2023年8月、洗足池の「オステリア・ダ・ピンチョ」が武蔵小山に移転リニューアルオープン。新店名は「オステリア マキ(OSTERIA MAKI)」と覚えやすい。場所は武蔵小山駅から歩いて数分。1階の整骨院の主張が強く目を奪われますが、その脇のガラス戸を開けた先の階段を昇った2階に位置します。
店内はコンクリート打ちっぱなしでシャープな印象ですが、木のカウンターからは暖かみが感じられます(写真はホットペッパー公式ページより)。席数はゆったり座って7-8席といったところ。
牧健二シェフはイタリアはローマで腕を磨き、帰国後に目黒「マジカ」の厨房を預かった後、独立。楽しいロークで盛り立ててくれる、気さくなあんちゃんです。
アルコールの値付けは良心的で、グラスワインやビールは千円前後であり、スパークリングワインなんて780円です。我々はボトルで臨んだのですが5-6千円台のものも多く、つくづく武蔵小山とは良い街だと思いました。まずは海鮮サラダ。気前の良いサイズ感のエビが組み込まれており私嬉しい。お野菜も実に新鮮で、サラっとしたオリーブオイルの風味が抜群に映えます。
花ズッキーニのフリット。これは「マジカ」時代からの定番メニューですね。外皮はポップな口当たりですが内部は実にジューシー。人の心に真っ直ぐ届く、率直な美味しさです。
アカハタとハマグリのアクアパッツァ。ムチムチとしたお魚とブリンブリンとしたハマグリの食感のコントラストが心地よい。また、アクアパッツァはドデカイポーションで提供されることが多い中、当店はコースにちょうど良い形に整理してくれているのも嬉しいです。
カチョカヴァッロのカツレツ。こちらもシンプルな仕立てではありますが分かり易く美味しい。丸ごと一個、無限に食べ続けたいレベルである。
お肉は和牛のシンシン。7千円のコース料理でこのクオリティの牛肉が登場するとは驚きです。濃いめの赤ワインと共に至福のひととき。ムシャムシャ。
パスタはその日のラインナップから好きなものを選ぶことができるのですが、せっかくなのでローマ料理の定番、カーチョ・エ・ペペをチョイス。パスタはトンナレッリで、ザクザクとした歯ごたえが堪りません。麺そのものの美味しさを心ゆくまで堪能できるひと皿です。
パスタがあまりにも美味しいので追加料金でもうひと皿。お肉たっぷりのボロネーゼ。ほのかに香るシナモンの風味が実に洒落ています。そしてやはり麺がバリ旨い。21:30以降はバー営業となりアラカルトの注文も可能なので、二次会でワイン2-3杯に〆のパスタのような悪魔的な楽しみ方が目論めます。
以上を食べて、けっこう飲んでお会計はひとりあたり1.5万円ほど。普通の飲食量であれば1万円でお釣りがくる設計で、とっても万歳。武蔵小山の住民が羨ましい。
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イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。
- ウシマル(Ushimaru)/山武市(千葉) ←ちょっとした海外旅行に来たような満足感。
- ヴィラ・アイーダ(Villa AiDA)/岩出(和歌山) ←我が心のイタリアン第1位。
- プリズマ(PRISMA)/表参道 ←高価格帯のイタリア料理という意味では東京で一番好きなお店かもしれない。
- 三和(さんわ)/白金台 ←直球勝負で分かり易く美味しい。
- merachi (メラキ)/西麻布 ←質実剛健ながら日本的な繊細な感性も感じられる。
- Il Lato(イル ラート)/新宿三丁目 ←お魚料理のひとつの究極系。
- ヴィンチェロ(Vincero)/新宿御苑 ←どのような大食漢が訪れたとしても満足すること間違いなし。
- リストランテ ラ・バリック トウキョウ(La Barrique Tokyo)/江戸川橋 ←無冠の帝王。
- TACUBO(タクボ)/代官山 ←ポイントは二番手の存在。
- アロマフレスカ(Ristorante Aroma-fresca)/銀座 ←好き嫌いを超えた魅力。普遍性。
- ザ・ひらまつ ホテルズ&リゾーツ 仙石原/箱根 ←最高の家畜体験。
- クッチーナ(CUCINA)/大垣(岐阜) ←何でもアリの旨いもの屋。
- ひまわり食堂/富山市 ←こねくり回すことなく、いま何を食べているのかハッキリとわかる味と量。
イタリア20州の地方料理を、その背景と共に解説したマニアックな本。日本におけるイタリア風料理本とは一線を画す本気度。各州の気候や風土、食文化、伝統料理、特産物にまで言及しているのが素晴らしい。イタリア料理好きであれば一家に一冊、辞書的にどうぞ。