ラ マティエール (La Matiere)/神楽坂

神楽坂駅から歩いてすぐの「ラ マティエール (La Matiere)」。店名(フランス語で「素材」)の通り、素材に寄せた硬派でボリュームのある料理が好評を博し、ミシュランでは1ツ星を獲得しています。
店内は広く、20席近くあるでしょうか。ゆとりのあるテーブル配置であり、パリっとしたクロスが映えます。

池田辰之シェフは「コム・ダビチュード」や「ランブイエ」で経験を積んだのち、2006年に当店を開業。フランス料理店の多い神楽坂の中でも老舗の部類に入ります。
「本日のシャンパーニュ」がボトルで注文できるのが面白く、価格も1.2万円と悪くありません。酒類の値付けは全般的に控えめで、この手のレストランのワインリストとしては大変良心的と言えるでしょう。
お口取りはいずれも塩気と旨味が感じられ、シャンパーニュとあわせて食べるに最適です。
スペシャリテのタルタルサラダ。新鮮な魚介類が山ほど用いられており、ライスがあれば立派な海鮮丼になりそうです。野菜もたっぷりで調味も洒落ており、私はこういう料理が大好きだ。
続くサーモンもビッグサイズであり、焼鮭定食のそれよりも迫力があります。優しく熱を入れて甘味を増しており、真っ直ぐにわかりやすく美味しい。ひとつの濁りもない味わいです。
パンも穀物の風味が活きており、噛みしめるほどに複雑な味覚を楽しむことができます。奥のバターはこれで1人前であり、何とも気前の良いお店です。
アナゴのフリット。鮨屋なら何人前なんだと思わせる太っ腹なサイズ感。カラっと揚げて、ザクっとした食感。素材もいいし、味付けもいい。
シラカワ。皮目をパリパリに焼いているものの、身はふっくらとジューシー。大げさな調味はなく、素材の味わいそのものを楽しむ逸品です。
メインはマグレ鴨。これぞフランス料理といった曖昧さの無いひと皿であり、濃ゆいワインと共に艶っぽい味わい。やはり肉料理を食べると気分が引き締まりますな。
デザートはいくつかの選択肢があり、私はチョコレートムースにピスタチオのアイスをトッピングしたものを頂きました。ホカホカのチョコにアイスが少しづつ溶けていき、仲むつまじい美味しさです。
紅茶でフィニッシュ。ごちそうさまでした。以上を食べ、手頃なワインをひとり1本ペースで飲んでお会計はひとりあたり2.4万円。上質な素材と上質な調理を楽しんでこの支払金額は大変お値打ち。料理はいずれも分かり易く美味しく、迷いのない味わい。とりわけ魚介類については目を瞠る完成度であり、さしずめ「Il Lato(イル ラート)」のフランス料理版といったところでしょう。オススメです。

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