恵比寿 鰻 松川(まつかわ)

恵比寿の動く歩道とガーデンプレイスの境目の道路を目黒川方面に数分歩いた住宅街にある「恵比寿 鰻 松川(まつかわ)」。私の推しの居酒屋「酒家 の元(シュカノモト)」のすぐ近くです。ちなみにこのあたりには防衛装備庁の艦艇装備研究所があり、戦艦大和のコンセプトモデルが試作されたと言われています。これ豆な。
何度か移転はしていますが、創業1971年の老舗であり、一枚板のカウンター席に個室が2つと高級感のある誂え(写真は公式ウェブサイトより)。しかもキチキチに予約を取るようなことは一切なく、心に余裕が感じられる運営です。
酒につき、ビールこそ中瓶で千円ですが日本酒の値付けは悪くなく、これぞという銘酒が1合千円強から楽しむことができます。鰻屋でこんなに飲んだのは生まれて初めてかも、というほどこの夜は飲みました。
白子にナマコにフグの煮凝り。クリーミーな白子にポン酢の酸味が良く合う。コリコリとした独特の食感が楽しく、プルプルの煮凝りはフグの旨みが凝縮されています。日本酒と共に楽しみたい前菜です。
鰻の湯引き。ありそうでない、というか、生まれて初めて食べる調理法かもしれません。身はふっくらと仕上がっており、究極に上品な魚の煮付けのような味覚です。
フグ刺し。歯ごたえはありつつも、絹のようになめらかで、とろけるような舌触り。繊細で上品な味わいながら、噛むほどにフグの旨みがじんわりと広がります。
唐揚げは手前がフグに奥が鰻。フグの唐揚げを見かけることは多いですが、鰻の唐揚げというのは生まれて初めてかもしれません。カラッと揚げられた鰻は、外はカリカリ、中はふっくら。衣の香ばしさと鰻の旨みが合わさって堪らない旨さ。酒が進むのなんのって。
肝焼き。香ばしく焼き上げられた肝が独特のほろ苦さとコクを湛えており、タレの甘辛い味付けも酒を呼びます。ちなみに当店の鰻は飼育尾数が非常に少ない「共水マルトク鰻」のみを取り扱っているとのこと。
白焼きはふっくらと仕上げたタイプで、皮は柔らかく、身は箸でほぐれるほど。だがしかし私はフォッサマグナ以西のバリバリの焼魚タイプを好むので、こればっかりは個人の主観なので仕方がありません。
茶碗蒸しが贅沢。このカニは香箱ガニでしょうか、カニの香りがふわっと広がり、食欲をそそります。カニ味噌の濃厚なコクと、だしの優しい風味が絶妙に調和し、まさに至福の味わい。酒の進む茶碗蒸しです。
〆のお食事はもちろん鰻重。炭の香り湛えつつ、フワッととろける舌ざわり。タレが染み込んだゴハンも見事な味わいで、大盛にしてもらって本当に良かった。
お椀も素直で優しい味わいで、鮮やかな緑色の三つ葉が映えて、見た目にも美しい。三つ葉の爽やかな香りが、だしに深みを与え、後味をさっぱりとさせてくれます。シンプルながらも奥深い味わいで、体の芯から温まります。
お漬物はもちろん自家製で滋味深い味わい。酒はもちろんゴハンも進む進む。くどいようですが、ゴハンを大盛にしてもらって本当に良かった。
デザートはブランマンジェでしょうか。程よく凍った果実と共にサッパリとした後味。ごちそうさまでした。

以上を食べ、けっこう飲んでお会計はひとりあたり2万円ほど。美味しかったし、何より居心地が素晴らしく良かったです。変な客を寄せ付けない謎のオーラを感じさせる店構えがいいですね。自由が丘「ほさかや」のようなフリーダムな鰻屋も良いですが、敷居は高いものの入ってからはリラックスという、高級店の理想とも言うべきスタイルの鰻屋です。大切なお客様のおもてなしに是非どうぞ。

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