目黒は権之助坂の「真打(しんうち)」。私の推しのカレー屋「カレバカ世紀」と同じビルの地階にあり、2023年にオープンしたばかり。一時期わたしは新内眞衣のことが真剣に好きだった時期があるので、店名を聞くとドキっとします。
店内はカウンターが5席にテーブルが2卓。店主のワンオペの店であり、忙しい時間帯は席が空いていたとしてもフリーの客を止めているように見えました。予約を入れてお邪魔するほうが無難でしょう。
酒は高くなく、中瓶は750円だったけな。グラスワインは600円台に日本酒は正一合で千円チョイと悪くない価格設定です。ケチケチした量の自称東京和食店に見習ってほしいところです。
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「おまかせコース」でお願いし、サっと出てくる先付。生湯葉とポン酢のジュレが目立ちますが、底にはペースト状のアボカドが詰まっており、洒落た味わいです。
茶碗蒸しが面白く、たっぷりの牛テールにハモの卵の餡かけが流し込まれます。これはもう、茶碗蒸しという境界を大幅に超えた料理であり、強く記憶に残りました。
お造りは3点盛りでマグロの脳天、ハモ、アカムツ。7,150円という価格設定のコースとしては気合の入ったラインナップであり、とても具合が良い。
黒毛和牛の低温ロースト。部位はウチモモを用いているそうで、ビーフながらキレイな味わいでサラリと愉しむことができます。
フグの白子も出ます。たっぷりのパターで炒めてポン酢で味付けしておりコッテリと濃厚な味わい。牛肉がアッサリで魚介類がコッテリとは、料理とは奥が深い。
水ナスとミョウガの和え物。夏真っ盛り実にサッパリとした味わいで、口腔内を上手くリセットしてくれました。
白ナスの天ぷら。山椒の佃煮をトッピングしグラナパダーノ(チーズの一種)を山ほど振りかけます。実に興味深い組み合わせであり、山椒を佃煮にしてチーズと合わせて食べるのは世界で当店だけではあるまいか。
プラムと生ハムを白和えで頂きます。こちらも面白い組み合わせで、当店は純粋な和食というよりも、欧米的な足し算料理を志向しているのかもしれません。
鶏の唐揚げに燻製したポテトサラダ。唐揚げはカラっと揚がって王道の味わい。ポテサラは仄かにスモーキーで、病みつきになる味わいです。
〆のお食事はトウモロコシの炊き込みゴハン。芯をぶち込み一番美味しいエキスを吸っています。バターの風味も心地よく、縁日の焼きトウモロコシ的な強襲を誘う味わいです。
デザートは黒ごまプリン。これはちょっと弾力が人工的で、私の口には合いませんでした。
以上を食べ、軽く飲んでお会計は1万円弱。目黒でこれだけの料理を楽しんでこの価格設定はリーズナブル。創作的な料理が続きますが、いずれもきちんと美味しいのが良いですね。次回はアラカルトで注文してみよう。「からすみチーズもち」とか超魅力的である。
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目黒は焼鳥やトンカツ、カレーにラーメンと生活に密着した飲食店が多く、そのいずれのレベルも高い。地味ですが豊かな食生活が約束されている街です。
- サエキ飯店 ←食堂系中華の最高峰。
- レストランユニック(restaurant unique) ←ジビエが自慢。
- クロデグルメ(Clos Des Gourmets) ←1万円でお釣りが来るミラクルなフランス料理店
- 立飲ビストロシン サンテ(SHIN Sante) ←普段使いの最高峰。
- 手づかみDining 東京ハンズ(Tokyo Hands) ←大好きだ愛してる。
- リナシメント(RINASCIMENTO) ←前菜の盛合せ。ぐわー!なんだこりゃ!
- 和創作 太(わそうさく た) ←これをお買い得と言わずして何と呼べば良いのでしょうか。
- 鳥しき ←焼鳥界のレジェンド。
- LAND(ランド) ←目黒のカレーはコチラでキマリ。
- 薬膳スープカレーシャナイア(Shania) ←でもスープカレーならこっち。
- 支那ソバ かづ屋 ←下手な中華料理屋に行くよりも余程上質。ワンタンメンはマスト。
- 鶏そば きび ←まるで上質な水炊き屋のような味わい。
- とんき ←80年の歴史は伊達じゃない。
- タイ料理 みもっと ←ここはガチでやばたにえん。
市や区など狭い範囲で深い情報を紹介する街ラブ本シリーズ。2015年の『目黒本』発売から約4年の年月を経て、最新版が登場!本誌は目黒に住んでいる人や働いている人に向けて、DEEPな目線で街を紹介するガイドブックです。