Les six(レ シス)/広尾

広尾商店街入り口の交差点から西麻布方面へ数分の大通り沿いにオープンした「Les six(レ シス)」。私の大好きなピッツェリア「BUGANVILLE HIROO (ブガンヴィッレ)」が1階に入居している、例のグルメビルです。
以前は老舗の喫茶店がテナントとして入っていましたが、明るくヘルシーな内装にリノベーション。厨房に面したカウンターに数席に4人がけテーブルが3卓。シェフがワンオペの小さなビストロです。

丸山裕太シェフは都内の名店で経験を積み、フランスではブルゴーニュ地方で腕を磨きました。帰国後は代田橋「ミエルテ」を経て神楽坂「ラ・ターシュ」の厨房を預かったのち、2024年5月に当店を開業。自ら料理を詳しく解説してくださる、とても感じの良い方です。
シャンパーニュのボトルは1万円を切るところから始まり、グラスワインも千円強~と、立地を考えれば良心的な価格設定です。お食事は全てアラカルトメニューからの注文で、食べたいものを好きなだけ注文できるのが嬉しい。
最初の小皿としてトウモロコシのムース。大地を感じさせる深い味わいにコンソメジュレの旨味、甘海老のネットリとした甘味が重なり魅力的なひと品です。
水ダコのマリネと根セロリのレムラード。水ダコのグンニャリした歯触りがクセになる美味しさで、香水臭い高級居酒屋のタコ料理の7-8倍の食べ応え。こういう料理を毎日食べることができる生活を送りたい。
パテドカンパーニュは肉の挽き方が細かく滑らかな舌触り。パンと一緒に頂いて、これだけでもう立派なごちそうです。
パンはこの手のレストランとしては珍しく別料金なのですが、これはシッカリと美味しく大満足。穀物の香りが豊かでふくよかな味覚です。ケチらず注文したほうが良いぞみんなたち。
本日の鮮魚はブリ。バチバチにドデカイ身をたっぷりのバターで焼いて立地な味わい。量も中々のもので、ちょっとしたステーキに比肩するほどの食べ応えです。
メインはフランス産仔鴨胸肉のロースト。胸がすくようなド直球のフランス料理であり、これが仔鴨を一番美味しく食べる方法だと腹落ちします。ソースも王道の赤ワインソースであり、行儀正しい美味しさです。
以上を2人でシェアし、そこそこ飲んでお会計はひとりあたり1.2万円。真っ当なフランス料理とフランスワインを楽しんで、広尾でこの支払金額は実にお値打ち。創作料理にナチュールを合わせる今時のビストロ風西洋居酒屋とは全く距離を置いた気高い存在。こういう謹厳実直なレストランは大好きだ。

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