目黒の酒場二大魔境と言えば「目黒新ばし」と「サンフェリスタ目黒」ですが、前者から後者へと移転した筋金入りの酒場「池田商店(いけだしょうてん)」にお邪魔しました。お店の看板につき、じっと目を凝らしていると店名が浮き出てくるという、面白いロゴです。
店内はタコ焼き屋でももう少し広いだろうというサイズ感で、4-5人も入ればもう満席。湯島「麺屋げんぞう」を超える狭小店舗です。冷蔵庫は家庭用で焼き台は七輪と、よくこの装備でここまで立ち回れるなと感心するオペレーションです。
ビールやハイボールは1杯6-700円といったところ。目黒エキチカという意味では妥当な価格設定ですが、店の雰囲気を考えればもう少し安くあって欲しいところ。また、「目黒新ばし」のスナック風の文化を引き継いでいるので、常連客が店主に酒を進め普通に飲みながら仕事をするなど、一般的な飲食店とは違うところだと心得て行きましょう。スタッフの手には指輪もネイルもバリバリです。
「その時の健康サラダ」は殆どが玉ねぎで、四捨五入すると玉ねぎでした。葉物野菜が食べたかった。地鶏刺。「鳥芳(とりよし)」もそうですが、なぜか目黒は上質な地鶏を生でリーズナブルに食べさせてくれるお店が多い。薬味もたっぷりで思わず笑みがこぼれます。
鶏皮ポン酢も堂に入った美味しさで、グビグビ酒が進みます。なのですが、料理を出すテンポはちょっと悪いですねえ。理由はUberでの注文を優先しているからであり、お、焼きあがったと思いきや弁当箱行きだったりと、何度も寂しい思いをしました。
ようやく焼物が出始めました。こちらはレバーなのですが、ちょっと臭みがあって好みは分かれるかもしれません。私の口には合いませんでした。
ハツは弾力を感じることが多い素材ですが、思いのほかふっくらと柔らかい。これが心臓かと驚くほどマイルドな口当たりです。
せせりも筋肉質なイメージを抱いていたのですが、こちらも優しい口当たり。それでいてエキスたっぷりジューシーでとっても万歳。モモは大迫力のサイズ感なのですが、こちらもフワフワとソフトタッチであり、どうしてこんなに軽やかなんだろう。(できるかどうかわかりませんが)この素材で親子丼など試してみたいと滾ってきました。
月見つくねはタレたっぷりでバリ旨い。鶏肉というよりも卵黄とタレを飲みに行くひと品です。
〆にそぼろ丼。その場で生のミンチ肉から煮ていくスタイルであり、やはり優しい口当たり。汁気もたっぷりで、ちょっと豪華な雑炊状態。
以上を食べ、軽く飲んでお会計はひとりあたり5千円ほど。ビッグサイズながら柔らかな食感というありそうでない焼鳥をたっぷり食べてこの支払金額はリーズナブル。焼鳥でなく魚介類も多く取り扱っており、狭小ながら引き出しの多い面白い酒場です。
お店の雰囲気や客層はかなり特殊であり、提供速度も遅めなので、そのあたりの世界観が気になる方はUberで注文すると良いでしょう。
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目黒は焼鳥やトンカツ、カレーにラーメンと生活に密着した飲食店が多く、そのいずれのレベルも高い。地味ですが豊かな食生活が約束されている街です。
- サエキ飯店 ←食堂系中華の最高峰。
- レストランユニック(restaurant unique) ←ジビエが自慢。
- クロデグルメ(Clos Des Gourmets) ←1万円でお釣りが来るミラクルなフランス料理店
- 立飲ビストロシン サンテ(SHIN Sante) ←普段使いの最高峰。
- 手づかみDining 東京ハンズ(Tokyo Hands) ←大好きだ愛してる。
- リナシメント(RINASCIMENTO) ←前菜の盛合せ。ぐわー!なんだこりゃ!
- 和創作 太(わそうさく た) ←これをお買い得と言わずして何と呼べば良いのでしょうか。
- 鳥しき ←焼鳥界のレジェンド。
- LAND(ランド) ←目黒のカレーはコチラでキマリ。
- 薬膳スープカレーシャナイア(Shania) ←でもスープカレーならこっち。
- 支那ソバ かづ屋 ←下手な中華料理屋に行くよりも余程上質。ワンタンメンはマスト。
- 鶏そば きび ←まるで上質な水炊き屋のような味わい。
- とんき ←80年の歴史は伊達じゃない。
- タイ料理 みもっと ←ここはガチでやばたにえん。
市や区など狭い範囲で深い情報を紹介する街ラブ本シリーズ。2015年の『目黒本』発売から約4年の年月を経て、最新版が登場!本誌は目黒に住んでいる人や働いている人に向けて、DEEPな目線で街を紹介するガイドブックです。