二条城前駅と烏丸御池駅の間に古民家を改装して開業した「日本料理と日本酒 惠史(さとし)」。2020年6月と地獄のタイミングでの開業ですが、地元民を中心に根強い人気を維持しています。
店内はカウンターが7席に4人がけのテーブルが1卓(写真は公式ウェブサイトより)。保科知史シェフは「和久傳」で17年にわたって様々な業態で経験を積んだそうで、なるほど段取りが素晴らしく作業が実にスピーディー。手作り自慢の仕事が死ぬほど遅い店に紹介したいほどです。
酒の値付けは結構高く、小瓶のビールが1,300円にハイボールが1,200円~。日本酒の値段も当然に不明でビビリ散らかしていたのですが、終わってみれば総支払額はそれほど高くなかったので、良い意味で困惑しました。
コース料理での提供もあるのですが、私は先付・造り・お椀の3品で5,500円のセットをお願いした後にアラカルト注文へと移行する方式を採りました。「祇園 まんま(GION MANMA)」もそうですが、このスタイルは自由度が高くロスも少ないので皆ハッピーですね。
お造りはキンメダイにタイ、イサキにカワハギ。共通セットプランの造りと侮る勿れ、質の良さはもちろん種類も豊富で、とりわけキンメダイの美味しさに心を奪われました。皮と身の間に隠れてる脂がとろけて、口の中にじゅわ〜って広がるの。
お椀代わりにハマグリの餡かけ仕立てでしょうか。上品なボディを感じさせるお出汁と貝の旨みが堪りません。ハマグリの身もプリプリで、磯の香りがまた食欲をそそります。
ここからはアラカルト注文で、まずは鹿肉のロースト。いわゆる冷製のローストビーフっぽい仕上がりであり、肉の繊維は柔らかながら味わいは実にパワフル。この料理はもっと世界的に流行しても良いと思います。
ハモを白焼きでお願いしました。シャリシャリと骨切りする音を聞くと、ああ、京都に来たなあとしみじみ嬉しくなる。こんど録音して着信音にしようかな。
タコの柔らか煮。その名の通り本当に柔らかく仕上がっており、タコ焼きに入っているブツと同じ生物とは思えないシットリ感です。それでいて旨味は増しに増しており、タフな日本酒が似合います。
鰻も白焼きで。バリっと香ばしく焼かれており、ザクっとした歯ざわりとムチっとした弾力の双方を楽しむことができます。山椒を効かせたソースも後を引く美味しさ。〆は牛すじ丼をお願いしました。トロトロくたくたに煮込まれており、プルプルのゼラチン質が堪りません。甘辛い調味に卵黄のジットリとした味わいの組み合わせは反則技。ゴハンもたっぷりで満腹です。
以上を食べ、そこそこ飲んでお会計はひとりあたり1.8万円ほど。気を張らずに日本料理を楽しむことができ、それでいてきちんと旨く、高くない。京都の美点を凝縮したような業態であり、先ほど記した通り「祇園 まんま(GION MANMA)」に近いスタイルです。
お友達と京都旅行に来て、あれこれワガママ言いながらジャンジャン飲み食いしましょう。自由は私たちの手中にあり、謳歌できるかは私たち次第だ。
日本料理と日本酒 惠史 (日本料理 / 二条城前駅、烏丸御池駅、大宮駅)
夜総合点★★★☆☆ 3.5
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