旬菜焼 はざま(しゅんさいやき はざま)/本多町(金沢)

本多町は金沢中警察署すぐ近くにある「旬菜焼 はざま(しゅんさいやき はざま)」。官庁街と住宅街の汽水域に位置するものの、21世紀美術館からも近いので観光客からのアクセスも良いでしょう。
狭間信一シェフは元々はフランス料理を専門としていたそうですが、石川の食材を使うのであれば和食のほうがしっくりくるとのことで、現在は和洋折衷の業態に。店内はカウンターの他お座敷もあるようで、グループでお邪魔するのも良いでしょう。何よりランチタイムは3回転で数十人のゲストを捌くそうです。
ビールは瓶も生も千円を切り、日本酒も1合で千数百円といったところでしょうか。地元の酒蔵のものを中心に勧めてくれるのが旅行者にとってはありがたい。
すぐに出てくる小鉢料理。アミューズと言うべきか、先付と言うべきか。つまりそういうことであり、酒が進む味覚です。
続いてピーナッツの豆腐(?)。1年のうち3ヵ月を沖縄で過ごす身としてジーマーミ豆腐にはうるさいつもりなのですが、それとはまた違った、ピーナッツバターのような油分を感じるニュータイプでした。
トマトとホタテを用いたグラタンに、何だっけかな、あまり馴染みの無い野菜(山菜?)の天ぷらをトッピングします。この天ぷらがパラっと塩を振っただけなのに、苦味があって、とても美味しい。
料理の合間につまむ用に自家製のチーズをご用意頂けました。コッテリとした乳脂肪を感じさせる味わいであり、赤ワインが欲しくなります。
お造りも出ます。奥から中トロにフグ、イカ、ガスエビ。ガスエビとは北陸が誇る高級食材であり濃厚な甘味が自慢。何なら甘エビよりも甘いかもしれません。鮮度が落ちやすく変色しやすいため、東京にはあまり出回らないそうです。
ゴボウと米で作ったスープ。いわゆるすりながしという位置付けでしょうか、液体なのにまさにゴボウとコメの味がして面白い。まだまだ食べたことのない料理がたくさんあるなあ。
地物の毛ガニ。ぐわー、なんちゅうボリューム感。カニそのものの美味しさはもちろんのこと、カニの殻を煮詰めて作ったソースが堪らない旨さです。じっくり炊いた大根と共に、何料理かよくわかりませんが、とにかく旨い。
お口直しにアスパラがドーンと一本。おひたしにしているようで、なるほどアスパラの濃い緑色の味わいとお出汁の風味が良く合います。
メインはガッツリお肉を焼きます。150グラムはあるのかなあ、クライマックスにおいてこのクオリティの牛肉を腹いっぱい楽しめる多幸感といったらありません。やはり赤ワインが欲しくなりました。
〆は梅茶漬け。梅干しはシェフのお母様が漬けているそうで、実家に帰って来たかのような温かみのある締めくくりです。
青じそのシャーベットでサッパリとフィニッシュ。ごちそうさまでした。以上のコースが1.1万円に、それなりに飲んでお会計は1.4万円といったところ。あのクソデカ毛ガニ&ビーフまで食べてこの支払金額は実にお値打ち。冬季には山ほど牡蠣をぶち込んだ味噌鍋の用意もあるそうでそちらも気になる。何よりランチは千円かそこらで定食を楽しめるようなので、このあたりの勤め人は幸せ者だ。

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「大人絶景旅」と銘打ってはいますが、石川の名所をテンポ良くまとめています。グルメ情報も多くモデルルートの提案もあり、広告だらけのガイドブックとは一線を画す品質の高さです。