malca (マルカ)/外苑前

外苑前の「malca (マルカ)」。デビューした瞬間から予約困難な状態が続くイタリアンであり、今や青山界隈を代表するレストランのひとつとなりました。外苑前駅から徒歩5分ほど、外苑西通り沿いに位置する不思議な形の物件の地下1階です。
店内はカウンターに7-8席でと個室が2つ(写真は食べログ公式ページより)。個室と言っても襖のようなパーティションを1枚隔てただけであり、ランチタイムは子連れもOKという運用なので、場の雰囲気は運次第といったところでしょう。ちなみに私の場合、ギャン泣き壁ドン系の子持ち様が個室に居たため、控えめに言って地獄でした。

北野司シェフはあの「TACUBO(タクボ)」出身であり、ご実家は淡路島で鮮魚店を営んでいるとのことで、魚の目利きと神戸牛が当店の主力コンテンツです。スタッフは皆若く元気いっぱいで、ユナイテッドアローズの店員のようです。
ワインはめちゃんこ高い。と言っても値付けが割高というわけではなく、そもそも高めのワインばかりをオンリストしているといった印象です。ミネラルウォーターはコースに込み料金なので、左党と下戸とでは印象がだいぶ異なるかもしれません。
まずは新玉ねぎのムース。これはとっても美味しいアミューズですねえ。玉ねぎよりも玉ねぎの味を濃く感じさせる逸品であり、初っ端から度肝を抜かれる味わいです。
本マグロのタルタル。あの「やま幸」からとっているそうで、イタリアンのお店でそこまでする必要あるかなあと思うのですが、それでもやはり、文句なく美味しかったです。それが「やま幸」。
サワラは表面を軽く炭焼きにしています。なのですが、ヘンな生臭さが残っており、私に供された部分はハッキリ言うと不味かった。個体差かもしれません。
ボッリート。山崎牛というやんごとなき際のブツだそうで、なるほどシンプルな塩ゆでなのにしみじみ旨い。
パスタは手打ちのトレネッテ。平べったく不揃いな造形で、グラデーションのある食感が特長的。こちらもバターを中心としたシンプルな調味なのですが、気前よくぶっかけられたカラスミが旨味を爆発させます。
プッタネスカは具材に旬のホタルイカを起用しており、苦味を含めた独特の旨味が後を引く美味しさです。麺はちょっくらグダついた印象を受けたので、提供されるタイミングが悪かったのかもしれません。
メインは神戸牛。シンプルに炭火焼きしたもので素直に美味しい。
〆は「TACUBO(タクボ)」よろしく食べたい量を指定できるボロネーゼ。お肉たっぷりチーズたっぷりでと気前が良く、炭水化物というよりも肉料理に近い印象を受けました。
デザートはティラミス。といってもティラミスの構成要素の順序を組み替えた代物であり、イマドキなレストランみを感じされる締めくくりでした。
以上のコース料理が1.4万円で、ビールとワインとサービス料でひとりあたり2.5万円といったところ。確かに料理は美味しく、このあたりのイタリアンの支払金額としてはこんなもんかもしれませんが、予約の困難さが叫ばれるほど記憶に残る店かと問われればどうだろう。「TACUBO(タクボ)」の威光を笠に着ている線も多分にあると思います。同時期にひっそりとソロデビューした「Attivo(アッティーボ)」の方が私は断然好きだ。

また、価格の割にヘンにカジュアルで、突発的な動作や声量をコントロールできない子供の入店を認めるという大らかさは、普通に行儀良くしている大人たちが割を食うように感じました。逆に考えると、子供を連れてどんちゃん騒ぎしながら旨いものを腹いっぱい食べたい場合には最適のお店かもしれません。子持ち様は是非どうぞ。

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