瓢亭 別館 (ひょうてい)/蹴上(京都)

1600年代初頭、茶屋として創業した「瓢亭(ひょうてい)」。京都の料亭界隈においても老舗中の老舗であり、明治時代には皇族や政財界の要人が多数訪れ、現代においては当然に3ツ星を獲得しています。
たいへん格式高い「瓢亭(ひょうてい)」ですが、すぐ近くの別館は比較的カジュアルな装いであり、朝食や昼食は庶民でも手の届く価格設定です。と言ってもこの日訪れた朝粥は5,445円と、世界で最も高価な粥と言えるかもしれません。 
朝粥は予約制であり、1時間おきに総入れ替えと結構あわただしい。席に着くとシステマティックに煎茶と前菜(?)が並べられます。ゲストの大半は外国人であり、不思議と異国情緒に溢れています。
瓢箪型(?)の器をバラすと色んな小鉢料理が登場する仕組みです。これが結構、いやかなり旨くって、そのへんの料理旅館の朝食を遥かに凌駕するクオリティです。名物は「瓢亭玉子」であり、江戸時代のガイドブック「花洛名勝図会」に「瓢亭の煮抜玉子は近世の奇製なりとて酒客あまねくこれを食悦す」との記述が残るほど、時代を超えて日本人に愛された味覚です。
お椀は京都らしく白味噌仕立てなのですが、これがもう、べらぼうに旨いですね。赤味噌だろうが何味噌だろうが、そういった区分を超越した味覚であり、これ以上は何も語りたくはない美味しさです。
冬季限定の「鶉がゆ(うずらがゆ)」。ごはんにチョロっと鶉のミンチ肉が入った程度のシンプルな粥ですが、鶉の旨味が溶け出し、滋味深い味わいです。生肉にウニとキャビアをトッピングするような材料自慢の東京和食のアンチテーゼとも言える、実質的な美味しさです。意外に量もたっぷりで、すっかりお腹いっぱいになりました。
5千円を超える朝食、しかも粥ということで、斜に構えながらお邪魔しましたが、終わってみればコース料理に近い代物であり、量もたっぷりで、下手な高級ホテルの和朝食よりも余程お値打ちです。何より江戸時代から続く最高峰の朝食を5千円かそこらで楽しめるだなんてエモすぎリスカしょ。
食後はお隣の「無鄰菴(むりんあん)」をお散歩するもよし、動物園に行くもよし。私は歩いて10分ほどの場所にある「京都市京セラ美術館」にお邪魔し、連日大盛況の蜷川実花展でキュン4してきました。また私のかわいいメーターがあがっちゃう。 

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