Ponte Carbo(ポンテ カルボ)/渋谷

人気YouTuberでもある「Chef Ropia(シェフロピア)」こと小林諭史シェフが長野の「リストランテ フローリア」を閉め、東京に「Ponte Carbo(ポンテ カルボ)」を開業。場所は渋谷駅と青学の間のグルメエリアであり、私の推しのフレンチ「モノリス(MONOLITH)」のすぐ近くです。
店内はカウンターに5-6にテーブルがひとつで、トータルでは10席ほどでしょうか(写真は食べログ公式ページより)。YouTubeの中の人が目の前で料理をしてるのって不思議な気分。シェフはどのゲストにも気さくに声をかけており、人柄の良さが滲み出ています。
ワインリストが短かったので、料理に合わせてグラスワインをお任せで頂きました。1杯1,500-2,000円のレンジにおさまるラインナップです。周りのゲストはワインよりもサワーとかそっち系の飲み物を注文する方が殆どでした。
濃厚ウニのプリン。そのへんの鮨屋よりも気前よくウニを盛り込んでおり、四捨五入するとウニかもしれません。
オムレツに冷製のカニと九条ネギをトッピング。美味しいのですが見た目通りの味覚であり、オムレツに冷製のカニと九条ネギをトッピングした味がします。「コンラッド東京(Conrad Tokyo)」の朝食と大差ない姿勢でちょっぴり残念。
カルパッチョには新鮮なお野菜もを組み込んであり、素材としては美味しいのですが、全体としての一体感に欠け、とてもバラバラに感じました。ホームパーティーぽい。
看板料理のカルボナーラはタレの風味が支配的で、ちょっとダレた印象を受けました。もっと玉子のトロっとした感じが私は好きなのだ。
続くリゾットも、米やキノコよりもクリームの主張が強すぎるきらいがあり、任意の味わいです。
お口直しに冷たいお茶。美味しいのですが、ちょっと意図がわかりかねました。食後のお茶にも日本茶がオンリストされていたので、シェフは日本茶がお好きなのかもしれません。
メインは信州プレミアム牛の炭火焼。肉の表面は香ばしく焼き上げられ、内部はジューシーに仕上がっています。肉質はきめ細やかで、脂の旨味がとても上品。量もたっぷり。
デザートはモンブランで、クリのクリームにクリそのもの、加えて紫イモのホクホク祭りであり、流石に腹に溜まりました。
カフェラテがとても美味しい。見たこともないアナクロな機器で丁寧に淹れており、本日のハイライトです。

以上の料理が1.5万円で、そこそこ飲んでお会計はひとりあたり2万数千円。うーん、これはちょっと割高だなあ。これで「Il Lato(イル ラート)」「三和(さんわ)」と同じ価格帯かと考えると、流石に思うところがありました。何なら「merachi (メラキ)」のほうが安いくらいだ。

料理につき、いずれもそれなりには美味しいのですが、全体的にボヤっとした味覚であり、披露宴の料理に近いニュアンスを感じました。私は郷土色豊かな尖ったイタリア料理を好むので、そのあたりの好みは人それぞれなのかもしれません。

今のところはYouTubeの視聴者が連日連夜押し寄せており、令和のタツヤ・カワゴエ状態ですが、その界隈が1回転した後が本当の勝負になりそうです。今からイタリア修行に行って、その様子のvlogに収めたりすると面白いのにな。

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イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。
イタリア20州の地方料理を、その背景と共に解説したマニアックな本。日本におけるイタリア風料理本とは一線を画す本気度。各州の気候や風土、食文化、伝統料理、特産物にまで言及しているのが素晴らしい。イタリア料理好きであれば一家に一冊、辞書的にどうぞ。

末廣軒(すえひろけん)/黒門市場(難波)

古くはミナミの台所であり、現在はすっかり観光地化されボッタクリの聖地として名を馳せた黒門市場。それでも変わらず堅実な商売を続けている店は多く、1897年創業の「末廣軒(すえひろけん)」はその代表格と言えるでしょう。
こげ茶色を主体としてシックな雰囲気の店内。1階はボックスシートが3卓に、2階は宴会も可能なスペースが用意されているようです。たまたま空いているタイミングでお邪魔できたため、店主親子(?)がにこやかに出迎えてくれ心和みます、
まずは野菜を摂ろうと深く考えずに「特においしいサラダ」を注文すると、「クリスプ サラダ ワークス(CRISP SALAD WORKS)」も真っ青の爆盛りサイズでやってきました。いわゆるコールスロー的なスタイルなのですが、メニューによると「スモークサーモン・コールドビーフ・ハム・セロリ・レモン・チーズ入り」であり、実に色んな味がします。なるほど料理名に恥じない美味しさです。
こちらは「ハイシライス」。いわゆるハヤシライスですが、関西ではたまにそう呼称するお店があります。由来は知らない。
味につき、非常に酸味が強く、ちょっと変わったタイプです。細切りの玉ねぎが山ほど入っており、ブラインドで食べればハヤシライスだと気づかないかもしれません。
「特においしいサラダ」が1,100円に「ハイシライス」が1,000円と悪くない価格設定です。ちなみに当店の目玉は「ビフテキ」で、この日は昼に山ほど牛肉を食べて来たのでパスしましたが、次回はそちらに挑戦したいと思います。200グラム7千円しびれるぜえ。

