Schola(スカラ)/中目黒

中目黒駅から池尻方面へ7-8分歩いた格好良いビルの2階に入居する「Schola(スカラ)」。モダンフレンチのお店なのですが料理教室を兼ねており、ゲストは生徒たちが作る料理を楽しむという面白いコンセプトです。生徒たちは無給どころか教室に受講料を支払っているため、結果としてゲストの負担は小さくなるという仕掛けです。
スタッフのみんなたちは受講料を払っているだけあって真面目で真剣。そのへんの飲食店のバイトたちとは心の在り方が全く異なります(写真は食べログ公式ページより)。なのですが、やはり動きは洗練されておらず、見ているこっちがヒヤヒヤする場面もしばしば。気になる方はお店に入って左にあるテーブル席を指定すると良いかもしれません(指定できるのかどうかは知らない)。
ワインのペアリングは6杯で6,600円と良心的。そのセレクションも世界中から面白いものを取っており、料理にもピッタリ合わせてきます。ただ、キッチンスケールにグラスを置き、おそるおそる計量しながら注ぐのは流石にロマンに欠ける。たとえ素人だったとしても、それぐらい家で練習してからステージに立ちなさいというお気持ちです。
炭を練り込んで黒い系の何か。オリーブとトウモロコシに梅の風味もきいていて、小粒ながら複雑な味わいです。
ダチョウを低温調理したもの。ダチョウの味わいにつき、多くを語るほど私には経験が無いのですが、実にクリアな味わいでブラインドで食べれば牛肉に感じるかもしれません。ソースも色んな味を楽しめてグッドです。
ナス。モダンフレンチ風の焼き浸しといった調理であり、トマトな風味がきいています。
鮎は挙げてタコスのようにして頂きます。緑色のペーストにはゴーヤが練り込まれており、鮎の苦味とゴーヤの苦味が調和します。
お口直しに三輪そうめん。奈良の名産品で、腰のしっかりした独特の歯ごたえと舌ざわりが特長的。汁からは桃のフレーバーが感じられ。桃の天然水的なヒューヒューの美味しさです。
ハモはシイタケを合わせて、ブラウンチーズとホヤの風味と共に頂きます。淡泊になりがちなハモの味覚にドッシリとしたソースが寄り添います。
メインは秩父の網で採れたシカ。美味しいのですが、なんせ量が少ない。「鮨 猪股(いのまた)」のにぎり1カンにも満たない食べ応えであり、連れが近所のラーメン屋を検索し始めました。量も味のうちです。
謎に明石焼きが登場。お出汁は先のハモからで中身は左がタコ、右がフォアグラ。タコの部は普通に美味しいですが、フォアグラは美味しくないを通り越して不味かった。連れは兵庫県出身なので、拳を硬く握りしめています。
ダークチェリーの果汁(?)を凍らせてカキ氷のように削り出していきます。所々わらびもち等も潜んでおり、凝りに凝ったお口直しです。
デザートはマンゴーを主軸に置いたもので、ゴルゴンゾーラの風味と共に楽しみます。エジプトの希少な塩を用いたカクテルも一緒に楽しむスタイルでした。
ベルベーヌの風味を効かせた煎茶でフィニッシュ。ごちそうさまでした。以上のコース料理が9,900円で、ワインのペアリングもつけて合計16,500円というのは確かにお値打ち。料理もちゃんと美味しいです。

しかしながら、研修生たちの微笑ましいを通り越して危なっかしい動きに肝を冷やしながらの食事はそれなりに神経を使うので、16,500円というまあまあ高い支払金額は賛否が分かれるところでしょう。

あくまで企画モノのレストランであり、お友達がシフトに入った際に冷やかしに行き、広い心と深い愛で全部受け止めるつもりで訪れましょう。それが当店のトリセツです。

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