景と共に解説したマニアックな本。日本におけるイタリア風料理本とは一線を画す本気度。各州の気候や風土、食文化、伝統料理、特産物にまで言及しているのが素晴らしい。イタリア料理好きであれば一家に一冊、辞書的にどうぞ。