サローネグループの「biodinamico(ビオディナミコ)」が2018年にリニューアルオープン。好きな店だし行こう行こうと考えつつも中々その機会を得ることができず、2024年夏にようやくお邪魔します。私が初めてお邪魔したのは2013年であり、もう10年以上も前の話なのかあ。
入店してびっくり。照明が落とされたシックな雰囲気となりつつも、その客層は非常にカジュアル。昔はスーツをバリっと着こなしたソムリエがいたようなお店だったので、テーブルのQRコードからスマホで注文するなど隔世の感を禁じ得ない。
テーブルにはクロスではなくファストフードのお盆にあるようなチラシが置かれています。こんな調子でサービス料を10%を徴収するのだから恐れ入る。スマホからのオーダー通りに運ぶだけなのにこの世は地獄である。それでも食べログでは百名店に選出されているようです。
ワインは自社ワイナリーの「グレープリパブリック」を推していたのですが、泡のボトルが見当たらなかったので最初だけビールを。するとどうでしょう、ワインかと見紛うほどの量しか注いでもらえませんでした。これで1,100円+サ10%なんだもんなあ。
食事についても料理の種類がびっくりするほど少なく、選択肢が限られます。サラダはこちらの「トレヴィスオレンジ、パルミジャーノのサラダ」ぐらいしか見つけることができず、個人的には青い葉っぱのサラダを食べたかった。
「トリッパの煮込み」は定番の美味しさですが、1,760円+サ10%という価格設定の割に量は少ない気がしました。メニュー数が少なくパスタを後回しにすると、もう肉料理ぐらいしか注文するものがありません。ちなみに当店は薪火を使った料理が自慢だそうで、なるほどこちらの「ニュージーランド産牧草牛サーロインの薪焼き」はかなりの美味しさでした。ただし、もうちょっと付け合わせのお野菜を増やして欲しいところです。
「極太麺ボロネーゼ」の麺ははラーメン界隈の製麺所として有名な「浅草開化楼」謹製。讃岐うどんもかくやという太さのパスタであり流石の美味しさです。本日一番のお皿でした。
なるほどパスタは旨いと判断し、追加で「カラスミと目玉焼き 」も注文。こちらは「極太麺ボロネーゼ」に比べるとほっそりとしており、太麺原理主義者の私としては先のパスタのほうが記憶に残りました。
以上を2人でシェアし、軽く飲んでお会計はひとりあたり9千円。うーん、これはとっても割高ですね。料理そのものは価格に見合っているのですが、ファミレスのような安っぽい顧客体験が食事の足を引っ張っており、厨房のみんなたちが可哀相。サービス料に対する納得感の無さについては既に述べた。
パスタは間違いなく美味しいので、平日のパスタランチを楽しむのが最も賢い使い方なのかもしれません。4人以上が集まるのであれば飲み放題付きプランでガンガン飲み続けるよろし(画像は食べログ公式ページより)。
関連記事
イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。
- ウシマル(Ushimaru)/山武市(千葉) ←ちょっとした海外旅行に来たような満足感。
- ヴィラ・アイーダ(Villa AiDA)/岩出(和歌山) ←我が心のイタリアン第1位。
- プリズマ(PRISMA)/表参道 ←高価格帯のイタリア料理という意味では東京で一番好きなお店かもしれない。
- 三和(さんわ)/白金台 ←直球勝負で分かり易く美味しい。
- merachi (メラキ)/西麻布 ←質実剛健ながら日本的な繊細な感性も感じられる。
- Il Lato(イル ラート)/新宿三丁目 ←お魚料理のひとつの究極系。
- ヴィンチェロ(Vincero)/新宿御苑 ←どのような大食漢が訪れたとしても満足すること間違いなし。
- リストランテ ラ・バリック トウキョウ(La Barrique Tokyo)/江戸川橋 ←無冠の帝王。
- TACUBO(タクボ)/代官山 ←ポイントは二番手の存在。
- アロマフレスカ(Ristorante Aroma-fresca)/銀座 ←好き嫌いを超えた魅力。普遍性。
- ザ・ひらまつ ホテルズ&リゾーツ 仙石原/箱根 ←最高の家畜体験。
- クッチーナ(CUCINA)/大垣(岐阜) ←何でもアリの旨いもの屋。
- ひまわり食堂/富山市 ←こねくり回すことなく、いま何を食べているのかハッキリとわかる味と量。
イタリア20州の地方料理を、その背景と共に解説したマニアックな本。日本におけるイタリア風料理本とは一線を画す本気度。各州の気候や風土、食文化、伝統料理、特産物にまで言及しているのが素晴らしい。イタリア料理好きであれば一家に一冊、辞書的にどうぞ。