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東京最高のレストラン2024
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ANAファーストクラス/成田→ホノルル

私は2019年から2024年3月までJALのダイヤモンド会員だったのですが、コロナ後のサービスの劣化が甚だしく、何度か真剣に苦情を申し立てたにも関わらず改善の兆しは見られなかったのでサヨウナラ。2024年からはANAに鞍替えし、そのデビュー戦としてホノルル行きのファーストクラスを予約しました。
A380通称「フライングホヌ」に乗りたかったので出発は成田から。ファーストクラス客向けの秘密のチェックインカウンターZへと向かいます。
これはなかなか、いや、かなり見事なチェックインカウンターですね。他の空港のチェックインカウンターにつき、ファーストクラス客はレーンこそ分けられているもののカーペットを敷いてあるくらいの違いでしかないのですが、コチラは完全に空間が分けられており、カウンター数もエコノミークラスのそれよりも多いくらいです。もちろん専用の手荷物検査場もあってスイスイ。
しかしながら、ラウンジは全く残念でした。有償のファーストクラス客が利用するラウンジとしては世界最低レベルと言って良いかもしれません。「JALファーストクラスラウンジ」といい勝負ですが、JALのほうがまだ空間に高級感があります。詳細は別記事にて。
我々が乗り込む機体はA380の3号機「ラー」。ハワイの言葉で太陽を意味するため、機体のカラーもオレンジなのでしょう。ファーストクラスは2階に位置し、そこへ直結する通路から乗り込みます。
ラウンジ同様、良く言えばスタイリッシュですが悪く言えば安普請であり、JALのファーストクラスのほうが高級感があるように感じます。もちろんこれは路線や機体にも拠るかもしれません。
妻と並びのシートを予約したのですが、パーティションを完全に取っ払うことはできず、ダブルベッドのように楽しむことはできません。それでも2人で合計3畳近い広さは感じられ、アルファードの後部座席を全て使用しているような感覚です。
アメニティにノイキャンのヘッドホンに機内特別販売のご案内にwifiのカード。「機内特別販売のご案内」は響の100周年記念ボトルを1人1本限定で5万円で買えるというもので、ファーストクラスの乗客はほぼ全員買っていたように見えました。我々も帰りに2本買いました。
アメニティはレザーボックスがイギリスを代表する高級レザーブランド「エッティンガー(Ettinger)」のもので、コスメ類は「SENSAI」。私は極潤しか使わないので妻にプレゼントすると、とても喜んでいました。愛妻家たる所以である。
席に着くとすぐにウェルカムドリンクが振舞われます。A380は520席もあるので全乗客が乗り込むには時間を要するのですが、あれやこれやと設備に見どころが多いので、決して待ちくたびれるということはありません。SNSで時おり「出発時刻なんて一緒なのに急いで乗る意味あんのwww」と嘲笑を向ける心ない方もいらっしゃいますが、我々はシャンパーニュを飲みながら渡航先の最新レストラン情報などをCAから仕入れるのに忙しい。

