五反田駅から歩いて7-8分、目黒川すぐ近くにある「フリコトー(Flicoteaux)」。五反田と言えばセクシャルプレイスですが、少し歩けば静かな住宅街が広がっています。
店内は思いのほか広く、ダイニングエリアに20席近くあり、加えて奥には個室の用意もあります(写真は公式ウェブサイトより)。野村昌彦シェフは26歳にブルゴーニュに渡り、フランスやロンドン、イタリアで腕を磨いたのち、2000年に当店を開業したそうです。
ご用意頂いた食前酒は ティント・デ・ベラーノでしょうか、赤ワインをトニックウォーターで割ったものであり、ガガっと一気飲みして食欲に火を点けます。ワインの値付けは良心的で、グラスワインは千円ほどから始まり、ボトルのシャンパーニュも1万円を余裕で切ります。
まずはカンパチのカルパッチョ。新鮮なカンパチは身が引き締まっており、プリプリとした食感。ほどよく脂がのっており、身の旨味とのバランスが心地よい。色んな食感のお野菜も魅力的です。
パンにはゴマがたっぷりと練り込まれており、香ばしいかおりが食欲をそそります。噛むたびにプチプチと楽しい食感があり、ほんのりとした甘みのあるパン生地との相性が見事です。フグはフリットで頂きます。淡白なフグの旨味を閉じ込め、外はカリッと中はふわっとした食感が魅力的。トマトベースのソースは、フグの淡白な味わいに酸味とコクをプラスします。
スープにはすりつぶされた魚介類がたっぷりと溶け込んでおり、海の幸の香りが漂う逸品。緑色のブツはラビオリでしょうか、中にはカニの身がたっぷりと詰まっており、それらを崩しながらスープと共に味わって何とも贅沢なひと品です。
お魚料理はクロダイなのですが、どうしても目を惹くのは周囲を取り囲む麺。なんと茶そばを起用しているようで、ブラックオリーブの風味が効いており不思議とよく合う。まさに問題作といったひと皿で、強く記憶に残りました。
メインはエゾジカ。鉄っぽい風味を中心とした猛々しい味わい。付け合わせ(?)はフォアグラで、淡泊気味なエゾジカの肉に脂肪分を補填します。デザートはシャーベットにコーヒー牛乳風味のプリン。美味しいのですが、これまでの料理に比べるとチープに感じました。やはりパティシエを何人も擁するレストランは偉大だなあと再認識しました。
お茶菓子と紅茶でフィニッシュ。ごちそうさまでした。
以上のコース溶離が1万円ほどで、ワインを2人で1本飲んでお会計はひとりあたり1.5万円ほど。料理の質および量を考えれば実にお値打ち。また、かなりの席数であるのに皿出しのテンポが良いのがいいですね。やはりベテランの職人は安定して仕事が速い。オヤジのフレンチは大好きだ。
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- ガストロノミー ジョエル・ロブション (Joel Robuchon) ←やはり完璧。
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- アピシウス ←東京最高峰のレストラン。
- ナリサワ ←何度訪れても完璧。
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- エルヴェ(eleve) ←アラカルトでもコースでも自由自在。
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