CHAO 炒炒新亞洲蔬食(CHAO stir fry)/東區(台北)

台北の大安区、MRT忠孝復興駅から歩いて5分ほどの場所にある「CHAO 炒炒新亞洲蔬食(CHAO stir fry)」。台湾の伝統的な居酒屋スタイル「熱炒(ルーチャオ)」をベースにしたレストランです。肉や魚介類を一切使用しない、独創的なヴィーガン中華で耳目を集めました。
平日の21時頃に訪れたため、予約ナシでも席に着くことができました。それでも客の入りは8割といったところで、人気のほどがうかがえます。注文はQRコードからで、英語さえわかれば何とかなります。

料理は麻婆豆腐やチャーハンなど定番の中国料理をヴィーガンで仕上げようという面白い試み。肉や魚の代わりにフェイクミートを用い、ニンニクなどの香りの強い食材はオプション制という仕組みです。
お酒は冷蔵庫にあるものをセルフでピックアップし、お会計時に自己申告する仕組み。ところでヴィーガンってアルコールはOKなのでしょうか。酵母や菌などの微生物は生き物と見做さないのかなあ。冬虫夏草やユーグレナはどのような取り扱いになるのだろう。
「乾鍋白花椰菜」はカリフラワーを炒めた料理。乾鍋とある通りカリフラワーの水分を飛ばして炒めているため、香ばしい食感。ニンニクの芽やスパイスも大量に投下されており、思い切りの良い味付けです。
「找不到臭豆腐」は臭豆腐を崩して炒め、天かすみたいなのがブヴァーっと散らされています。「臭豆腐(チョウドウフ)」とは豆腐を発酵させた匂いの強い食品。その独特の風味と食感から、好みが分かれるところですが、当店のそれは食べやすくオシャレに仕上がっています。
万願寺唐辛子と卵の炒め物。と言っても卵はフェイク卵でしょう。こちらもスパイスたっぷり、かつ、油で揚げるように痛めており、ヴィーガンながらジャンキーな味覚で病み付きになります。
「上海菜飯」にもフェイクミートが用いられているのですが、これがヴィーガン料理かと唸るほど骨格のある味わいです。青菜のシャキシャキとした食感とほんのりとした苦味、そして独特の香りが食欲をそそります。
以上を食べ、軽く飲んでお会計はひとりあたり3千円強とリーズナブル。ヴィーガンなのにこんなにも暴力的でビールが進む料理があるのかと衝撃を受けたディナーでした。ヴィーガンの方もそうでない方も、純粋に食事として楽しむことができるでしょう。

日本におけるヴィーガンは宗教的かつファッション志向な面が強く、肌がガサガサで浅黒い鶏ガラみたいな人が、なぜかいつも不機嫌に説教しているようなイメージがありますが、当店はその悪印象を払拭するパワーがある。 こういうお店が増えれば日本でのヴィーガンに対する見方も変わってくると思うのだけれど。

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それほど中華料理に詳しくありません。ある一定レベルを超えると味のレベルが頭打ちになって、差別化要因が高級食材ぐらいしか残らないような気がしているんです。そんな私が「おっ」と思った印象深いお店が下記の通り。

本場志向で日本人の味覚に忖度しない中華料理が食べたい方へ捧ぐ書。東京の、中国人が中国人を相手にしている飲食店ばかりが取り上げられています。ある意味では中国旅行と同じ体験ができる裏技が盛りだくさん。

俺のビストロ 渋谷

2024年冬にマークシティ裏にオープンした「俺のビストロ渋谷」。人気のイタリアン「タロス(Tharros)」の地階に入居します。「俺の~」シリーズはデビューしたての頃にいくつかお邪魔したのですが良い思い出がなく、10年以上ぶりにお邪魔する運びとなりました。
店内は思いのほか広く、100席近くありそうです(写真は食べログ公式ページより)。薄暗いファミレスのようななインテリアであり、かなり割り切ったテーブル配置に感じました。スタンディング席もあり、そちらではテーブルチャージは不要とのこと。
お酒はびっくりするほど安いですねえ。グラスワインは600円台から始まるのですが、何と写真のローランペリエがボトルで7,700円で提供されていました。酒屋で買うよりも安く、脊髄反射で注文です。ホテルとかで飲めば2万円近く請求されるぞマジで。
前菜盛り合わせ。オリーブのマリネにトリュフで香りづけしたナッツ、キャロットラぺ、きのこのマリネ、ウフマヨ。ビストロ定番のツマミが勢ぞろいで、秒で供出されるのも嬉しい。
フレッシュマッシュルームのサラダ。グリーンサラダのシャキシャキとした食感と、生のマッシュルームスライスの独特の歯ごたえが絶妙のバランスを奏でます。酸味のきいたドレッシングにチーズの旨味も加わり、バランスのよいサラダです。
パテ ド カンパーニュは極めて厚切り。ナイフを入れた際のあのずっしり感と、口に入れた時の食べ応えが堪りません。豚肉の旨味と脂身の甘み。フランス料理っていいよなあと再認識させてくれる逸品です。
パンは自家製で、素朴ながらも小麦の風味がよくきいて美味しい。この客単価でこのクオリティのパンを出す店は珍しい。
金華イワシのタブレ。宮城県金華山沖で、最も脂のノリが良い時期に限定して水揚げされる真イワシを「金華イワシ」と呼ぶそうで、なるほど脂がのって、とろけるような舌触り。サラっとした調味のクスクスをゴハン代わりに頂きます。
四角いアジフライ。どうやって成型(カット?)しているのかは存じ上げませんが、フィナンシェというか海老パンというか、本当に長方形です。 外はカリッとした食感、中はホクホクでジューシー。サンセバスチャンあたりのバルで出てきそうなひと品です。
メインは仔羊のTボーンステーキ。そういった呼称で食べることは少ない食材ですが、ダイス状にカットされて供出されるのでTボーン感に乏しい。それでも味わいは堂に入ったものがあり、ジューシーでコクがあり、それでいてきめ細やかで上品な味わい。シンプルな調味であり、肉の味そのものを楽しむことができました。
以上を食べ、泡を2人で1本飲んでお会計はひとりあたり7-8千円といったところ。これは当店の中では高めの酒を飲んだ結果であり、普通に飲み食いすれば5千円程度に落ち着きそう。これだけのクオリティの料理を楽しんでこの支払金額は実にお値打ち。「俺の~」シリーズに対する見方が変わりました。次回は同じ渋谷にオープンした「俺のイタリアン 渋谷」にお邪魔したいと思います。

