京都市役所から歩いて数分の「シェ モア(Chez moi)」。コムデギャルソンの黒いビルのすぐ南の細い路地の奥の奥にあり、秘密基地な雰囲気が堪りません。食べログでは百名店に選出されています。
店内は思いのほか広く、テーブル席にカウンター席、テラス席まで用意されています(写真は一休公式ページより)。お手洗いへは一旦お外に出て中庭を抜けて行くのが素敵です。シェフとマダムのご夫婦で切り盛りされており、温かく家庭的な雰囲気が心地よい。
ワインの値付けは大変良心的で、例えばこのシャンパーニュはボトルで7,000円です。きょうびレストランでのシャンパーニュは1万円を切ることすら珍しいのに。まずは「ウニのフラン」。いわゆる洋風の茶碗蒸しであり、その優しい味わいとウニの濃厚な旨味が絶妙に調和します。ちなみに左下のチップは「コロナで暇なときに自分で金継ぎした」とのこと。何事にも器用なシェフである。
看板料理の「海の幸のゼリー寄せテリーヌ仕立て」。様々な海の幸が贅沢に使われており、たっぷりのお野菜と共に上手くゼラチンで寄せいます。見て美味しく食べても美味しい。量もたっぷりだ。
エスカルゴのクリーム煮。フランス料理の定番メニューで、エスカルゴ(食用カタツムリ)を濃厚なクリームソースで煮込んだものです。カタムツリと聞くとギョっとするかもしれませんが、要するにツブ貝のような食感であり、やわらかく、独特の歯ごたえを楽しみます。濃厚でコクがあるクリームソースもいいですね。オマール海老のスープ。入店した瞬間からプンプンに薫っていた料理はこちらでしたか。オマール海老の殻や身からとった出汁をベースに、クリームや野菜などを加えて煮込んだ濃厚で風味豊かなスープであり、甘く香ばしい風味が堪りません。
アワビのカフェドパリソース。アワビが中々の大きさと厚さであり、柔らかいながらも適度な歯ごたえ。カフェドパリソースとはハーブやスパイスをブレンドしたバターソースであり、ワビの持つ磯の香りと、カフェドパリソースの濃厚な味わいが絶妙に調和します。
メインは鹿児島の野鴨をチョイス。身が引き締まり、脂は上質で、濃厚な味わいが特長的。ムネ肉とモモ肉の両方が用意されており、特に後者はコンフィとして仕上げており、風味が凝縮されています。これぞフランス料理の醍醐味です。
デザートにはタルトタタンをお願いしました。飴色のキャラメリゼされたリンゴは蜜のように濃厚な甘さを持ち、口の中でとろけます。バターをたっぷり使ったタルト生地は、サクサクとした食感が特徴で、リンゴの甘さと絶妙なバランスを生み出しています。
食後のお茶の最中には、仕事を終えたシェフが何故かトランプマジックを披露してくれ、これが、楽しい。マダムもニコニコと見守っていてくれており、まるで親戚のおじさんの家に遊びに来たような和やかさがありました。しかもこれだけしっかり飲み食いしてお会計はひとりあたり1.7万円ほどなのだから恐れ入る。こういう親切で感じの良いお店は大好きだ。

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「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
- オトワ レストラン(Otowa restaurant) ←本気でフランスの料理文化に取り組んでいる。
- ガストロノミー ジョエル・ロブション (Joel Robuchon) ←やはり完璧。
- La couleur d'ete(ラ クルール デテ) ←選んだ孤独は良い孤独。
- アピシウス ←東京最高峰のレストラン。
- ナリサワ ←何度訪れても完璧。
- elan(エラン) ←表参道のナポレオン。
- 銀座 大石 ←自分が働くならこういう職場。
- ナベノイズム ←世界観がきちんとある。
- ル・マンジュ・トゥー ←接客は完璧。料理は美味そのもの。皿出しのテンポも良く、とにかく居心地の良いお店。客層も好き。
- エルヴェ(eleve) ←アラカルトでもコースでも自由自在。
- TAIAN TOKYO(タイアン トウキョウ) ←流行り廃りに捉われないマッチョな料理。
- アサヒナガストロノーム ←そこらのフランス料理店とは格が違う。
- エステール(ESTERRE) ←料理もサービスもパーフェクト。外せない食事ならココ。