店内は思いのほか広く、武蔵小山の飲み屋としては最大級ではなかろうか。かなりの席数なのですが、シェフひとりサービスひとりのツーマンセル体制でテキパキと作業をこなします。およそ待たされたと感じた瞬間は1秒も無く、仕事の遅い飲食店は当店に研修に来ると良いでしょう。
スパークリングワインは990円でなみなみにお注ぎ頂けます。生ビールは600円、瓶ビールは700円と良心的な価格設定。不動前の「焼鳥 一(まこと)」は中瓶が1,100円だっただけに、胸が高鳴ります。
前菜の盛り合わせ。住宅街の居酒屋としては相当に手が込んでおり、クラッカーで挟んだ大山鳥のレバーペーストがひときわ輝いていました。
しらすと春菊とマッシュルームのサラダ。春菊のほろ苦さと独特の香りが、しらすの塩味とマッシュルームの旨味を引き立てます。 よだれ鶏のパクチーのせ。しっとり柔らかな鶏むね肉に、旨味のあるタレが絡みます。パクチーの独特な香りが、よだれ鶏の旨味と辛味に、爽やかなアクセントを加えてくれます。
和牛ザブトンのユッケ風。コレ系の料理は割高であることが多く敬遠しがちなのですが、当店は別格。きめ細やかな肉質のザブトンを低温調理で火入れし、しっとりとした口当たりに。生肉の甘みと蕎麦出汁、卵黄のコクが合わさり、至福の味わいを生み出します。白子の天ぷら。とろけるような口当たりが特長的で、それを天ぷらにすることで、外はカリッと香ばしく、中はトロッとクリーミー。
雲仙ハムカツ。一時期はお取り寄せで自宅で楽しんでいたほど好きなハムですが、久しぶりに食べても、やはり旨い。噛むほどに肉の旨みがじゅわっと広がりる。衣はサクサク で、中のハムとの食感のコントラストも楽しむことができます。
土鍋ゴハンは金目鯛とミョウガ。金目鯛はプックリと膨れ上がり、脂がのっていて、その旨味がゴハンの一粒一粒に染み込みます。ミョウガのシャキシャキとした食感も爽やかな香りも見事なアクセント。何万円もする日本料理店の〆のお食事に比肩する完成度です。
以上を2人で食べ、そこそこ飲んでひとりあたり6-7千円といったところ。居酒屋の鏡のような食後感でありバランスが素晴らしい。客層も落ち着いており、静かに食事を楽しむことができました。次回は売り切れだったシュウマイやメンチカツを是非試してみたいと思います。
関連記事
目黒は焼鳥やトンカツ、カレーにラーメンと生活に密着した飲食店が多く、そのいずれのレベルも高い。地味ですが豊かな食生活が約束されている街です。
- サエキ飯店 ←食堂系中華の最高峰。
- レストランユニック(restaurant unique) ←ジビエが自慢。
- クロデグルメ(Clos Des Gourmets) ←1万円でお釣りが来るミラクルなフランス料理店
- 立飲ビストロシン サンテ(SHIN Sante) ←普段使いの最高峰。
- 手づかみDining 東京ハンズ(Tokyo Hands) ←大好きだ愛してる。
- リナシメント(RINASCIMENTO) ←前菜の盛合せ。ぐわー!なんだこりゃ!
- 和創作 太(わそうさく た) ←これをお買い得と言わずして何と呼べば良いのでしょうか。
- 鳥しき ←焼鳥界のレジェンド。
- LAND(ランド) ←目黒のカレーはコチラでキマリ。
- 薬膳スープカレーシャナイア(Shania) ←でもスープカレーならこっち。
- 支那ソバ かづ屋 ←下手な中華料理屋に行くよりも余程上質。ワンタンメンはマスト。
- 鶏そば きび ←まるで上質な水炊き屋のような味わい。
- とんき ←80年の歴史は伊達じゃない。
- タイ料理 みもっと ←ここはガチでやばたにえん。
市や区など狭い範囲で深い情報を紹介する街ラブ本シリーズ。2015年の『目黒本』発売から約4年の年月を経て、最新版が登場!本誌は目黒に住んでいる人や働いている人に向けて、DEEPな目線で街を紹介するガイドブックです。