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「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
日本フレンチ界の巨匠、井上シェフの哲学書。日本でのフレンチの歴史やフランスでの修行の大変さなど興味深いエピソードがたくさん。登場する料理に係る表現も秀逸。ヨダレが出てきます。フランス料理を愛する方、必読の書。

日本料理と日本酒 惠史(さとし)/二条城前(京都)

二条城前駅と烏丸御池駅の間に古民家を改装して開業した「日本料理と日本酒 惠史(さとし)」。2020年6月と地獄のタイミングでの開業ですが、地元民を中心に根強い人気を維持しています。
店内はカウンターが7席に4人がけのテーブルが1卓(写真は公式ウェブサイトより)。保科知史シェフは「和久傳」で17年にわたって様々な業態で経験を積んだそうで、なるほど段取りが素晴らしく作業が実にスピーディー。手作り自慢の仕事が死ぬほど遅い店に紹介したいほどです。
酒の値付けは結構高く、小瓶のビールが1,300円にハイボールが1,200円~。日本酒の値段も当然に不明でビビリ散らかしていたのですが、終わってみれば総支払額はそれほど高くなかったので、良い意味で困惑しました。
コース料理での提供もあるのですが、私は先付・造り・お椀の3品で5,500円のセットをお願いした後にアラカルト注文へと移行する方式を採りました。「祇園 まんま(GION MANMA)」もそうですが、このスタイルは自由度が高くロスも少ないので皆ハッピーですね。
お造りはキンメダイにタイ、イサキにカワハギ。共通セットプランの造りと侮る勿れ、質の良さはもちろん種類も豊富で、とりわけキンメダイの美味しさに心を奪われました。皮と身の間に隠れてる脂がとろけて、口の中にじゅわ〜って広がるの。
お椀代わりにハマグリの餡かけ仕立てでしょうか。上品なボディを感じさせるお出汁と貝の旨みが堪りません。ハマグリの身もプリプリで、磯の香りがまた食欲をそそります。
ここからはアラカルト注文で、まずは鹿肉のロースト。いわゆる冷製のローストビーフっぽい仕上がりであり、肉の繊維は柔らかながら味わいは実にパワフル。この料理はもっと世界的に流行しても良いと思います。
ハモを白焼きでお願いしました。シャリシャリと骨切りする音を聞くと、ああ、京都に来たなあとしみじみ嬉しくなる。こんど録音して着信音にしようかな。
タコの柔らか煮。その名の通り本当に柔らかく仕上がっており、タコ焼きに入っているブツと同じ生物とは思えないシットリ感です。それでいて旨味は増しに増しており、タフな日本酒が似合います。
鰻も白焼きで。バリっと香ばしく焼かれており、ザクっとした歯ざわりとムチっとした弾力の双方を楽しむことができます。山椒を効かせたソースも後を引く美味しさ。
〆は牛すじ丼をお願いしました。トロトロくたくたに煮込まれており、プルプルのゼラチン質が堪りません。甘辛い調味に卵黄のジットリとした味わいの組み合わせは反則技。ゴハンもたっぷりで満腹です。
以上を食べ、そこそこ飲んでお会計はひとりあたり1.8万円ほど。気を張らずに日本料理を楽しむことができ、それでいてきちんと旨く、高くない。京都の美点を凝縮したような業態であり、先ほど記した通り「祇園 まんま(GION MANMA)」に近いスタイルです。

お友達と京都旅行に来て、あれこれワガママ言いながらジャンジャン飲み食いしましょう。自由は私たちの手中にあり、謳歌できるかは私たち次第だ。

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京都はとにかく和食がリーズナブルですね。町全体の平均点が高いのはもちろん、費用対効果も良いことが多い。その文化に影響を受けてか、欧米系のレストランにも目が離せない魅力がある。
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天雅(てんまさ)/中目黒

