2004年に旗揚げし、あっという間に都内で4店舗を展開する人気イタリアンへと駆け上がったダルマットグループ。食べログでは百名店に選出されています。私もチョイチョイ系列店を利用しているのですが、本丸の西麻布本店にお邪魔するのは初めてです。
店内は厨房脇のカウンター席にテーブル席が20ほどでしょうか。明け方まで営業しており、その時間帯でもコース料理が注文可能というタフなレストランです。
平井正人シェフはイタリアで経験を積み、「ラ・ベットラ・ダ・オチアイ(LA BETTOLA da Ochiai)」の立ち上げメンバーへと加わり腕を磨いたのち、当店を開業しました。
アルコールにつき、ビール800円にグラスワイン800円~と大変良心的なのですが、ハウスワインであれば白赤いずれも飲み放題で1,600円というイカれた仕組み。理屈よりも気分を優先する私としては、そのシステムに乗っかるしか選択肢はありません。
アミューズに貝5種類を盛り込むという手の込みよう。アサリの旨味をベースにツブ貝ミル貝ホッキ貝ホタテ貝と貝の美味しい所が百花繚乱。熟成のきいたバルサミコ酢とも良く合い、初っ端から度肝を抜かれました。
続く前菜はイサキに炙ったサワラ、サクラマスの春キャベツ巻にハマグリのオーブン焼き。シンプルな誂えですがストレートに美味しく、とりわけハマグリのエキスの海苔(?)の香りの調和が素晴らしかった。
ハムの盛り合わせも登場し、完全に飲ませにかかってきます。付け合わせのハーブのサラダも植物そのものの味が濃く美味。小さな桃のピクルスもお洒落な味わいです。
キスが揚がりました。もう本当に揚げただけというシンプルな出で立ちですが、土台にカポナータが敷かれており、食べ応えのある魚料理です。
当店の代名詞とも言うべき冷製パスタ。この日の具材はイチゴとフルーツトマトであり、素材由来の上質な甘味と酸味が絶妙な歯ごたえのパスタによく合います。ビジュ含めてギャル歓喜なひと皿で、フォロワーが100,000人は増えそうなクオリティです。
温かいパスタは大中小からサイズを選択することができ、私はもちろん大サイズでオーダーしました。いわゆるボンゴレビアンコですが、上質なタケノコにホクホクの新じゃがいもに丸ごとのニンニクと、迫力のあるひと皿です。
メインは山形牛で、これまたボリューム感のある盛り込みで食べ応え抜群。どシンプルな調理および調味ですが説得力のある美味しさ。ちなみに冒頭のハウスワイン飲み放題は赤ワインにスイッチすることができ、つまりこの肉料理ひと皿で2杯は飲めてしまいます。
以上のコース料理を食べ、ハウスワインの飲み放題を付けてひとりあたり1.2万円。これはもう、立地を考えれば衝撃的な価格設定。味についても分かり易く美味しく、このクオリティの料理を朝の4時まで楽しむことができるとは驚異的。
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イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。
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- ヴィラ・アイーダ(Villa AiDA)/岩出(和歌山) ←我が心のイタリアン第1位。
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- merachi (メラキ)/西麻布 ←質実剛健ながら日本的な繊細な感性も感じられる。
- Il Lato(イル ラート)/新宿三丁目 ←お魚料理のひとつの究極系。
- ヴィンチェロ(Vincero)/新宿御苑 ←どのような大食漢が訪れたとしても満足すること間違いなし。
- リストランテ ラ・バリック トウキョウ(La Barrique Tokyo)/江戸川橋 ←無冠の帝王。
- TACUBO(タクボ)/代官山 ←ポイントは二番手の存在。
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- ザ・ひらまつ ホテルズ&リゾーツ 仙石原/箱根 ←最高の家畜体験。
- クッチーナ(CUCINA)/大垣(岐阜) ←何でもアリの旨いもの屋。
- ひまわり食堂/富山市 ←こねくり回すことなく、いま何を食べているのかハッキリとわかる味と量。
イタリア20州の地方料理を、その背景と共に解説したマニアックな本。日本におけるイタリア風料理本とは一線を画す本気度。各州の気候や風土、食文化、伝統料理、特産物にまで言及しているのが素晴らしい。イタリア料理好きであれば一家に一冊、辞書的にどうぞ。