世界遺産である二条城すぐ近くに開業したラグジュアリーホテル「HOTEL THE MITSUI KYOTO(ホテル ザ ミツイ キョウト)」。もともとは250年以上にわたって存在した三井総領家の邸宅であり、外国人であればテンション爆上げ間違いなしの建屋ならびに立地です。
この日はイタリアンダイニングの「FORNI(フォルニ)」にお邪魔しました。青山一丁目「THE BURN(バーン)」の米澤文雄シェフが監修しているそうで、このひと最近いろんなところで名前を見かけるなあ。そのうち隈研吾みたいになるんとちゃうか。
私がお行儀良くしていたからか、グラスワインをダッバダバに注いでくれました。当店はラグジュアリーホテルのダイニングだけあって、ワインはもちろん何もかもがバリ高いのですが、その空間設計や接客、料理の提供タイミングなどなど全てが完璧で納得感があります。お口取りはズッキーニのポタージュ。夏らしい健康的な味覚であり、青い風味が口腔を満たします。奥の棒状のものはパイ生地で構成されており、サクサクとした口当たりにコクのある味わいが印象的。
カプレーゼ。色んなトマトを起用しており見た目爽やか。チーズはもちろん水牛のもので、そのリッチな風味がジェノベーゼソースの深みのある味わいによく合います。
ちなみにモッツァレラ・ディ・ブッファラ・カンパーナとブルネッロ・ディ・モンタルチーノはチーズとワインに詳しい方にとっては基本のキですが、ド素人からすると何だかイタリア語をスラスラと話している風に聞こえるそうなのでオススメです(何が)。
フォカッチャはトマトの風味がきいています。口に含むとジュワっとジューシー。私の好きなタイプです。パスタは「淡路麺業」という、業務用生パスタ専門の製麺店謹製のカサレッチェ。美味しいのですが、ホテルのダイニングでそれなりに数は出るのだから自分とこで作れば良いのに、とも思いました。そのロマンの無さで全体としての味わいも割り引かれてしまったような気がします。
メインは豚バラ肉のグリル。豚肉は自慢の窯でガガっと焼いて風味が増します。ソースはイチジクを活かした酸味のあるソースで洒落た味わい。赤キャベツのコールスローも色合いがかわちいです。
デザートはセミフレッド。京丹後産のメロンと甘酒を用いており、府外のゲストにとっては夢や憧れをかきたててくれます。
食後のお茶とお茶菓子。紅茶はポットでドーンと置いていってくれ、たっぷりと楽しむことができました。食事そのものは美味しいですがシェフの顔の見えない料理でもあり、良くも悪くもホテルのダイニングだなあという印象。それでもこの余裕のある空間と接客(サービス料は15%だ)には心が満たされるものがあり、たまにはホテルのダイニングも良いものだなあと感じ入ったディナーでした。
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