志むら(しむら)/目白

「目白に予約の取れないカキ氷屋があって、予約しておいたから予定空けといて」と、カキ氷ヲタクからのお誘い。じゅうぶん予約取れてるやん、というツッコミを心のうちに秘めつつ目白の地へと降り立ちます。
1939年創業の「志むら(しむら)」。原則として和菓子屋さんなのですが、近年はそのビジュ爆発のカキ氷が耳目を集め、有名人のファンも多いことから人気沸騰。1階はいわゆる物販スペースであり、甘味喫茶は2階と3階。勢い込んで予約時間の20分も前に到着してしまったのですが、そのへんは融通きかせてくれました。
店内はギッチギチということはなく、ゆとりのある席間とオペレーションです。ゲストは女の子同士か女の子に連れられた男の子という組み合わせです。私の連れは「ココは崖系だから、気を付けてね」と、相変わらず何を言っているのかよくわからない。
着席して数分で「和栗のあんバター」が着丼。ワオー!これは物凄い迫力ですねえ。トトロに出てきても違和感のないオーラがあります。ハンドボールほどのサイズのカキ氷にシロップやらクリームやらバターやら、とにかく凄いことになっています。
トップのバターは丸々のバターでなく、ちょっとしたザラつきを感じたので、バターを主軸としたケーキかプリンか何かでしょう。見た目ほど油脂は強くなく、後を引く美味しさです。
内部にもタレやら何やらいっぱい詰まっています。あんこやホイップクリーム、渋皮煮もたっぷりで、色んな味覚を楽しむことができ、食べ飽きることがありません。
味変用にと和栗のペーストも添えられており、しみじみ美味しい。2,400円とカキ氷としては異例の価格設定ですが、このボリューム感であればむしろ割安と言えるでしょう。
こちらは「黒ごま餡」。なるほどエルキャピタンのようにそそり立つ氷の壁に、ドロリと気前よく黒ごま餡が注ぎ込まれています。「生いちご」などのメニューにおいても同様のスタイルらしく、これが「崖氷(がけごおり)」と呼称される所以とのことです。
これで1,850円。ど田舎の「阿左美冷蔵 金崎本店(あさみれいぞう)」で、どシンプルなカキ氷を食べて1,600円ということを考えれば、やはり良心的です。
頭の大盛よろしく氷の量よりもタレの方が潤沢という嬉しい誤算。内部には練乳、外堀には黒ゴマアイスに白玉と、おそらく私はこの日、世界で最も黒ゴマを摂取した成人男性と言えるでしょう。
美味しかった。氷が自慢の繊細系のカキ氷とは路線を異にし、和菓子のテクでガンガン押してくるスタイルです。方向性としては代々木「あずきとこおり」に近いかもしれません。フレーバーが色々あるのも楽しいですね。次回は王道の「生いちご」や「宇治金時」などを試してみたいと思います。

食べログ グルメブログランキング


関連記事
男、かつ、左党の割にスイーツも大好きです。特にチョコレートが好きですね。JPHが基準なので、スイーツの評価は厳し目かもしれません。

難解な理論をユルいトーンで柔らかく読み解く専門書。チョコレートに係る基本的な素養から、文学や映画など芸能との関係まで解かり易く解説。ぜひチョコレートを食べながらのんびりと読んでみましょう。

Shirokane Tios(シロカネ ティオス)/白金高輪

白金商店街の真ん中にオープンした「Shirokane Tios(シロカネ ティオス)」。外観からして見るからに感じの良いレストランですが、前って何の店だっけ?と調べてみると、靴の修理店だったそう。
店内はカウンターのみで10席ほど。横並びに座る前提の客席なので、2-3人で訪れるのが限度かな。常連客が多く、町内会の寄り合いのような親しみ易い雰囲気です。青緑色のタイル張りがかわちい。
ワインはヨーロッパのものを満遍なく揃えている印象で、ボトルで3-4千円と気楽な価格帯が多く嬉しい。ビールやサワーなども用意されており、港区のこの手の飲食店としては良心的な価格設定です。
お通しのレバーパテ。ねっちりとした鉄っぽい味覚が食欲をそそる。お通しが凝っているお店は大体いい店です。
グリーンサラダ。調味が全体に上手く回っており、身体がキレイになる味わいです。
フリットはイカ・エビ・牡蠣・シャケなど色々あって、好きなものを選択できます。もちろんミックスもOK。いいなあこういう    自由な飲み屋。
「アンチョビポテト」はフレンチフライをアンチョビで味付けしたものを想定していたのですが、ゴロっとしたジャガイモにキノコなども組み込まれ、思いのほか凝った代物で嬉しい。
メンチカツ。肉汁ジュワ系ではなく赤身の押しが強い系で、タフな味わいです。赤ワインに良く合う。
ランプレドット。イタリア風のモツ煮込みであり、ギアラが香味野菜と共にじっくりと煮込まれています。汁気が多いのも嬉しく、バゲットを浸して食べて至福のひととき。
パスタは相談すれば何でも作ってくれるスタイル。「つまみになるパスタ」と称するだけあって調味は強めであり、酒の進む炭水化物です。
デザートも用意されており、チョコの風味をシットリどっしり楽しみます。濃ゆいワインと共に楽しみ、こちらもツマミになりますな。
以上を飲み食いしてお会計はひとりあたり1万円と少し。ただしこれはさんざん飲んだ結果であり、普通の飲食量であれば6-7千円に落ち着くことでしょう。早い時間帯は予約客で埋まりますが、近所の2次会3次会勢がみんな立ち寄って来る雰囲気で、地元に愛されている感に満ちています。これは第二の鈴木屋になるかもしれない。オススメです。