中目黒駅から池尻大橋方面へ歩いて7-8分ほどの路地にある「天雅(てんまさ)」。十数年以上にわたってミシュラン1ツ星を維持し続ける実力派であり、食べログでは百名店に選出されています。私の中くらいに嫌いなワインバー「nuit(ニュイ)」のすぐ近くです。
店内は半円型のカウンター席で10席ほど。御影石を起用したシックな仕上がりで、正面にある生け花がかわちいです。奥には個室もある模様。

足木雅彦シェフはご実家が天ぷら専門店で、日本料理店でも腕を磨いたそう。天ぷらと日本料理の両面で楽しむことができる珍しいスタイルのお店です。
ビールは千円を余裕で切り、日本酒も1合で千円を切るものが散見されるなど、この手のお店としては良心的な価格設定です。
先付けは車海老にシロ菜に色んな茸。クリスマスの時期にお邪魔したので、クリスマスツリーっぽく仕上げてくれています。
ブリ大根。といっても氷見のすげえブリを丁寧に起用しており、その辺の定食屋のブリ大根とはモノが違う。九条ネギの独特のぬめりと甘味も心地よいアクセントです。
お造りもブリ。こちらは辛味大根と紅芯大根を組み込んでおり、ブリ大根2.0といったところでしょうか。冒頭のクリスマスツリーにせよ、シェフはひょうきんな方なのかもしれません。
マグロはトンブリと共に頂きます。漬けにすることでネットリとした食感と旨味がさらに増し、トンブリのプチプチとした食感が加わって、口の中が楽しい。白いのは山ワサビで、そのツンとした辛味がマグロの旨味をさらに引き立て、後味をさっぱりとさせてくれます。
八寸は白子にホタテに牡蠣にウニにアンキモ。この料理のラインナップに加え日本酒の充実度合いに察するに、店主は相当の酒飲みとみた。旨いツマミに旨い酒。この世をば、我が世とぞ思ふ望月の、欠けたることも無しと思へば。
天ぷらに入ります。トップバッターはもちろん車海老で、サクっと軽くエアリーな口当たり。ゴマ油の香ばしいかおりが食欲を刺激します。
もちろん脚も付いてきます。身に比べて旨味が凝縮されており、やはり日本酒によく合います。
ハゼ。身はふっくらとしていて、淡白な味わいですが、ほんのりとした苦味も感じられ、噛むほどに旨味が広がります。
大根おろしは肌理の細かいタイプで、ニセコのパウダースノーのような口当たり。天つゆをチョロっとかけてつまめば無限に酒が進みます。
下仁田ネギ。衣はサクサク、中はトロトロ。甘みが強くジューシーなひと品です。
牡蠣。乳白色の滑らかな肌が特長的で、海の滋味が凝縮された濃厚な旨味が堪りません。やはり日本酒が無限に飲めてしまう。
肉厚のシイタケ。カラッと揚がった衣の中から、ジュワっと溢れ出す大地の旨味。噛むほどに、芳醇な香りが口いっぱいに広がります。
スペシャリテのウニの天ぷら。紫蘇の香りがウニの旨味を優しく抱擁し、ダイナマイトな美味しさです。悔しいが旨い、それがウニ。
ゴマ豆腐。ねっとりとなめらかな舌触りが心地よく、ゴマの濃厚な風味が口の中にじんわりと広がります。ゴマ油からの繋がりもあって、オシャレな口直しです。
〆のお食事は天丼か天茶、白ゴハンから選ぶことができ、私は天丼をチョイス。エビ・イカ・貝柱がゴロゴロと詰まっており、口の中で奏でられる食感のシンフォニーが堪りません。タレの美味しさはもちろんのこと、それを受け止めるお米の一粒一粒までが実に上質。ちなみに天茶には一番出汁を注いでくれるそうです。
デザートもクリスマス調に凝っています。芸が細かく、ストラップを通して連れて帰りたいくらいです。

以上のコース料理が2.8万円ほどで、そこそこ飲んでお会計はひとりあたり3万円強。値は張りますが食後感は心地よく、すっかり酔っぱらってしまいました。

序盤の日本料理エリアが良いですね。あまりに天ぷらが続いて舌が疲れてしまう店が多い中、当店は上質で軽やかなお料理でスムーズに揚げ物に移行するのが魅力的。ツマミとしても活躍するので、酒の強い連れ合いと訪れるとより楽しいひと時を過ごすことができるでしょう。

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天ぷらって本当に難しい調理ですよね。液体に具材を放り込んで水分を抜いていくという矛盾。料理の中で、最も技量が要求される料理だと思います。

てんぷら近藤の主人の技術を惜しみなく大公開。天ぷらは職人芸ではなくサイエンスだと唸ってしまうほど、理論的に記述された名著です。スペシャリテのさつまいもの天ぷらの揚げ方までしっかりと記述されています。季節ごとのタネも整理されており、家庭でも役立つでしょう。