広尾の商店街の奥の地下に位置する「アラビアレストラン ゼノビア(Arabian Restaurant Zenobia)」。シリアを中心としたアラビア料理店です。麻布十番「ゼノビアカフェ(Zenobia Cafe)」の系列で、⾁類は全てハラルを使⽤しており、豚⾁・豚製品は⼀切使っていないとのこと。
店内は従業員もゲストも皆、外国人であり、異国情緒溢れるというか異国です。あちらのテーブルではアラビア語、お隣はフランス語、基本的なやりとりは英語と、各国の大使館が集まる広尾ならではの光景です。スタッフの誰かのお子さんが店内を走り回り、下膳やテーブル拭きを手伝ったりと心和みます。
シリアはイスラム圏なのでお酒はNGなのかなと思いきや、普通に置いてありました。こちらは隣国レバノンのビールであり、軽めのピルスナーでスイスイ飲めます。その他ワインなども用意されており、いずれも良心的な価格設定です。2,900円の「ケバブコース」を注文。まずはサラダで独特の酸味が感じられクセになる美味しさです。ザクロのツブツブ感も心地よい。
これは何のスープだろう。豆っぽい穀物のザラつきが感じられモッタリと思いのですが、不思議と酸味も感じられます。スパイシーというわけではないのですがフラリと香る異国の風味が乙な味。
「ナン」と呼称していましたが、いわゆるインド風のバターがリッチなナンとは異なり、サッパリと軽い口当たりです。どこかで「ジャバティ」という表記を見かけたのですが、もしかするとインドの「チャパティ」と語源は同じなのかもしれません。
こちらは私も知っています。フムスです。いわゆるヒヨコ豆のペーストですが、ゴマやナッツの風味も感じられ実に濃厚。ヘルシーなピーナッツバターのような味覚で美味しい。メインはシシカバブ。マトンの挽肉のハンバーグといった方向性であり、スパイスやハーブがふんだんに練り込まれており食欲をそそります。備え付けのゴハンは日本のお米と違って長細くパラッパラで、先日お邪魔したご近所の「イラン レストラン アラジン(Persian Restaurant Aladdin)」のそれと同じニュアンスを感じました。
以上を食べ、軽く飲んでお会計はひとりあたり4千円前後といったところ。ちょっと普通じゃない環境の中で興味深い食事を摂り、しかも結構美味しくて、この支払金額は実にお値打ち。それほど香辛料を使わず素材の持ち味を生かす芸風であり、思いのほか日本人の口に合う気がしました。韓国料理や辛い中国料理よりも余程距離が近い。
次回は大勢で訪れて、アラカルトでもっと色んな種類を試してみたいと思います。
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広尾は初デートに良い街です。謎にハイセンスな雰囲気と下町的な親しみやすさが同居する。飲食店も都内トップクラスの名店が比較的リーズナブルな価格設定に落ち着いています。
- TAIAN TOKYO(タイアン トウキョウ) ←この迫力はやはりフランス料理でないと到達できない。
- ア・ニュ Shohei Shimono ←フレンチをベースとした旨いもの屋。
- Alternative (オルタナティヴ) ←おもろくておいしい料理。
- レストラン アラジン ←記憶がハッキリと残る料理。
- レストランひらまつ ←何度も何度も訪れているのに美味しい。
- マルゴット エ バッチャーレ(Margotto e Baciare) ←あれだけのトリュフ料理とキャビアを食べてこの価格というのはリーズナブル。
- おでこ(au deco) ←フランス料理を食べ込んだ仲間たちでどうぞ。
- コントワール ミサゴ(Comptoir Missago) ←とにかく融通のきく旨いもの屋。
- ヨシダ ハウス(YOSHIDA HOUSE) ←日常に寄り添う究極の普通。
- ポンテ デル ピアット (PONTE DEL PIATTO) ←抜群に旨くてそんなに高くない。
- リストランテ ペガソ(PEGASO) ←接待や綺麗なデートにうってつけ。
- ラ トラットリアッチャ(La Trattoriaccia) ←令和のビスボッチャ。