京都「洋食おがた」のシェフとして腕を鳴らし、東京でも「上野洋食遠山」として成功を収めた遠山忠芳シェフの西麻布のお店「洋食ビストロTOYAMA(とおやま)」。ミシュランではビブグルマンを獲得しています。
店内はカウンター4席にテーブルが12席(写真は公式ウェブサイトより)。シェフのワンオペなのですが、ほぼ満席なのに皿出しのテンポは非常に良く、およそ待たされたという記憶は1ミリもありません。前夜に仕事が遅いタコス屋を訪れたばかりだったので、感動もひとしおです。飲み物につき、シャンパーニュの値付けだけ異常に高いのですが、その他の酒は立地を考えれば良心的な価格設定です。シェフの故郷である熊本のワインや日本酒が充実しており心和みます。
アミューズはカンパチのタルタル。魚の脂が滑らかに旨く、キャビアの塩気でバリっと〆る。先頭打者として見事な活躍を魅せてくれました。
続いてサワラ。熊本で釣り上げてその日のうちに届く極上品で、肌理の細かい味わいに恵比須顔。イチゴの仄かな酸味も心地よいアクセントです。
ガランティーヌには天草大王を起用しています。実に綺麗な味わいであり、こういう料理が冷蔵庫に常備されている生活をおくりたい。
洋食の顔たるメンチカツがやってきました。ナイフを入れると肉汁がジュワリと溢れ出てきます。お肉の部分の美味しさは当然として、濃厚なソース使いもパーフェクト。この時わたしは絶頂を迎えました。
スペシャリテのコンソメロワイヤルスープ。この料理は人類の宝として慈しむべき美味しさですね。濃厚かつエレガントという矛盾した旨さであり、トリュフの起用方法も的確です。この時わたしは絶頂を迎えました。今夜2度目です。
ホワイトアスパラ、芽キャベツ、ホタテ、豚タン。面白い食材の組み合わせですが、奥ゆかしい味わいのソースが全体を上手く取りまとめています。豚タンは熊本の「モンヴェールポーク」というブランド豚を用いているそうです。
パンはシンプルな味わいですが、ソースが後にも先にも濃厚オブ濃厚なので、これぐらいでちょうど良い。これくらいがちょうど良い。メインは牛ホホ肉の煮込み。こちらも洋食のチャンピオンとも言うべき味わいであり、ドッシリとしたクラシカルなソースと共にバリ旨い。それら豊潤な味わいを受け止めるマッシュポテトが名脇役です。
デザートはてんこ盛りのカシスのアイスクリーム(?)にガトーショコラ。当店のスタイルを象徴するボリューム感ならびに味わいであり、最後の最後まで本当に楽しませて頂きました。
コーヒーでフィニッシュ。ごちそうさまでした。素晴らしいお店でした。このクオリティの料理がジャンジャン出てくるコースが12,500円とは恐れ入る。酒の値付けも含めて西麻布の良心とも言うべき存在であり、全てにおいて誠実さが感じられる食体験。アラカルトの注文も可能なようなので、次回は大食いフレンズと共に全種類制覇の勢いで注文したいと思います。オススメ!
関連記事
六本木は難しい街です。おっと思えるリーズナブルな店から、高くてギラギラしてるだけのハリボテのようなお店も多い。私が好きなお店は下記の通りです。
- ビストロ マ・キュイジーヌ (BISTRO Ma Cuisine) ←六本木でビストロと言えば当店で決まり。
- 洋食ビストロTOYAMA(とおやま) ←全てにおいて誠実さが感じられる食体験。
- ブーケ・ド・フランス (Bouquet de France) ←がっしりと真正直で骨太なフランス料理。
- ル ブルギニオン ←質実剛健これが本物のフランス料理。
- エディション コウジシモムラ ←スペシャリテの牡蠣は必食。
- クッチーナ アッラ バーバ(Cucina alla Baba) ←老眼鏡が必要なほどメニューが豊富。
- ウルフギャング・ステーキハウス ←ランチのハンバーガーが絶品。
- 52(ゴニ) ←六本木深夜メシの決定版。
- ラ スフォリーナ ←六本木のきちんと美味しいイタリアンでこの費用対効果は素晴らしい。
- Reglisse (レグリス) ←謎のコスパの良さ。洋食推しなのも面白い。
- ラ ブリアンツァ ←全体を通して気前が良い。