ビストロ アビエ(BISTROT HABILLER)/首里(那覇)

2024年10月で5周年を迎える「ビストロ アビエ(BISTROT HABILLER)」。首里石嶺という、観光客にとっては馴染みの薄い立地ですが、地元の方には大変人気があるビストロです。
店内はカウンターに6-7席で、壁に沿ってテーブルがたくさん。さすがに料理人が独りで捌くには厳しい席数で、ピーク時には皿出しが遅くなります。時間に余裕をもって訪れましょう。
酒は安く、ハウスワインは600円から始まります。味の強いお通しも付いていて、これだけで1杯飲めてしまいます。
まずはサバのリエット。水分量が多くサバサバとした口当たり。メタリックな風味もあって、酒が進むひと品です。
ワタリガニの濃厚スープ。その名の通り甲殻類の香りがプンプンのスープ。カニの旨味が凝縮されており、海の恵みを感じる逸品です。
リヨン風サラダ。私はこのサラダが大好きでメニューにあれば必ず注文し、日本の成人男性としてはトップクラスに食べ込んでいるほうだと自負しているのですが、当店のそれはとても美味しい。カリカリのクルトン、ジューシーなベーコン、クニクニとした砂肝、とろりとしたポーチドエッグ。それぞれが異なる食感で、口の中で楽しいリズムを生み出します。東京のレベルの低いフランス風料理店は反省するように。
前菜盛り合わせも丁寧に作り込まれており、先のサラダのベーコンに続き、パテやムースなど加工肉系が魅力的。「Apérowa(アペロワ)」「Bistro Groin Groin (ビストロ グロングロン)」など、豚肉をよく食べる県民だからでしょうか、沖縄はシャルキュトリのレベルが非常に高い。
エスカルゴのオーブン焼き。細かく刻んだパセリとニンニクがたっぷり入ったバターがエスカルゴの旨味を最大限に引き出してくれます。カタツムリ感は一切無く、クニクニと歯ごたえの良い貝類を食べているような食体験。
メインは仔羊スネ肉のトマト煮込みとクスクスを選択。じっくり煮込まれた仔羊のスネ肉は、ホロホロと口の中でほどける柔らかさ。トマトの酸味とスパイスの香りが、羊肉独特の風味と見事に調和しています。クスクスは、そのソースをたっぷり吸い込んで、もう一口、もう一口と止まらなくなる美味しさです。
フォンダンショコラは冷製のテリーヌのようなスタイルで登場し、思っていたのとちょっと違いましたが、ねっとり濃厚な口当たりでこれはこれで美味しい。白いソースも素朴ながらクラシックで重厚な味わいです。
以上を食べ、しっかり飲んでお会計はひとりあたり7-8千円といったところ。王道のビストロ料理を腹いっぱい食べてこの支払金額は大変お値打ち。シェフは宜野湾の人気フレンチ「加藤食堂」で経験を積んだそうで、そちらのお店にもお邪魔しようと心に決めた夜でした。

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沖縄通を気取るなら必ず読んでおくべき、大迫力の一冊。米軍統治時代は決して歴史のお話ではなく、今の今まで地続きで繋がっていることが良くます。米軍の倉庫からかっぱらいを続ける悪ガキたちが警官になり、教師になり、ヤクザになり、そしてテロリストへ。沖縄戦後史の重要な事件を織り交ぜながら展開する圧巻のストーリー構成。オススメです。