CAの接客は良い意味でカジュアルで、スタバの店員のようにフランクに話しかけてきてくれます。JALのファーストクラスのCAは取引先の秘書のような慇懃無礼な接客なので、このあたりの方針の違いは非常に対照的に感じました。
夜に飛び立ち朝に着くフライトなので、離陸前にパジャマに着替えてしまいます。ゲストの全員が同じネズミ色のスウェット上下に着替えるので、皆、囚人のようで何だかおかしかったです。
化粧室はカタール航空のファーストクラスとまでは言えないものの、中々の広さです。ただ、内装はエコノミークラスのそれと大差なく、高級感に欠けているのが残念。
水平飛行に入るとアペリティフ、アミューズと続き、すぐに夕食が用意されます。テーブルの広さはかなりのもので、下手なレストランよりも面積は広いかもしれません。
フライト中のシャンパーニュはクリュッグで通します。ボディに厚みがあって、空の上でも充分に美味しい。JALの目玉はサロンですが、若いブランドブランは軽すぎて高高度で飲むには適していないような気がします。
アミューズは和食・洋食共通のもので、どちらかというと洋食寄りのスタイル。リエットの芽キャベツ包みとタコをどないかしたやつが良かったです。
先付はホッキガイとお浸しであり、機上で楽しむものとしてはかなりの美味しさ。今シーズン初のマツタケも嬉しい。前菜も色々と盛り込まれており、酒のツマミに最適です。
お椀はアマダイに月見豆腐。スープに旨味がきいていてわかり易い味わい。月見豆腐は中心部がキンキンに冷えたままであり、このあたりは機内食の難しいところかもしれません。
お造りはハタに本マグロにイカ。先のホッキガイもそうですが、魚介類はいずれもかなりの品質。海外発のフライトだと難しい面もあるでしょうが、日本発のフライトの見どころのひとつと言えるでしょう。
メインは和牛サーロインの吉野煮。ハモなどの小鉢も色々と添えられかなりのボリュームです。ゴハンも一緒に持って来てもらってすっかり満腹。
デザートは洋食メニューからも選べるとのことだったので、キャラメルポムをチョイス。が、これはアメリカで食べるスイーツのようで、とても大味。バニラのアイスがシンプルに一番美味しかったです。
食後は化粧室でしっかりと歯磨きし、その間にCAにベッドを作ってもらいます。長さは結構ありますが横幅は狭く、寝返りを打つことは難しい。ミイラのように行儀良く寝る必要があります。ちなみに左後ろのゲストが明らかな睡眠時無呼吸症候群で、機内にCPAPは持ち込めないのかな、など、彼の身を案じながら眠りにつきました。
朝食はアラカルトメニューから好きなものを好きなだけ注文するスタイルで、まずはガーデンサラダ。これはまあ、コンビニレベルの味わいです。
メインにハンバーガーを選んだのですが、これは全然美味しくないですね。ラウンジのハンバーグも不味かったので、ANAはハンバーグに対してもっと真面目に取り組むべきだと思います。太平洋航路を飛ばしているエアラインとしては唯一倒産経験が無い航空会社なのだから、その矜持を活かして欲しい。
妻は鮭茶漬けを注文したのですが、鮭のボリューム感が半端なく、鮭弁を3D化したような迫力がありました。

初めてフライングホヌのファーストクラスに乗った感想は「何だか忙しかったなあ」ですね。そりゃあ僅か7-8時間の航路でフルコースの食事を楽しみ、睡眠を取った上で朝食まで食べるのだから、当たり前と言えば当たり前です。
こういった中距離のレッドアイフライトにファーストクラスの設備やサービスは過剰であり、LCCのフルフラットシートでひたすら寝続けるのが一番賢いような気がしました。やはりファーストクラスは十数時間にも及ぶ超ロングフライトでこそ、その真価を発揮できるように思います。いずれにせよ時差の前には無力ではあるのですが。

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。

ビストロ オリエンタル(Bistro Oriental)/金沢駅

金沢のビール醸造所「オリエンタルブルーイング(Oriental Brewing )」が手掛けるレストラン「ビストロ オリエンタル(Bistro Oriental)」。金沢駅直結の駅ビル「クロスゲート金沢」のレストランフロアにありアクセス至便。
ランチタイムにお邪魔し、ランチセットのドリンクをプラス550円でビールに変更することができるとのことで、望むところです。が、思いのほか量が少なく、正規料金で990円ということを考えると、ちょっとアレだなあというお気持ちです。
私は上階のハイアットに宿泊しており、ロビーにあったチラシを持っていったら本日のツマミ的なものをサービスしてくれました。先のビールと合わせて550円だと無理くり納得するようにする。
メインは能登豚ロースとをチョイス。長時間しっとりと火入れした所謂ローストポークであり、程よくジューシーで上々の仕上がりです。が、金沢のランチで1,650円というのは強気の価格設定と言えるでしょう。
ライスは一般的な定食屋のそれです。器がちょっと食べづらくって、ここは普通の茶碗で良いと思う。
以上を食べ、ビールを1杯つけて2,200円。ハイアットのチラシがあったから一命をとりとめたものの、バニラで訪れたら色々と考えるところがあったかもしれません。写真を撮るためだけのパフェ屋と似たような商業主義を感じたランチでした。

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北陸新幹線開通前は秘境的な小京都として魅力があった金沢。開通後は客層が荒れだし、土日連休は東京のガチャガチャした人ばかりです。それは飲食店においても同様で、金曜日の夜から日曜日にかけての鮨屋など港区のちょづいた店と雰囲気は似てきています。きちんと食事を楽しみたい方は、連休を外して訪れましょう。
「大人絶景旅」と銘打ってはいますが、石川の名所をテンポ良くまとめています。グルメ情報も多くモデルルートの提案もあり、広告だらけのガイドブックとは一線を画す品質の高さです。