高円寺の人気店「しげくに屋55ベーカリー」のせがれが恵比寿に「繁邦(しげくに)」を開業。朝から夜まで営業しており、モーニングにランチ、カフェ、ビストロと多くの顔を持ちます。ホテルのオールデイダイニングみたい。場所はアトレ側のビッグエコー裏(上?)と、ちょっと変わった立地です。
間取りも変わっていて、入ってすぐにパンの販売所と大テーブル、左に個室、右奥にカウンター席。照明は薄暗く近未来的な音楽が流れ、恵比寿を凝縮したようなお店です。
青木虎太郎シェフは代々木上原のきもちくさせてくれるレストラン「sio(シオ)」で経験を積み、家業のパン屋を手伝いながら力をためてきました。
ビールは850円、グラスワインは千円強~と、恵比寿らしい価格設定。今ドキの男女が集う店であり、あんまりガブガブ飲む雰囲気ではありません。サービス陣の身のこなしはまだまだで、店の動線に苦労しているようにも見えました。
名刺代わりに「繁邦トースト」。当店の看板料理であり、トーストしたクルミパンの上に、発酵バターとハチミツ、アンチョビをのせ、ペコリーノをたっぷり。甘じょっぱく、旨味も強く、穀物のふくよかな風味も楽しめます。これは先頭打者ホームランだ。
クラムチャウダー。お出汁はアサリやハマグリが土台で、安納芋もスープに溶け込んでいるそう。お芋の甘味が強く感じられ、一風変わったクラムチャウダーです。パンは流石の美味しさ。パンの販売もし、ディナータイムにも出すというのは良い工夫ですね。ある意味では「ガストロノミー ジョエル・ロブション (Joël Robuchon)」に近い仕組みです。
カツオのタルタル。トッピングは万願寺唐辛子で、その下にはブッラータが潜んでいます。全体としてたまり醤油で調味されているのか、創作居酒屋っぽい味覚でした。
金目鯛のフリット。衣はセモリナ粉でカラっと揚げており、料理というよりもスナックに近いカジュアルさ。ソースはバーニャカウダ風で親しみ易い味わいです。付け合わせのジャガイモは熟成しているのか、甘味が濃く美味しかった。メインは蝦夷鹿のロースト。キレイな味わいの肉質で、塩でシンプルで調味しています。素朴な料理ではありますがボリュームは中々のものであり、結果として記憶に良く残る。付け合わせのレンコンやジロール茸も美味しい。
〆のお食事はマッシュルームのカチョエペペ。この量で1人前であり、必ず満腹にして帰すという気迫を感じます。ただし麺はコンパクトな味わいで、口当たりも滑らか過ぎるきらいがあり、途中で食べ飽きてしまいました。
パスタですっかり満腹になったのでデザートはパス。締めくくりにサービスでほうじ茶をお出し頂けました。
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以上のコース料理が8,800円で、グラスワインを2杯飲んでお会計はひとりあたり1.3万円といったところ。8,800円のコース料理としてはかなりのボリュームで、普通の食欲の方であれば満腹間違いありません。アラカルトでの注文も可能なので、自慢のパンと共に前菜をたくさん取るのも面白そう。実に恵比寿らしいお店だなと感心したディナーでした。
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「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
- オトワ レストラン(Otowa restaurant) ←本気でフランスの料理文化に取り組んでいる。
- ガストロノミー ジョエル・ロブション (Joel Robuchon) ←やはり完璧。
- La couleur d'ete(ラ クルール デテ) ←選んだ孤独は良い孤独。
- アピシウス ←東京最高峰のレストラン。
- ナリサワ ←何度訪れても完璧。
- elan(エラン) ←表参道のナポレオン。
- 銀座 大石 ←自分が働くならこういう職場。
- ナベノイズム ←世界観がきちんとある。
- ル・マンジュ・トゥー ←接客は完璧。料理は美味そのもの。皿出しのテンポも良く、とにかく居心地の良いお店。客層も好き。
- エルヴェ(eleve) ←アラカルトでもコースでも自由自在。
- TAIAN TOKYO(タイアン トウキョウ) ←流行り廃りに捉われないマッチョな料理。
- アサヒナガストロノーム ←そこらのフランス料理店とは格が違う。
- エステール(ESTERRE) ←料理もサービスもパーフェクト。外せない食事ならココ。