田園調布駅から歩いてすぐの「メッツゲライ ササキ(Metzgerei SASAKI)」。「メッツゲライ(Metzgerei)」とはドイツ語で「肉屋」「食肉加工品店」を意味し、「ブッツ・デリカテッセン」などのブランドやお店を展開するタカラ食品工業の経営です。
ちなみに私は昔々このあたりに住んでいたことがあり、当時利用していたカキモトアームズが未だ現役で稼働していることに胸が熱い。
入ってすぐのショーケースにはドイツ国家資格ゲゼレを取得した技術者が作るシャルキュトリがズラリ。ドイツ風だけでなくフランス風のものも豊富であり、フレンチのお惣菜やスイーツ類の用意もあります。目玉はパテ・クルート世界選手権決勝大会にて優勝に輝いた「パテクルート」です。それにしても日本人はこの大会に強いですね。名古屋東急ホテルの「ロワール」も優勝していたと記憶しています。
店内にはイートインスペースがあり、購入したシャルキュトリやパン、チーズワインなどをその場で楽しむことができます。イートイン用のプレートメニューもあり、軽めのランチやアペリティフに最適です。
私はハウスワインを注文。700円ぐらいだったっけかな。そんなに高くない、かつ、前払い制度なので無自覚に飲み過ぎるということはありません。ワインだけでなく、ソーセージによく合うドイツのビールも揃っています。
シェフおすすめの「シャルキュトリプレート」は1,700円。西洋居酒屋の盛り合わせ程度を想像していたのですが、期待以上のてんこ盛りで嬉しい誤算。野菜類やバゲットも付いており栄養バランスも完璧です。パテ類はフロマージュ・ド・テットにコンビーフっぽい口当たりのものに少しスパイシーなものの3種。とりわけフロマージュ・ド・テットが素晴らしいですね。プルプルとしたゼラチン質が口の中に広がり、続いて凝縮された豚肉の旨味が押し寄せます。決して重すぎず、濃厚でありながらも繊細で繊細。余韻も上品です。
サラミ、ハム、ベーコンの部。いずれも塩気と旨味、脂のバランスが素晴らしく、バゲットと併せて食べれば立派なハムサンド。そのへんのスーパーで売られているそれらに比べると段違いのクオリティです。
野菜を用いたお惣菜。ナスをトマトでどないかしたものに、ラペにピクルスかな。ピクルスは濃厚な味わいで酸味がハッキリしており、やはり量販店で見かける類似品と比較すると、品質において格段の差があります。全てがあまりに旨いので、改めてレジに向かい「ハムとホワイトソースのパイ包み(Feuillette jambon)」を追加注文。バター香るサクサクのパイ生地に、とろける濃厚ホワイトソースと旨味たっぷりのハムが包まれています。香ばしい生地、優しい甘さのソース、ハムの塩気が絶妙なハーモニーを奏で、心温まる至福の味わいが広がります。厨房で丁寧にリヒートしてくれるのも嬉しい。
すげえ美味しかった。高級住宅街にある金持ち向けの道楽店程度の認識でお邪魔しましたが、どのアイテムも素晴らしいクオリティで、遠くからわざわざ訪れる価値のあるお店です(トロワグロも来たことがあるらしい)。次回はスペシャリテのパテ・アン・クルートを試してみよう。
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