西成区は花園町駅から徒歩数分の住宅街にある「ひげ勝(ひげかつ)」。大阪名物の串カツと言えば、新世界の「八重勝」や「だるま」などが有名どころですが、「あそこは観光客向け」という声も多い。当店は正真正銘、地元民向けのお店です。
記帳台に名前と人数を記載し、声の届く範囲で待ちます。平日の17時台で30分近く待ちました。店内はカウンターのみで15-16席ほどでしょうか。ギチギチに詰めるというよりはオペレーションを優先しているように見えました。
酒は安く大瓶で650円。ジョッキのビールやハイボール、日本酒なども600円前後といったところ。揚げ物にビールって、どうしてこんなにも合うのだろう。定番の「どて焼」。どう見ても煮込みなのに「焼き」と呼ぶのは串カツ専門店でのお約束。当店のそれは白味噌での調味が支配的で、はっきりと甘い。プルプルとしたゼラチン質で私またキレイになっちゃいました。
「串かつ」は牛肉。大阪で「串かつ」と言えば牛肉を指すお店が殆どです。小ぶりで衣も薄いのですが、サクサクと香ばしく、スナックのようにビーフの風味を楽しみます。
こちらも定番のキャベツ。「ソースの二度づけお断り」も定番ですが、キャベツで上手にソースをすくって追いソースするというテクノロジーも大阪人は併せて発明しています。ちなみに当店のキャベツはおかわりが有料ですが、追加で50円という可愛らしい価格設定です。
たこ。衣はサクサク、中はクニクニ。酒のツマミにピッタリです。
エビはプリプリの食感が堪らない。凝縮感があり見た目以上にぶっといやつ。
イワシ。身はふっくらと柔らかく、口の中でホロホロと崩れていくたびに、イワシ本来の旨味がジュワっと溢れ出ます。
ゲソ。ひょろ長い脚ではなくぶつ切りを串に刺して揚げるスタイルで、コリコリとした独特の食感が魅力です。
アスパラ。30センチに届くかと思う程のロングサイズであり、心地よい歯ごたえと共に、アスパラガス独特の香りが鼻をくすぐります。
シイタケに牡蠣。シイタケは驚くほど肉厚で、「お山のたいしょう」の「たいしょう揚げ」を想起させる完成度です。牡蠣はいくつかの粒をひと串に刺しており、旨味をギュっと閉じ込める高温揚げスタイルです。
レンコンは穴から揚げ油が程よく染み込み、外はサクサク、中はホクホクとした食感。ホタテも貝柱の旨味がぎゅっと詰まっています。
アナゴにウズラ。アナゴのサイズが圧巻で、対馬「あなご亭」を思わせる大迫力。こうなってくるとソースだけでなくタルタルソースなども欲しくなる。
左からミノ・鶏ねぎ・紅生姜。紅生姜は大阪における串カツのタネとして定番ですが、ミノというのは初めてかもしれません。鶏ねぎも、焼鳥で言うところのネギマみたいなものかなあ。それをそのまま揚げてしまうだなんて実に大阪人らしい試みです。
〆にエビをもう一本。私は無類のエビ好きでありエビであればカップヌードルの具材ですら美味しく感じてしまうタチですが、そんな私であっても品質の高さがハッキリと感じられるひと品でした。
以上を食べ、大瓶を2本飲んでお会計は6千円と少し。これは高価食材を含めかなり派手派手に食べた結果であり、周りのお客さんは4-5千円に落ち着いている方が殆どでした。2万円も3万円もする串カツも悪くはないですが、やはり私にとっての串カツと言えばこれぐらいでちょうどいい、これぐらいがちょうどいいのだ。人気の記事
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。