1949年に創業した、台北で最も古い上海料理店のひとつである「高記(Kao Chi Xinsheng Restaurant)」。以前は別の場所で営業していたそうですが、MRT淡水信義線の大安森林公園駅を出てすぐの場所に移転リニューアルオープンしました。
場面で行列し、軒先の記帳台に名前を記すのですが、「2人?じゃあいいよ入って!」みたいに店のオバチャン経由でごぼう抜きさせて頂きました。店内は明るい雰囲気で至ってカジュアル。昔の店舗は高級感のある店構えだったようですが、過ぎ去りし日は、さながら夢幻の如し。されど、我は今、この地に在り。
着席すると無料のお茶が供されます。ドリンクの注文は飲みたければ勝手にどうぞという姿勢であり、スレッズ界隈に出没する「ドリンクを2杯しか注文しなかった!絶対に許せない!」と発狂している経営者に御覧に入れたいお気持ちです。
注文とは別に、レジの近くの小鉢コーナーにお惣菜が並べられており、食べたいものがあればセルフで持っていくスタイル。こういう気楽なスタイルは大好きです。
注文とは別に、レジの近くの小鉢コーナーにお惣菜が並べられており、食べたいものがあればセルフで持っていくスタイル。こういう気楽なスタイルは大好きです。
まずは「酸白菜豬肉絲」。豚肉と白菜の漬物を炒めた、ピリ辛風味の炒め物です。白菜の漬物(?)の酸味と、唐辛子の辛味が食欲を刺激します。豚肉は薄切りで白菜のシャキシャキとした食感と上手く調和する。ところでこれは本当に上海料理なのだろうか。
続いて「宮保鮮蝦球」。エビを唐辛子とピーナッツで炒めたものであり、想像を絶する辛さ。エビの質は良くとても美味しいのですが、いかんせん私のキャパを超える辛味があり、これは流石に上海料理ではないでしょう。
「元籠小籠包」はクラシックな小籠包。「鼎泰豊」のそれに比べると皮は厚く、脂も強くコクがあります。餡には肉がその存在を主張しており、勢いのある美味しさです。
スペシャリテの「上海鐵鍋生煎包」。上海風の焼き小籠包であり、焼き目が分かり易くなるよう、ちょっとひっくり返してみました。熱々の鉄鍋で焼き上げられた皮は、底はカリカリ、上はモチモチの食感を楽しむことができます。こちらは餡というよりも生地を楽しむ逸品。日吉のEXILE系中国料理「龍華(りゅうか)」の小籠包を思い出しました。以上、酒抜きで腹いっぱい食べてお会計はひとりあたり3-4千円といったところ。台北の小籠包の相場に比べると高めの価格設定ですが、日本で同じものを楽しむことを考えると実にお値打ち。「鼎泰豊」のような風格や繊細さはなく方向性はまるで異なるので、別の料理ジャンルとして楽しみましょう。
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それほど中華料理に詳しくありません。ある一定レベルを超えると味のレベルが頭打ちになって、差別化要因が高級食材ぐらいしか残らないような気がしているんです。そんな私が「おっ」と思った印象深いお店が下記の通り。
- チャイナハウス龍口酒家(ロンコウチュウチャ)/幡ケ谷 ←東京の10,000円以下の中華だとダントツ好き
- 中華銘菜?陽(センヨウ)/東高円寺 ←率直に美味しくアラカルト可なのが嬉しい
- サエキ飯店/目黒 ←切れ味抜群
- ShinoiS(シノワ)/白金台 ←めちゃ美味しいんだけれど高いんだよなあ
- 4000 Chinese Restaurant/西麻布 ←王道中の王道の中華料理ですげえ旨い
- センス(Sense)/日本橋 ←あれだけ香港に通い詰めた結果、日本の飲茶が一番とは実に複雑な心境
- 南方中華料理 南三(みなみ)/四ツ谷 ←素晴らしい、何も言うことは無い
- 蓮香(レンシャン)/白金高輪 ←日本人が一般に想像する中華料理のイメージを打破する多彩な魅力
- 中華バル 池湖(いけこ)/渋谷 ←度を越した費用対効果
- 紫玉蘭/麻布十番 ←税込800円は神のなせる業
- VELROSIER (ベルロオジエ)/河原町(京都) ←フランス料理みたい
- 開化亭(かいかてい)/岐阜駅 ←過剰なものは何も無く、足りないものも何も無い
- Mott 32(卅二公館)/中環(香港) ←この中華料理はちょっと東京には無い
- Lung King Heen(龍景軒)/中環(香港) ←総合力という意味では香港における飲茶で私的ナンバーワン