食べログ グルメブログランキング


人気の記事
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

東京最高のレストラン2024
価格:2,420円(税込、送料無料) (2024/1/6時点)

「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。

Pho K&A Local Vietnamese Cuisine/カパフル(ホノルル)

ワイキキのすぐ近くのグルメストリート、カパフル通りに位置する「Pho K&A Local Vietnamese Cuisine」。コロナ後に爆誕した新しいお店ですが、あっという間に地元のフーディーたちのハートを射止めた大人気店です。
予約をしていなかったので、余裕をもって17時頃にお邪魔すると、待たずに着席することができました。カジュアルなベトナム料理はそれほど時間をかけて食べるものでもなく、また、アルコールも置かれていないので、回転が良いのかもしれません。
まずはグリーンパパイヤサラダ。千切りグリーンパパイヤにバジル、そしてたっぷりのエビ。パパイヤが刺身のツマのように細く細く切り刻まれており、サクサクパクパクとスピーディーに食べ進めることができます。程よく甘酸っぱい味覚も前菜として最適です。
揚げ春巻き。なのですが、山盛りの野菜類が付随するのが嬉しいですね。春巻きをレタスなどで巻き巻きして大口で頬張る。これはもう、罪悪感ゼロどころか四捨五入するとサラダです。
バインセオはベトナム風のクレープまたはお好み焼きであり、生地の中には炒めたモヤシと茹でたエビがたっぷり詰まっています。こちらも葉物野菜やハーブなどの生野菜で包んで頂きます。黄金色の薄い生地は、外はパリパリ、中はもっちりとした食感。野菜の苦味と海老の旨味が重なり合い、様々な風味を楽しむことができます。
「スペシャルコンボフォー」は牛肉とホルモンが入っているのかな。様々な食感と味覚が組み合わさった、まさにスペシャルなフォーです。スープも旨く、あっさりながらも奥深い味わい。大量の野菜と香草が添えられるので、〆の食事ながら罪悪感は皆無です。
美味しかったし、若干アメリカ流に魔改造されているのか、とんでもないボリュームで喰わせるという試みも良いですね。本場ベトナムの有名店よりも、こっちのほうが私はすちかもしれない。また、アメリカは物価が高いと言われますが、ボリューム感を考えれば日本のそれと大差無いような気がします。スタッフの愛想も良く店内は清潔。大満足のディナーでした。

食べログ グルメブログランキング

関連ランキング:ベトナム料理 | サウサリート


人気の記事
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

東京最高のレストラン2024
価格:2,420円(税込、送料無料) (2024/1/6時点)

「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。

カレー食堂 リトルスパイス(LITTLE SPICE)/吉祥寺

吉祥寺駅から徒歩7-8分、東急の裏手にある人気のカレー屋「カレー食堂 リトルスパイス(LITTLE SPICE)」。創業は2004年と歴史があり、食べログの百名店にも選出されています。
公式ツイッターのプロフで
休業日は不定休です(睡眠障害の為体調不良の時は休みます)ご飯と相性の良いカレーを作っています。 日常の出来事、政治的な事も呟きます。お気に触りましたらご容赦下さい
と、なかなかパンチのある自己紹介があったのでドキドキしましたが、席に着くと「しんぶん赤旗」が掲げられていたりしたので、もっとドキドキしました。吊り橋効果あるかもしれません。
2人で訪れたので、サラダをシェアして食べようとLサイズを注文すると、メガトンクラスの盛りつけで登場しました。500円もしないのに、セブンイレブンのサラダの3杯はありそうです。ドレッシングにナンプラーがきいていて興味深い味わいです。
期間限定(?)の「根菜と豚肉カレー」は1,080円。こちらにもサラダっぽい付け合わせがあり、先のグリーンサラダと合わせて実質カロリーはゼロでしょう。
カレーそのものにはレンコン・ニンジン・ゴボウだったっけな。豚肉はあくまでアクセントという位置づけで、根菜をモリモリ食べるという試みです。ルーはそれほど辛味は感じませんが、ジワジワと内臓が温まってくる遅効性。
ラグビーボール状に盛りつけられるライスは、うーん、これはまあ、ライスですね。カレーそのものが尖っているので、ライスにも一工夫あるとより記憶に残ると思うのだけれど。
こちらの「ブラックカレー」も千円ほど。東洋軒のブラックカレーとは芸風がまるで異なり、ドロりとした口当たりにスパイスの風味が鮮烈に響きます。「根菜と豚肉カレー」に比べると辛味は際立っており、じんわりと汗が浮かんできました。
美味しかった。お邪魔する前は何かのアジトかと警戒しながら入店したものですが、味わいは素直に美味しく、価格設定も良心的。どことなくダウナー系な雰囲気が居心地よく、酒も結構置いてあるので、夜に飲みに来るのも良いかもしれません。何かと興味深く、引き込まれるものがあるお店でした。

