焼肉幸泉(こうせん)/京成立石

コロナ後に最も話題となった焼肉屋と言えば「幸泉(こうせん)」。ハードボイルドな飲み屋が立ち並ぶ街、京成立石にある老舗であり、2022年にお孫さんが引き継ぎ一気にブレイク。さっそく食べログの百名店に選出されました。場所は京成立石駅からすぐで、店員が常に怒鳴っている名店「宇ち多゛(うちだ)」のお向かいにあります。
店内はL字のカウンターが8席ほどで、2階には個室もあるようです。店主は好青年を具現化したような方であり、予約の取れない焼肉にありがちな高圧的な態度は微塵もありません。
センマイ刺し。それほど好きではない食材なのですが、このセンマイは別格。臭みやエグ味などは一切なく、とてもキレイな味わいです。歯ごたえが良くニンニクのきいたネギ塩ダレが良く合う。ビールがジャンジャン進みます。
なんでもないキムチ盛なのですが、これが驚くほど旨い。辛みは穏やかで甘味と旨味が重層的に重なり合い実に深みのある味わいです。
アボカドキムチ。漬け込むわけではなく、熟れたアボカドをキムチのタレで食べるという試みで、やはり、旨い。このタレ、持ち帰りで売ってくれないかな。
さっそくお肉に入ります。まずはタン塩。ほどよく厚みがありつつも品のある美味しさ。梅ダレで食べるというのもありそうでない取り組みです。
ハラミ。こちらはキッチリと厚みがあって、まさにバベットステーキ。歯ごたえがしっかりあって、肉喰ってる感が押し寄せます。
赤身角切。マグロのブツもかくやという赤身っぷりであり、見た目通りのクリアな味わいです。
タレに入ります。まずはロースで、焼肉の教科書とも言うべきスタイルの味わい。
カルビはかなりの分厚さです。それでいて赤身と脂身のバランスが良く、決してしつこくありません。
タレの旨さに我慢ならなくなり、思わずライスを注文。肉を白米の上にバウンドさせつつワッシャワッシャと掻き込みます。地味にこのゴハンめっちゃ美味しい。
先の赤身を今回は薄切りで。片面のみをサっと焼き、清澄な味覚を楽しみます。
ゲタ。少し硬めの食感が特長的で、肉の味が濃く、噛むほどに旨味が広がります。タレも肉質に合わせて変わって味噌風味。
ホルモンミックス。立石のホルモンが旨いなどと言うと、ゴロツキのように捉えられかねませんが、この内臓は本当に美味しい。食感に旨味、タレの濃さ、いずれをとっても一級品で、バッキバキにビールと白米が進みました。
レバニラは鍋ごとロースターの上に置き、たっぷりのタレで軽く煮込みます。今夜のクライマックスとも言うべき濃密な味わい。白米を口に運ぶ手が止まらない。こんな美味しいレバニラ定食は初めてだ。
〆は冷麺。2024年夏の新作のようで、旨味の強いスープに歯ごたえのある麺がベストマッチ。量もたっぷりあって、糖質マックスの背徳的な一夜となりました。ちなみに↓の本では当店が取り上げられ、表紙の写真もコチラでの出来事だそうです。
以上を食べ、お会計はひとりあたり1万円と少し。このクオリティの焼肉を腹いっぱい食べてこの支払金額は立石の奇跡と言えるでしょう。鮨屋よろしく目の前で手切りしていくライブ感も最高で、都心の何万円もするオシャレ焼肉が如何に薄っぺらい存在かが良くわかります。まさに幸せの泉。次回の予約は1年半後だ。

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