店内は思いのほか広々としており、ズラっと長いカウンター席に加え、テーブル席と小上がりもあり、様々な用途に対応できます。蛍光灯がギンギラギンでロマンの欠片もありませんが、逆に言えばピッカピカに清掃が行き届いていることがよくわかり、店名の語感とは真逆のクリンネスが感じられました。
ハイボールやサワー類は500円を切り、瓶ビールも690円と良心的な価格設定。スタッフの動きもテキパキしており、皆とても感じが良いです。「ここは昼から夜まで通し営業で、夜でも定食を出してくれんで、みんなで『社食』って呼んでます」とは近場で会社を経営する連れの談。
看板メニューの「牛煮込」は490円。その価格からは考えられないほどの高品質な牛肉が用いられており、ジューシーなバラ肉にトロトロと粘着を感じるゼラチン質。煮込みとしてパーフェクトと評して良い傑作です。
「初場所サラダ」がとんでもないボリュームでやってきました。雨後の筍の如く出店するサラダボウル屋を遥かに凌駕する質および量であり、小食な女の子であればこれ一杯で満腹になってしまうのではなかろうか。南蛮漬けもでっかい切り身がガンガンガンと揚げられており、ザブンと気前よく酸味が効いています。前日にケチ臭いポーションの居酒屋で飲み食いしてきたばかりだったので、感動もひとしおです。
こちらはなめろう。当店は実にカジュアルな雰囲気ではありますが、お魚はお店できちんと捌き、何なら肉まで切り出して調理するという姿勢。店構えからは考えられないラインナップの魚が用意されています。
甘酢の肉団子。これはまあ普通ですね。とは言えこの盛りつけでひと皿590円なので、妥当と言えば妥当かもしれません。
以上を食べ、結構飲んでお会計はひとりあたり5千円もしなかったかな。支払金額が控えめなのが嬉しいのはもちろんのこと、いずれの料理もきちんと美味しいのが素晴らしい。定食メニューは昼も夜も結構な種類を取り揃えられているので、「社食代わりに使ってます」とのエピソードにも納得。近所にあれば間違いなく通い詰めてしまう酒場です。
関連記事
目黒は焼鳥やトンカツ、カレーにラーメンと生活に密着した飲食店が多く、そのいずれのレベルも高い。地味ですが豊かな食生活が約束されている街です。
- サエキ飯店 ←食堂系中華の最高峰。
- レストランユニック(restaurant unique) ←ジビエが自慢。
- クロデグルメ(Clos Des Gourmets) ←1万円でお釣りが来るミラクルなフランス料理店
- 立飲ビストロシン サンテ(SHIN Sante) ←普段使いの最高峰。
- 手づかみDining 東京ハンズ(Tokyo Hands) ←大好きだ愛してる。
- リナシメント(RINASCIMENTO) ←前菜の盛合せ。ぐわー!なんだこりゃ!
- 和創作 太(わそうさく た) ←これをお買い得と言わずして何と呼べば良いのでしょうか。
- 鳥しき ←焼鳥界のレジェンド。
- LAND(ランド) ←目黒のカレーはコチラでキマリ。
- 薬膳スープカレーシャナイア(Shania) ←でもスープカレーならこっち。
- 支那ソバ かづ屋 ←下手な中華料理屋に行くよりも余程上質。ワンタンメンはマスト。
- 鶏そば きび ←まるで上質な水炊き屋のような味わい。
- とんき ←80年の歴史は伊達じゃない。
- タイ料理 みもっと ←ここはガチでやばたにえん。
市や区など狭い範囲で深い情報を紹介する街ラブ本シリーズ。2015年の『目黒本』発売から約4年の年月を経て、最新版が登場!本誌は目黒に住んでいる人や働いている人に向けて、DEEPな目線で街を紹介するガイドブックです。