EIBUN Tsuboya(エイブン ツボヤ)/壺屋(那覇)

沖縄でトップクラスの人気を誇る沖縄そば屋「OKINAWA SOBA EIBUN(エイブン)」2号店の「STAND EIBUN(スタンドエイブン)」に続いて3号店として「EIBUN Tsuboya(エイブン ツボヤ)」をオープン。場所は本店の隣?裏?恐らく厨房とスタッフは共用しているであろう面白い立地です。
店内は茶室というかバーというか、何とも独特な雰囲気です。このクールさで立ち食いなのだから、なおクール。空間はそこそこ広いのですが、入店組数を絞っているため立ち食い特有の狭っ苦しさは全くありません。良い意味で「やる気あるの?」と心配になる、贅沢な空間使いです。
開業してすぐに新たな麺の開発のため(?)に休業したり、しょっちゅうメニューが入れ替わったりと、かなり自由な運営スタイルです。1号店も前衛的なメニュー構成でしたが、当店は度を越している。ある意味ではテストマーケティング的な位置づけなのかもしれません。
「特上壺屋つけそば」につき、職権購入後に「味は6種類用意してある」と告げられ横転。今回は柚子塩的なものを選択しましたが、トリュフオイルを用いたフレーバーなども用意されており、好奇心をそそります。
麺は平打ちで長方形で、果たしてこれは沖縄そばなのでしょうか。まずは何もつけずに口にするのですが、穀物の風味が豊かであり、全粒粉を用いた生パスタ的な深みがあります。お出汁をきかせたジュレも添えられており、そのコンセプトから目が離せません。
つけ汁はイマドキのお蕎麦屋さんのそれに近く、なるほど柚子の風味が聞いています。繊細で上品な味わいであり、コッテリとしたつけ汁を求める方とは方向性は異なるかもしれません。スープ割りナシでもグビグビいけてしまうくらいです。
「特上」のパートは別皿でやってきます。先の豚肩ロース2枚に加え、炙り軟骨に味玉、変わったところでは鴨肉まで。いずれもバッチリ旨く、何ならこれをツマミに酒でも飲みたい気分です。
こちらは「特上 EIBUNそば【黒】」。醤油の香りが強く立っており、やはり果たしてこれは沖縄そばなのだろうかという思いが強い。もちろん麺料理としては全く美味しく、もはや「EIBUN」という新たな料理ジャンルなのかもしれません。
「鴨のっけジューシー」は定番のジューシーに「特上」で登場した鴨肉がのっかります。この丼は美味しいですねえ。鴨だけでも充分に美味しいのに、それを受け止めるジューシーの風味の豊かさといったらない。
美味しかったし、何より面白かった。いずれも知的好奇心を刺激する麺料理であり、沖縄そばの多様化を推進する挑戦的なお店です。ただ、なにぶんイカれたスタイルで議論の余地はあるので、EIBUN初心者の方はまず1号店2号店と順を追って訪れると良いでしょう。

食べログ グルメブログランキング


関連記事
寒い季節は沖縄で暮らしているので、旅行やゴルフだけで沖縄に来る人よりかは一歩踏み込んでいるつもりです。沖縄の人ってネットに書き込みしないから、内地の人が知らない名店が結構多いです。
沖縄通を気取るなら必ず読んでおくべき、大迫力の一冊。米軍統治時代は決して歴史のお話ではなく、今の今まで地続きで繋がっていることが良くます。米軍の倉庫からかっぱらいを続ける悪ガキたちが警官になり、教師になり、ヤクザになり、そしてテロリストへ。沖縄戦後史の重要な事件を織り交ぜながら展開する圧巻のストーリー構成。オススメです。