cocon(ココン)/中目黒

2021年夏にオープンした「cocon(ココン)」。フランス料理を土台としたモダン・オーストラリア料理のお店です。場所は中目黒駅から歩いて5分ほどで、野方ホープの4階に位置します。
店内は壁側の窓がナナメっていて開放的な雰囲気。奥行きがあり、ゆったりとした誂えのカウンター席に加え、テーブル席もあります。

栗脇正貢シェフは「名古屋マリオットアソシアホテル」で料理人としてのキャリアを開始し、南仏の星付きレストランやシドニーのファインダイニングで経験を積んだそうです。
飲み物につき、自然派ワインのペアリングに自信があるようですが、税サを入れたら1万円近くを要するのは抵抗があるなあ。どクラシックなフランスワイン大好きマンにとっては色々と思うところがありました。
お口取りにカンガルーのタルタル。語感はギョっとしますが馬肉に近いニュアンスがあり、調味も多彩で素直に美味しい。
続いて投入を用いたムース(?)にサザエを添え、「だし」をイメージした夏野菜をトッピング。サザエのコリコリと野菜のシャキシャキが噛み合って楽しい食感。ちなみに「だし」とは山形の郷土料理であり、夏野菜を細かく刻んで醤油やめんつゆなどで味付けしたもので、ご飯や豆腐にかけて食べる冷たいおかずです。
フィッシュアンドチップスをイメージしたひと品。魚はメヒカリでジャガイモはインカのめざめ。ホクホクと大地を感じさせる味わいで芋旨い。アクセントにパイナップルも用いており洒落た味わいです。
イサキには赤ワインで煮詰めた何かが注がれており、正直これは微妙でした。普通の塩焼きで充分なところ、朝ドラ系美少女に厚化粧を施してしまったような残念感があります。
お次はラビオリ。中にはエビとホタテが詰まっておりストレートな美味しさ。しかしながら中途半端な温度のソース(?)や謎のキュウリなど、工夫が多すぎるきらいがあります。過剰な装飾は不要である。
パリパリ生地に隠れていますが、中にはイノシシ肉の煮込みにブーダンノワールが。前者は素朴な味わいで美味しいのですが、後者は冷凍焼けしたようなエグ味があり、食べるバイオハザードな風味を感じました。
お魚料理はマトウダイ。やはり魚そのものは美味しいのですが、周りのグリーンカレー風のソースはベリーベリー余計。仕事が遅いタコス屋のドロドロソースを想起させます。こんなにこねくり回さずに、もっとすっきりとしたデザインがいいと思うんだけど。
お肉料理はタスマニア産の仔羊。これまでの料理から一転してスタンダードナンバーであり、そうそうこれこれ、こういうので良いんだよ・こういうのが良いんだよ感のあるメインディッシュでした。
デザート1品目はビワにキウイにサクランボ。上品なゼリーもたっぷり乗っており、デパ地下のゼリーのような美味しさです。
デザート2品目はブランマンジェをベースにナタダココやパッションフルーツ、ホワイトチョコなどを様々にトッピング。併せて供される水出しコーヒーがバリ旨く、キョーイチのひと品でした。

以上、飲んで食べて税サも付いてひとりあたり2.5万円。うーん、妙に高価な上、ワンオペでカウンター越しにホイって出すだけなのにサービス料を徴収するのはいかがなものか。料理についても勇猛果敢・支離滅裂といった具合であり、それを「モダン」「イノベーティブ」と自称するのは牽強付会な解釈だと言わざるを得ない。

仕事は早くセンスは良さそうなのに、ど真ん中で勝負しないのは勿体ない。地頭は良くて真面目にやれば東大受かるのにICUに行っちゃった現役生みを感じるディナーでした。

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