立呑み中華 起率礼(きりつれい)/自由が丘

学芸大学で大人気の「立呑み 鉄砲玉」の姉妹店「立呑み中華 起率礼(きりつれい)」が自由が丘に開業。デビュー後あっという間に注目を集め、場面で行列も生じるとの情報を得ました。そのため16時ちょうどのオープンに合わせてシャッター待ちしたのですが、開店前に従業員がダベりながら軒先でタバコを吸っているのはロマンに欠けます。そういうのは見えないところでやってくれ。
店内にはカウンターが1本だけあり、先端がアルトサックスのように折れ曲がった形状です。客席数は公称16席ですが、詰めてしまえば何とかなるというスタイル。余程のことが無い限り行列するということはないでしょう。

井上史子シェフはリッツ大阪の「香桃(シャンタオ)」やウェスティンの「龍天門(りゅうてんもん)」、広尾「中華香彩JASMINE」で経験を積んだ凄腕。店内の誰よりも忙しいはずなのに、ゲストへの心配りが素晴らしい。
飲み物は当たりはずれが多いですね。ビールの量と値段のバランスは悪くないですが、自慢のナチュールワインはテイスティンググラスほんの少しで790円と非常に割高。立ち飲みでこれはちょっとなあ。
お料理に参りましょう。看板料理の「よだれ鶏」は広尾「中華香彩JASMINE」の系譜を引き継ぐ味覚だそうで、分厚いカットが特長的。肉そのものの味わいに骨格があり、ゴハンが欲しくなる逸品です。
鶏モツのナントカ漬け。「ナントカ」ってのは紹興酒の酒粕だったっけな?独特の風味がある複雑な味わい。レバーの鉄っぽい味覚と相俟って、お酒の進むひと品です。
蒸し物もあって、手前はエビ焼売に奥が野菜饅。提供に13分を要すると予め宣言しているのがクールですね。当店は料理の提供が大変スピーディー。ゲスト数とその回転率を考えると、中目黒の話題の中華は何であんなに仕事が遅いんだというお気持ちです。
みんな大好き麻婆豆腐。やや甘めに仕上がっており、円熟した味わい。辛味はそれほど強くなく、万人受けする味わいです。色んな味噌の香りがする。
〆に「ハムユイ炒飯(チャーハン)」。もう作っている最中から発酵臭がムンムン。お米はジャスミンライスかな、麻婆豆腐に引き続き香り豊かな料理です。具材は卵とネギだけなのに、表情豊かな味わいです。
日が暮れると三密度合いが増していき、隣の酔っ払いのオバサンに絡まれそうになったので、慌てて帰ることにしました。このあたりはワイガヤ系の立ち飲み屋の難しいところですね。

お会計はひとりあたり6千円で、思ったよりも高くついたなという印象です。ダラダラ飲むというよりも、ビールを1杯、ツマミを2品にチャーハンを食べて3千円、みたいな使い方が適したお店に感じました。

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