魚と貝スタンド 囮(OTORI)/目黒

「ラーメン二郎 目黒店」が2万人ぐらい並んでいたので諦めて、近くにあった居酒屋に飛び込みます。「魚と貝スタンド 囮(OTORI)」というお店だそうで、魚介系の飲み屋としては斬新なネーミングと言えるでしょう。
店内は狭く5-6席ほどであり、ラーメン屋よりも小さい。19時を過ぎていたのですが客は私だけであり、色々ちょっと不安になってきました。店主から「おタバコ吸われますか~?」と声がけがあり、なるほどそういう価値観のお店でしたか。
瓶ビールは650円と悪くない価格設定です。が、料理を含めひと通りの注文を終えても暫く何も出てこない時代が続きました。店の隅で流れているのテレビのバラエティ番組が酷く耳障りに聞こえてくる。
お通しはツブ貝のチャンジャ。コリコリとした食感でツマミとして悪くないのですが、ワンオペとは言え、どうしてこんなものを出すのに時間を要するのだろうか。いよいよ精神と時の部屋を覚悟した瞬間です。
自慢の「本マグロ四点盛り」ですが、こちらも異常に提供が遅く、そういえばずっと水がチョロチョロしてたので、流水で丁寧に解凍していたのかもしれません。私の愛用の+Lhacaでもお貸ししたい気分です。ちなみにマグロはスジばっかりで口当たりが悪く、ワサビも添えられていません。何か罰でも受けている気分です。
提供に30分を要したアンキモ。ボソボソとした不気味な舌ざわりであり、まるで砂漠を固めたような食感です。喉を通るたびに苦痛が走る。私のそう短くはない人生において、最もスポンジに近い味わいのアンキモでした。
ホタテの浜焼き。殻付きのホタテを焼いたものであり、普通に美味しい。ただし、サークルのバーベキューで弱者男性の姫が焼いてくれるホタテとそう変わらない味わいでもあり、たそがれが訪れつつあります。
マグロの串焼き。旧石器時代から変わることの無いクラシックな調理法であり、串を駆使した料理と言えるでしょう。マグロを串に刺して焼いた味わいが強く、奇しくも出会ってしまったかもしれません。私の心はくし刺しだ。
生海老ユッケ丼。こちらも流水で丁寧に解凍したばかりの新鮮な海老であり、アツアツのゴハンとキンキンに冷えた海老のコントラストが見事です。中央に卵黄がトッピングされていますが、原状はまるで回復していません。
以上を食べ、軽く飲んで6千円弱。高い・不味い・遅いの三拍子揃った飲み屋であり、タバコも吸えるという稀有な存在。歌舞伎町の裏路地あたりであれば理解できますが、ここは閑静な住宅街。ある意味では尖りに尖った飲み屋と言えるでしょう。心に余裕を持ってどうぞ。

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