オーベルジュほまち 三國湊(みくにみなと)/福井

北陸新幹線の延伸に沸く北陸地方。この日は福井は三国港近くに開業したばかりの「オーベルジュほまち 三國湊(みくにみなと)」にお邪魔しました。新幹線の芦原温泉駅から車で20分ほどの距離にあり、宿泊客は事前にお願いすれば当駅まで送迎をお願いできます。このあたりにお邪魔するのは「川㐂(かわき)」にカニを食べに来て以来です。
「竹田城 城下町 ホテル EN(えん)」のような分散・滞在型宿泊施設であり、本館とレストラン棟に加えて宿泊棟が三国の町に分散しているというスタイル。ホテル名の「ほまち」は「帆待ち」に由来しており、北前船が良い風を待つ状態を表しているそうです。
レセプションを備えた本館から徒歩数分。我々が滞在する町家に到着しました。このあたりは静かな港町と思いきや、住人同士の仲が非常に良く。町中の至る所でご近所さん同士の井戸端会議が繰り広げられているのが印象的です。本当によくお喋りしている。
我々が滞在したお部屋は大きな建屋の中のひとつの部屋といったところでしょうか。屋根が高いのか低いのかよくわからん誂えが特徴的。床やベッド、キッチンなどは現代風にリノベされています。
江戸時代からの柱や梁を上手く残しており雰囲気があります。コーヒー紅茶はもちろんのこと、冷蔵庫の飲み物も自由に楽しんで良いのが便利です。もちろんこのあたりコンビニはおろか自動販売機なども滅多にないのでそうせざるを得ないのかもしれません。
町家をリノベと言っても寝具は現代人向けにベッドが用意されています。が、シーツがカビっぽいというかなんというか、直截に表現すると臭い。マットレスのサイズも小さめです。
スライドドアの奥にはウェットエリア。誰かがトイレ・洗面台・シャワーのいずれかを使用すれば同居人が他にアクセスできなくなるのは不便ですが、歴史的建築のリノベという意味では仕方ないのかもしれません。
ちなみに本館にはフィットネスルームが併設されており、全十数室という規模の割には頑張ったなあという印象。当館の経営者の愛読書はターザンなのかもしれません。ちなみに本館ではお茶類の他、福井の地酒も無料で楽しむことができます。
夕食はレストラン棟の「タテルヨシノ 三國湊 (Tateru Yoshino Mikuniminato)」へと移動し、フランス料理界隈のスーパースター吉野建がプロデュースするフランス料理を楽しみます。なのですが、そのクオリティは秋元康が晩年になって雑なアイドルグループを名義貸しで乱発するニュアンスに近いものを感じました。やはりシェフ本人が居ないレストランはダメですね。「La BOMBANCE 古宇利島(ラボンバンス)」と同じ現象です。詳細は別記事にて
これはもう不貞寝するしかないと寝支度を整えるのですが、お風呂のお湯は中々でて来ないし、電気を消すと非常灯がビッカビカに眩しいし、シーツは臭いし、冷蔵庫はうるさいし、夜中に2度ホストがガッシャン芸でもやっているのかと思うほどの騒音で起こされたりと、散々な一夜でした。
朝食も皿数こそはそれなりに多いものの、ひと品ひと品がチマチマした量でどうにもケチ臭く感じます。こんなことならひと皿に盛り込んでしまった方が見栄えするのではなかろうか。同じオーベルジュでも「ザ・ひらまつ ホテルズ&リゾーツ 宜野座」とはレベルの違いが際立った朝食でした。
心からガッカリした滞在でした。なんでも今回の取り組みはNTT西日本を中心に地元の有力企業が共同で立ち上げたプロジェクトだそうで、「こういう施設を作るんだ!なぜなら~」と情熱を持って語ることのできる人が居ないように感じました。誰もが及び腰で、割り勘で中途半端な施設を作ってしまった印象です。

やはり「ヴィラ・デラ・パーチェ(VILLA DELLA PACE)」のように、コンセプトに対して狂おしいほどのパッションを持ったオーベルジュが一番ですね。お疲れさまでした。

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