中目黒駅すぐ近くの東急脇にあるワインバー「Clandestino 41(クランデスティーノ)」。トスカーナ州出身の2人が2019年に開業したワインバーで、店名は秘密の・非合法的な・怪しげな・不法移民など、いかがわしい意味合いを持つそうです。
店内はカウンター席と小さなテーブルが中心で、気軽にサっと飲むような雰囲気。コンセプトは「イタリア人がイタリアっぽくするバー」であり、東京中のイタリア人が集まっているのではないかと思うほどイタリア語が飛び交っています。それでもスタッフは日本語が堪能なのでご安心を。
酒は高くなく、ビールやグラスワインは千円を切ります。ワインは全てイタリア産で、イタリアのクラフトビールも置かれていました。
まずは生ハムやチーズの盛り合わせ。このボードで1人前のたっぷりサイズ。このひと品で2-3杯は飲めてしまいます。ブッラータの盛り込みも気前が良く、私すっかり盛り上がってしまいました。
ホタテのカルパッチョ。材質は同じはずなのですが、日本人が作るそれとは何処かニュアンスが違って異国情緒を感じます。ちなみにコチラのホタテも中々の気前の良さです。パスタはイタリア人らしくアルデンテを通り越して半煮え状態でやって来ます。ペストなんたらかんたらと言っていたので、恐らくバジルをベースにしたソースでしょう。アーモンドの香りも魅力的。
スペシャリテのピンサ。ピザに似た料理ですが、粉や発酵時間は全く異なるそうで、なるほどパニーニのオープンサンドのような方向性を感じます。具材はたっぷりの野菜にサルシッチャ、プロヴォローネ(チーズの一種)。ちなみにピンサはコロナの休業期間中にヒマだから勉強したそうで、「DISTANZA SOCIALE」「AstraZeneca」など茶目っ気たっぷりの料理名が目立ちます。
お肉も出ます。表面をサっと炙ってローストビーフ的な料理であり、赤身の清らかさを楽しむひと品です。デザートはブルーベリーのタルトかなあ。ザックリとした食感はピンサに通じる焼きっぷりがあります。「オイシイ?」「オナカイッパイナッタ?」と皆わたしのことを気にかけてくれ、独り飲みながら楽しいひと時を過ごすことができました。
以上を食べ、3杯飲んでお会計は7,800円。これだけ飲み食いしてこの支払金額はリーズナブル。何より海外旅行に来たかなのような陽キャな情緒を楽しむことができるのは唯一無二の価値と言えるでしょう。イタリアにゆかりのある方と共にどうぞ。
関連記事
イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。
- ウシマル(Ushimaru)/山武市(千葉) ←ちょっとした海外旅行に来たような満足感。
- ヴィラ・アイーダ(Villa AiDA)/岩出(和歌山) ←我が心のイタリアン第1位。
- プリズマ(PRISMA)/表参道 ←高価格帯のイタリア料理という意味では東京で一番好きなお店かもしれない。
- 三和(さんわ)/白金台 ←直球勝負で分かり易く美味しい。
- merachi (メラキ)/西麻布 ←質実剛健ながら日本的な繊細な感性も感じられる。
- Il Lato(イル ラート)/新宿三丁目 ←お魚料理のひとつの究極系。
- ヴィンチェロ(Vincero)/新宿御苑 ←どのような大食漢が訪れたとしても満足すること間違いなし。
- リストランテ ラ・バリック トウキョウ(La Barrique Tokyo)/江戸川橋 ←無冠の帝王。
- TACUBO(タクボ)/代官山 ←ポイントは二番手の存在。
- アロマフレスカ(Ristorante Aroma-fresca)/銀座 ←好き嫌いを超えた魅力。普遍性。
- ザ・ひらまつ ホテルズ&リゾーツ 仙石原/箱根 ←最高の家畜体験。
- クッチーナ(CUCINA)/大垣(岐阜) ←何でもアリの旨いもの屋。
- ひまわり食堂/富山市 ←こねくり回すことなく、いま何を食べているのかハッキリとわかる味と量。
イタリア20州の地方料理を、その背景と共に解説したマニアックな本。日本におけるイタリア風料理本とは一線を画す本気度。各州の気候や風土、食文化、伝統料理、特産物にまで言及しているのが素晴らしい。イタリア料理好きであれば一家に一冊、辞書的にどうぞ。