熊の焼鳥(くまのやきとり)/中目黒

大阪で好評を博した会員制の焼鳥店「熊の焼鳥(くまのやきとり)」が東京に進出。2020年にオープンし、当面は特別に非会員でも予約可能としています。いずれは完全会員制への移行が予定されているとのことですが、早いもので、もう2025年である。
入口にはデジタルキー(?)的なロックがかかっており、西麻布のラウンジっぽい雰囲気を演出します。しかしながらピンポンを押せば誰でも開けてくれるようでもあります。店内はシックな内装で、「いぐち」系列に似た印象を受けました。
飲み物がお値打ち。写真の香るエールが770円と、このあたりの相場を考えれば良心的な値付けでしょう。日本酒はワイングラスにたっぷり注いでくれて千円とお値打ち。クリュッグは酒屋で買うよりも安いかもしれません。
まずは「とりたく」。鶏の胸肉を湯引きし、たくあんと一緒に合えました。ちなみに熊が出迎えてくれますが、トイレやおしぼり、グラスに海苔と店内は熊だらけであり、何か事情があるのかもしれません。
さっそく焼鳥。まずは「ももねぎ(ねぎま)」。ベーシックな味わいで、ベーシックな味わいがしました。
お口直しに大根おろしとしば漬けが用意されるのですが、なんかこう、拘りが感じられません。人工的な味がする。
コースとは別に「もも皮湯引き」を注文。七味(?)を上手く用いており面白い味覚です。
胸肉の幽庵焼き。味は悪くないのですがサイズがあまりにも小さいため、どうしても点検するような目で見つめてしまいます。
つくねは「日本一柔らかい」と胸を張るのですが、サイズの小ささと柔らかさ含めてレトルトのミートボールを想起させる口当たりです。塩味とタレ味をミックスでお出し頂いているそうですが割とどうでもいい。
サラダはほんのひと口で乳酸が溜まる。ドレッシングにはスイートコーンを用いており、しっかりと甘いのが興味深い。
せせり。鶏の首肉を使用した部位であり、その食感が特長的なのですが、いかんせんサイズが小さすぎてその美点を活かしきれていませんでした。
ハツモト。心臓につながる大動脈の付け根部分です。筋肉質で弾力があり、コリコリとした食感が特長的なのですが、いかんせんサイズが小さすぎてその美点を活かしきれていませんでした。
きもとろ。いわゆるレバーであり、これは実に濃厚な味わいなので、サイズ感としてはちょうど良かったかもしれません。つまり小さいということです。
聖護院大根を炊いたんに鶏の肉味噌をトッピング。普通に美味しいのですが、串に刺して焼く意図はよくわかりませんでした。
膝ナンコツ。その名の通り膝のナンコツの部位であり、その食感が特長的なのですが、いかんせんサイズが小さすぎてその美点を活かしきれていませんでした。
手羽先は串に刺していない状態での提供。食べ方がプリントされた熊のおしぼりと共に供されるのですが、わあ可愛い!と盛り上がるには私は歳を重ね過ぎたようだ。
焦がしキャラメルのアイスは焦がしキャラメルの味がします。
以上を食べ、3杯だけ飲んでお会計はひとりあたり1万円強。まあまあ高い割にパっとしない焼鳥でした。やはりサイズが小さすぎるのがネックですね。量も味のうちだと私は思う。店中に溢れる熊のマスコットや入口のデジタルキーに会員制など、本質以外の部分に力を入れており底が浅いのも気になる。飲食店の価値はその実質で問うべきだ。

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焼鳥は鶏肉を串に刺して焼いただけなのに、これほどバリエーションが豊かなのが面白いですね。世界的に見ても珍しい料理らしく、外国人をお連れすると意外に喜ばれます。
素人にとっては単に串が刺さった鶏肉程度にしか思えない料理「焼鳥」につき、その専門的技術を体系的に記しています。各名店のノウハウについても記されており、なるほどお店側はこんなことを考えているのかという気づきにもなります。