五反田を拠点とする「それがし」グループが恵比寿に続いて目黒にも進出。私とはあまり波長が合わない飲み屋系列なのですが、グループのひとつ「LOVAT(ロバット)」が素晴らしかったので、改めて当店を試してみることに。目黒駅前の飲み屋ビル「サンファリスタ目黒」の2階です。
入って驚き、店内が思いのほか広く、50席近くありそうです(写真は食べログ公式ページより)。迷路のように入り組んでおり、カウンター席のほかテーブル席も多い。タイミングによっては予約ナシでも入れるのですが、予約して訪れるのが無難でしょう。
生ビールは880円で、日本酒は徳利で千円強といったところ。このあたりの飲み屋としては一般的な値付けです。日本酒が得意なのか、かなりの種類を取り揃えていました。
我々は7,700円の「おまかせコース」を注文。まずは「三代目ポテトサラダ」で、ポテトサラダの上に半熟玉子をオンします。ソースは酒盗を用いているのか後を引く旨さであり、のっけから酒を呼んでしまいます。
続いて「〆鯖と鰯の太巻き」。〆鯖と鰯を漬物などと共に巻き込んだもので、こちらも味が濃く酒が進みます。シャリはそれほど多くないため、ツマミとして活用するのが吉。焼魚は銀ダラ。脂が充分にのりつつ凝縮感もあって、白ゴハンが欲しくなります。
キャベツの酒盗炒め。美味しいのですがまた酒盗かよという気持ちもあり、量も少なく、これをひと品としてカウントするのはどうなんだろう。
メンチカツは一般的なそれとは異なり、赤ワインで煮込んだ肉を揚げているようです。不味くはないのですが、やりすぎな面も否めなく、食べ疲れました。あと、このあたりから皿出しのテンポが妙に悪くなってきました。
地鶏炭火焼き。こちらも確かに地鶏なのかもしれませんが、単に炭火で焼いただけであり、全然美味しくありません。トップティアの鶏料理店はやっぱすげえんだなと再認識しました。〆の食事はイクラご飯で、また卵黄かよというお気持ちです。もちろん美味しくはあるのですが、流石に発想が幼稚な気もします。ちなみに隣客の「太巻きデラックス」にもウニ・イクラ・そして卵黄がトッピングされており、インスタ映えへの功名心が透けて見えます。
ゴハンものには味噌汁も付きます。味わいは一般的な定食屋のそれであり、客単価1万円の店のそれとしては手抜きに感じました。
パっとしない料理でした。酒盗や卵黄を多用し、ショーウィンドーのような味覚が連続し、芸がありません。皿出しのテンポが悪い割に時間制限は厳しく、2次会必須の1次会といったところでしょう。「LOVAT(ロバット)」の素晴らしさとは何だったのか。よくわからなくなってきました。
とってつけたようなデザートでフィニッシュ。ごちそうさまでした。
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市や区など狭い範囲で深い情報を紹介する街ラブ本シリーズ。2015年の『目黒本』発売から約4年の年月を経て、最新版が登場!本誌は目黒に住んでいる人や働いている人に向けて、DEEPな目線で街を紹介するガイドブックです。