中目黒と池尻大橋の間にある「ムッシュヨースケ(Bar à Vin Monsieur Yosuque)」。1999年に開業した老舗のフランス料理店ですが、もともとはカレー屋でフランス料理はサイドメニューの位置づけだったという面白いお店。「STARBUCKS RESERVE® ROASTERY TOKYO」のすぐ近くです。
店内はバーカウンターとテーブル席に分かれていて、トータルでは20席弱ほどでしょうか。フランスのビストロそのものといった雰囲気の内装です。
ワインはシャンパーニュが9千円~と悪くない価格設定で、6-7千円台のボトルも多数用意されています。マダムの感じの良い接客を含め、全体として温かみを感じる空間です。
アミューズに新玉ねぎのポタージュ。玉ねぎの甘味がビンビンに伝わって来、大地の豊かさを感じさせてくれる逸品です。
スペシャリテの「ズワイガニとエノキ茸のキッシュ」。その名の通りの料理であり、カニがギッチギチに詰まっていて旨味爆発。エノキ茸の食感もアクセントにちょうど良く、丸ごとテイクアウトして食べ尽くしたい衝動に駆られます。コンポテ。ナス・トマト・ズッキーニのテリーヌであり、野菜そのものの風味を愉しむことができます。ニンニクも用いられているようですが、決してくどくなく円みのある味覚です。
太刀魚とベビーリーフのサラダ。太刀魚はシェフの釣果であり、程よく脂がのってバリ旨い。ベビーリーフも非常に質が高く香りが上質。こういう料理を毎日食べたい。
トラフグ。こちらもシェフ自らが釣ってきたものであり、日本料理として食べるのと全く異なるアプローチで心に響きました。フキノトウのリゾットやホロホロ鶏のコンソメなど脇役陣にも抜かりなく、本日一番のお皿です。
メインは「三元豚のグリエ」。シンプルな料理ですが豚肉の味わいが快楽的で、その脂身でさえ甘く旨味が感じられるほどです。デザートは5種から選択することができ、私は定番の「クレーム・キャラメル」をチョイス。ガッチリとハード系なクラシックタイプであり、素材そのものの味わいが強く伝わってきます。昨今の滑らかさだけが取り柄のプリンとは一線を画す頑強さを感じました。
ハーブティーでフィニッシュ。ごちそうさまでした。
お会計で驚愕。上記のコース料理は8,300円と信じがたい費用対効果の良さです。ワインを含めてもひとりあたり1.4万円程度に着地し、感動的とさえ言える食後感の良さ。素材の持ち味を活かした真面目なフランス料理であり、ワインも接客も申し分なし。キャビアとっ散らかしてトリュフを削りまくるアホなレストランは見習ってほしいものです。
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