RADICE (ラディーチェ)/丸太町(京都)

丸太町駅から二条城方面へ歩いて5分ほどの場所にある「RADICE (ラディーチェ)」。食べログではブロンズメダルを受賞し、百名店にも選出されています。薪焼き自慢の「CAMPO su OVEST(カンポ スゥ オーベスト)」とは目と鼻の先です。
店内は厨房に面したカウンター席が主力で、テーブル席もあります(写真は食べログ公式ウェブサイトより)。小さなお庭がかわちいです。オープンは2013年とのことですが、コロナあたりで大きく改装し業態も変えたとのこと。

根本義彦シェフは日本料理界隈で料理人としてのキャリアをスタートさせ、20代の半ばでイタリア料理に転身。イタリア本国で経験を積み、帰国後は木屋町「Vineria t.v.b(ヴィネリア ティー・ヴイ・ビー)」の厨房を預かったのち独立。
ペアリングがオススメとのことで、フルのペアリングでお願いしました。お料理ごとに合わせて計8杯ほど。イタリアワインだけでなく世界各地の銘酒を取り扱うスタイルで、ワイン樽で熟成させた満寿泉を上手く起用するなど面白味がありました。
仕事ぶりは中々、いや、かなりスローモーです。予約時間の18:00にお邪魔し、最初のひと品が出て来たのが18:20であり、こんなことなら18:15に来れば良かった。その後も皿出しのテンポは悪く、お隣の同伴の女の子などは時間が気になって気になって仕方がないようで気の毒でした。
気を取り直してスフォルマート。いわゆるイタリア風の茶碗蒸しであり、焼き茄子が組み込まれており深みのある味わい。ウニも必然性を感じさせる登板です。
定番のニョッコフリット。ニョッキを揚げたようなドライに生ハムを山ほど盛り付けワインの進む逸品。シュー生地の中身にはフォアグラのアイスクリーム風が組み込まれており、甘めのワインと共に大人の味わいです。
パンツェロッティが絶品。具材をピザ生地で包んで揚げたような料理であり、中にはウナギとトウモロコシ、チーズがギッシリ。単に揚げているだけではないのか生地からは不思議な弾力が感じられ、本日一番の料理です。
ポルケッタすなわち豚バラ肉のローストは薄切りにしてシーザーサラダ風に頂きます。ヨーグルトの酸味が思いきり効いており、そしてこれがまた良く合う。シェフのセンスを感じさせる逸品です。
パンにはローズマリーが含まれているんだったっけな。口に含むとジュワっとジューシーなテイストであり私好み。何個もバクバク食べちゃいました。
冷製パスタはバターを主軸に全体を風味づけ、たっぷりのサザエとその肝のソースで楽しみます。冷製パスタって髪の毛みたいに細いものであることが殆どですが、なるほど平打ち麺というのも面白い。
アマダイはウロコを揚げて焼いてパリパリの食感。お魚のエキスにポルチーニの風味が溶け込み、それを焼きリゾットがたっぷり吸って、最強の西洋風タイ茶漬けみたいになってます。
メインは鹿児島産の和牛。これは肉の特長なのか熟成や焼きの技術なのかとにかく香りが良く、味わいが実に複雑。キャベツも単に丸焼きしただけなのに甘味が増してとても美味しい。
お口直しにピンクグレープフルーツ。ほどよい酸味にバラの香りが漂い、食べる香水のようです。
〆のパスタはタリアテッレ。マスのほぐし身にコールラビを加え、ちょろっとピリっと味わいにアクセントがきいています。
デザートはティラミス。いわゆる再構築系なのですが、エスプレッソの部分がシャリシャリしてて、有りそうで無いひと品です。
お茶菓子も用意されており、ピスタチオがたっぷり練り込まれたジェラートが嬉しいですね。これもっと通常のジェラートサイズでバクバク食べたい。ハーブティーでフィニッシュ。ごちそうさまでした。
以上を食べ、フルフルのペアリングを付けて3万円弱。冒頭にスピード感に難ありと記しましたが、それを除けば総じて満足のいく食体験であり、ワイン選びも的確に感じました。上手く表現できませんが、シェフは何かとてもセンスが良いと思う。記憶に残る料理を創ることができる。人はそれを才能と呼ぶ。

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