中国菜 灯菜(ちゅうごくさい ひな)/中目黒

池尻大橋から中目黒に移転した「中国菜 灯菜(ちゅうごくさい ひな)」。駅から目黒銀座商店街に入って徒歩数分の新しいビル3階であり、私の推しのイタリアン「ICARO miyamoto(イカロ)」の近くです。
エレベーター降りてすぐ店内。キッチンを取り囲むコの字型カウンターに8席(写真は食べログ公式ページより)。お店の奥には個室もあるようです。店主は横浜や上海で腕を磨いたそうで、化学調味料が不使用の“体に優しい中華”がウリのようです。
この手のレストランとしては酒が安く、青島ビールのいけてるタイプが余裕で千円を切ります。日本酒やワインの品揃えも豊富です。なのですが、謎に皿出しが謎に遅く、最初のひと皿が出る前に謎に1杯飲み切ってしまう勢いです。
入店から20分たってようやく1品目。トウモロコシの冷製フラン(?)に毛ガニをトッピングしたもので普通に美味しいのですが、なぜこの料理を出すのに20分も要するのか理解に苦しみます。
前菜三種はクラゲによだれ鳥に七谷鴨。こちらも普通に美味しいのですが、どうしてゲストの来店タイミングに合わせて準備しておくことができなかったのでしょうか。スピードも味のうちだぞ、と、私の母もボヤいてました。
焼餃子は素朴なスタイルですが、肉がギッチリと詰まってバリ旨い。そして皮もバリ旨い。これは焼餃子というよりも、何か新しい別の食べ物のようである。
春巻きの具材はラムで、先の餃子とはまた違った方向性で美味。仔羊の肉汁がたっぷり詰まっており、ジュワっとジューシーであつぼったい味わいです。
スペシャリテのスープは調味料を一切使わず、食材のエキスのみを用いて味覚を構成しています。塩分は金華ハムから摂っているとのこと。
レンコンのはさみ揚げ。こちらも普通に美味しいのですが、先のスープから20分のインターバルをあけた割にはそれなりといったところです。
油菜心というお野菜とスミイカを炒めたもの。こちらも普通に美味しいのですが、って、うわっ!もうこんな時間!こんなに遅いとスーパーで半額になったお刺身買えなくなっちゃうよ!
お魚料理はスジアラ。沖縄で言うところのアカジンミーバイであり、上品な白身の高級魚です。身が柔らかく仄かな甘みがあり、一点の曇りもない味わいです。この皿出しのテンポの悪さと魚の旨さから、恵比寿の「TACOS BAR (タコス バー)」を思い出しました。
お肉料理は北海道産の牛ハラミ。程よく脂を湛えており、肉とのバランスがとても良い。緑色のインゲンみたいなのはササゲというものらしく、それを自家発酵させてどうのこうので手の込んだひと皿です。
〆のお食事は麻婆豆腐。普通に美味しいのですが、なぜ麻婆豆腐?そういえばお隣のゲストは北京ダックをパクついてるし、どのへんが上海なのかよくわからんくなりました。「東山無垢(ひがしやまむく)」の〆の食事がカレーだったことを思い出す。
デザートは杏仁豆腐。コッテリなめらかな仕様であり、上部にジャスミンのエキスが注ぎ込まれておりお洒落な味わいです。

以上のコース料理が1.2万円程。どの料理もそれなりに美味しいですが、いかんせん出すテンポが遅すぎる。3時間だぞ3時間。君たちのコース料理は結婚披露宴よりも長い。こんなにも時間を要するのであれば、料理の種類を絞るなり一斉スタートにするなり工夫すればいいのに。目黒の「サエキ飯店」はワンオペながら同じゲスト数を半分の時間で捌くんだぜ。

もちろんロブションのように豪華絢爛なスタイルであれば4時間でも5時間でもどんとこいなのですが、当店はストーリー性についても脈絡が無く、ホテルの万人受けする中華料理を勿体ぶって少しづつ出されているような気分です。「スピードも味のうち」との言葉が胸に沁みた夜でした。

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それほど中華料理に詳しくありません。ある一定レベルを超えると味のレベルが頭打ちになって、差別化要因が高級食材ぐらいしか残らないような気がしているんです。そんな私が「おっ」と思った印象深いお店が下記の通り。

本場志向で日本人の味覚に忖度しない中華料理が食べたい方へ捧ぐ書。東京の、中国人が中国人を相手にしている飲食店ばかりが取り上げられています。ある意味では中国旅行と同じ体験ができる裏技が盛りだくさん。