Loto(ロート)/長町(金沢)

せせらぎ通り沿い、2023年にオープンしたイタリアン「Loto(ロート)」。私の推しのインド料理店「アシルワード(AASHIRWAD)」のすぐ近くです。蓮見慎吾シェフが統べる当店の名はイタリア語で「蓮」という意味であり、山田さんがマウンテンみたいな感じでしょうか。
蓮の葉を想起させる色使いの店内。風除室のような空間を通ってからテトリスのようなカウンターが並ぶ独特の誂えです。基本はカウンター席ですが、奥には個室もあるようです。
ビールやグラスワインは千円強~といったところで、料理に合わせたフルペアリングは8千円。都合6杯出るのですが、中々の量を注いでくれたので、私はとても嬉しい。
まずはブルスケッタ。炭火で焼いたフォカッチャは、香ばしい土台をつくり、力強いカツオの味覚を支えます。大葉がジェノベーゼっぽく感じるのも面白い。
マグロのカルパッチョ。熟成によってマグロの旨味は凝縮され、ねっとりとした舌触りも生まれます。中にはアスパラガスが潜んでおり、シャキシャキとした食感が心地よいアクセント。
パンはおや?カンパーニュ?フランス料理風のスタイルで、噛むほどに小麦の甘みと酸味がじんわりと感じられ、深い満足感を与えてくれます。自家製のバターもかわちいです。
白子のパスタ。白子の濃厚な旨味とクリーミーさを愉しむ逸品であり、ワインはコッテリしたシャルドネを期待したのですが、当店はスッキリとした酸が主体のものを合わせて来ました。主張は千差万別だ。
続くパスタはトルテッリ。中にはポルチーニが詰め込まれ、その芳醇な香りは他のキノコでは味わえない独特の魅力があります。しかしながらトルテッリの生地そのものがイマイチですね。スパスパと唇で切れるほど歯ごたえが無く、パスタを食べているという悦楽に乏しく感じました。
サワラのフリット。淡白な味わいで知られる魚ですが、白味噌でマリネしているそうで、なるほど旨味がぐっと増し奥深い味わいに仕上がりました。ソースはシャインマスカットを用いているそうで洒落た味わいです。
メインは鴨ムネ肉。キレイなロゼに仕上がっておりビジュ爆発。ジューシーなエキスもたっぷりと含んでおり、噛み応えがあるけれど硬いわけじゃないが素晴らしい。付け合わせの人参も糖度がしっかりと増しており、シンプルながらも見事なひと皿でした。
サツマイモを用いたモンブラン。ってそれ、モンブランって名乗って良いの?しかもビーツのパウダーがかかってて全然白くないし。とは言え「東京ばな奈」にバナナは入っていないので、世の中そんなものかもしれないと自己暗示をかけました。何とも締まらない締めくくりであった。
以上のコースが1万円で、ワインのペアリングが8千円。東京で同じ料理を楽しむことを考えれば割安ですが、いずれの料理も創作風ながらどこかで食べたことがあるようなものばかりであり、小綺麗に作ってはいるものの、本場の空気めいたものは感じられませんでした。ワインとの組み合わせも私の好みと乖離があった。

地元の方がイマドキのイタリアンを味見するために訪れるには悪くないですが、県外から敢えて訪れる感じではないような気もします。お疲れさまでした。

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「大人絶景旅」と銘打ってはいますが、石川の名所をテンポ良くまとめています。グルメ情報も多くモデルルートの提案もあり、広告だらけのガイドブックとは一線を画す品質の高さです。