食べログ グルメブログランキング


関連記事
カレーって美味しいですよね。インドカレーも日本カレーも大好き。ただしそれほど詳しいジャンルではなく、スパイスマニアには逆立ちしても勝てないので、意外性のあるオススメカレーをご紹介。
カレーにまつわる単語が辞典形式にまとめられ、知っていそうで全く知らないカレーエピソードがたくさん詰まっています。気合を入れてカレーを食べに行く前に目を通してから臨むと楽しさ倍増!

繁邦(しげくに)/恵比寿

高円寺の人気店「しげくに屋55ベーカリー」のせがれが恵比寿に「繁邦(しげくに)」を開業。朝から夜まで営業しており、モーニングにランチ、カフェ、ビストロと多くの顔を持ちます。ホテルのオールデイダイニングみたい。場所はアトレ側のビッグエコー裏(上?)と、ちょっと変わった立地です。
間取りも変わっていて、入ってすぐにパンの販売所と大テーブル、左に個室、右奥にカウンター席。照明は薄暗く近未来的な音楽が流れ、恵比寿を凝縮したようなお店です。

青木虎太郎シェフは代々木上原のきもちくさせてくれるレストラン「sio(シオ)」で経験を積み、家業のパン屋を手伝いながら力をためてきました。
ビールは850円、グラスワインは千円強~と、恵比寿らしい価格設定。今ドキの男女が集う店であり、あんまりガブガブ飲む雰囲気ではありません。サービス陣の身のこなしはまだまだで、店の動線に苦労しているようにも見えました。
名刺代わりに「繁邦トースト」。当店の看板料理であり、トーストしたクルミパンの上に、発酵バターとハチミツ、アンチョビをのせ、ペコリーノをたっぷり。甘じょっぱく、旨味も強く、穀物のふくよかな風味も楽しめます。これは先頭打者ホームランだ。
クラムチャウダー。お出汁はアサリやハマグリが土台で、安納芋もスープに溶け込んでいるそう。お芋の甘味が強く感じられ、一風変わったクラムチャウダーです。
パンは流石の美味しさ。パンの販売もし、ディナータイムにも出すというのは良い工夫ですね。ある意味では「ガストロノミー ジョエル・ロブション (Joël Robuchon)」に近い仕組みです。
カツオのタルタル。トッピングは万願寺唐辛子で、その下にはブッラータが潜んでいます。全体としてたまり醤油で調味されているのか、創作居酒屋っぽい味覚でした。
金目鯛のフリット。衣はセモリナ粉でカラっと揚げており、料理というよりもスナックに近いカジュアルさ。ソースはバーニャカウダ風で親しみ易い味わいです。付け合わせのジャガイモは熟成しているのか、甘味が濃く美味しかった。
メインは蝦夷鹿のロースト。キレイな味わいの肉質で、塩でシンプルで調味しています。素朴な料理ではありますがボリュームは中々のものであり、結果として記憶に良く残る。付け合わせのレンコンやジロール茸も美味しい。
〆のお食事はマッシュルームのカチョエペペ。この量で1人前であり、必ず満腹にして帰すという気迫を感じます。ただし麺はコンパクトな味わいで、口当たりも滑らか過ぎるきらいがあり、途中で食べ飽きてしまいました。
パスタですっかり満腹になったのでデザートはパス。締めくくりにサービスでほうじ茶をお出し頂けました。
以上のコース料理が8,800円で、グラスワインを2杯飲んでお会計はひとりあたり1.3万円といったところ。8,800円のコース料理としてはかなりのボリュームで、普通の食欲の方であれば満腹間違いありません。アラカルトでの注文も可能なので、自慢のパンと共に前菜をたくさん取るのも面白そう。実に恵比寿らしいお店だなと感心したディナーでした。

食べログ グルメブログランキング

関連ランキング:ビストロ | 恵比寿駅代官山駅中目黒駅


関連記事
「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
日本フレンチ界の巨匠、井上シェフの哲学書。日本でのフレンチの歴史やフランスでの修行の大変さなど興味深いエピソードがたくさん。登場する料理に係る表現も秀逸。ヨダレが出てきます。フランス料理を愛する方、必読の書。