目黒の権之助坂を下り、大人気焼鳥店「鳥芳 2号店(とりよし)」を少し過ぎた先にある「IRON HOUSE(アイロン ハウス)」。駅すぐの飲み屋ビル「サンフェリスタ目黒」の1階に入居する「TRUNK(トランク)」の系列店です。
間口が狭く奥に細長い、まさにウナギの寝床といった雰囲気の店内。この狭小っぷりは何か見覚えがあるなと思い起こすと、「立飲ビストロシン(Bistro-SHIN)」の跡地なのかな。ゲストの殆どは自腹の女の子グループで、こういう客層の店は大抵アタリであることが多い。飲み物は安く、生ビールが680円にグラスワインも千円を切ります。ハウスワインはデキャンタでの提供もされており、気軽にガブガブ飲むことができて私嬉しい。このあたりの思想は「TRUNK(トランク)」のそれを引き継いでいるように感じました。
お通しはトウモロコシのスープ。コクのある甘味が感じられ、さあ食べるぞという気持ちを高まらせてくれます。帆立、海老、鮮魚のメリメロサラダ。「meli melo (メリメロ)」と言えば私が絶対に許さないレストランのひとつですが、もともとはフランス語で「ごちゃまぜ」という意味であり、なるほど新鮮な野菜の合間合間に魚介類が気前よく盛り込まれています。幸福感が全身を駆け巡る。
甘海老とイカ軟骨のフリット。いわゆる居酒屋の軟骨唐揚げ的なポジショニングであり、ビールが捗る捗る。こういうざっかけないツマミは大好きです。
一方で、パンはパっとしませんでした。どことなく水分が抜けてパサついており味気ない。私はジュワっとジューシーなフォカッチャが好きなのです。
牛ラグーのこぼれラザニア。これはもう、料理名のネーミングの勝利ですね。食いしん坊たちの琴線に触れる言葉選び。ラグーの肉々しさもバッチリで頼もしい美味しさです。
牛ラグーのこぼれラザニア。これはもう、料理名のネーミングの勝利ですね。食いしん坊たちの琴線に触れる言葉選び。ラグーの肉々しさもバッチリで頼もしい美味しさです。
メインにアクアパッツァ。この日のお魚は鯛であり、貝のエキスを吸って吸って気持ち良い。素朴な料理ですがど真ん中真っ直ぐに美味しいです。ちなみに残った汁気を用いてパスタでもリゾットでもインプロビゼーションで料理してくれるとのこと。
しかしながら我々はスープのごとく全てを飲み切ってしまったので、別途追加でパスタを注文。根セロリとアナゴのパスタなのですが、ちょっとアナゴがわざとらしいぐらい甘かったので好みが分かれるところかもしれません。アナゴにつき、私はもう少しムキムキと食べ応えのある調理の方が好きなのだ。デザートはコショウ風味のジェラート(?)にチョコタルトにバナナアイス。いずれも悪くはないのですがシンプルすぎるきらいがあり、コンビニスイーツの域を出ない。そのぶんの胃袋を料理に費やせば良かった。
とは言え、以上を食べてそこそこ飲んでお会計はひとりあたり8千円強というのは実にお値打ち。前述の「TRUNK(トランク)」はもちろん、「立飲ビストロシン サンテ(SHIN Sante)」や「fours(フー)」など、目黒はこの価格帯の飲食店が非常に強い。気の置けない仲間と共にワイワイやりに行きましょう。
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目黒は焼鳥やトンカツ、カレーにラーメンと生活に密着した飲食店が多く、そのいずれのレベルも高い。地味ですが豊かな食生活が約束されている街です。
- サエキ飯店 ←食堂系中華の最高峰。
- レストランユニック(restaurant unique) ←ジビエが自慢。
- クロデグルメ(Clos Des Gourmets) ←1万円でお釣りが来るミラクルなフランス料理店
- 立飲ビストロシン サンテ(SHIN Sante) ←普段使いの最高峰。
- 手づかみDining 東京ハンズ(Tokyo Hands) ←大好きだ愛してる。
- リナシメント(RINASCIMENTO) ←前菜の盛合せ。ぐわー!なんだこりゃ!
- 和創作 太(わそうさく た) ←これをお買い得と言わずして何と呼べば良いのでしょうか。
- 鳥しき ←焼鳥界のレジェンド。
- LAND(ランド) ←目黒のカレーはコチラでキマリ。
- 薬膳スープカレーシャナイア(Shania) ←でもスープカレーならこっち。
- 支那ソバ かづ屋 ←下手な中華料理屋に行くよりも余程上質。ワンタンメンはマスト。
- 鶏そば きび ←まるで上質な水炊き屋のような味わい。
- とんき ←80年の歴史は伊達じゃない。
- タイ料理 みもっと ←ここはガチでやばたにえん。
市や区など狭い範囲で深い情報を紹介する街ラブ本シリーズ。2015年の『目黒本』発売から約4年の年月を経て、最新版が登場!本誌は目黒に住んでいる人や働いている人に向けて、DEEPな目線で街を紹介するガイドブックです。