あつあつ リ・カーリカ(Ri.carica)/学芸大学

「リ・カーリカ(Ri.carica)」や「カンティーナ カーリカ・リ」など、学芸大学界隈で成功を収めた「タバッキ」グループが3号店として開業した「あつあつ リ・カーリカ(Ri.carica)」。イタリアの郷土料理と自然派ワインを主軸に据えた店であり、「ノンアルコールドリンクだけの方はご遠慮願います」と、哲学がしっかりしています。
店内はラーメン屋ほどの狭小な間取りであり、オープンキッチンを囲むL字型のカウンター席に立ち飲み席と三密で、サンセバスチャンあたりのバルに雰囲気が似ています。もともとは予約は受け付けないスタイルだったそうですが、開店前から行列するなどてんやわんやな状況が続いたので、現在はネットから予約を受け付けています。
ワインは自然派のものが多く、三田の「アンティカブラチェリアベッリターリア (Antica Braceria Bellitalia)」で作るワインなど意欲的な作品が提供されています。カジュアルな酒場といった雰囲気なのですが、スタッフは皆ワインに係る知識が豊富で、下手な高級店よりも酒の取り扱いレベルが高い。誰に聞いても自分の言葉できちんと説明できるのは本当に素晴らしいです。
「ホタルイカとふきのとう 穀物のサラダ」は、ホタルイカが気前良く放り込まれており、ふきのとうの独特の苦味と相俟ってワインのツマミに最適。
「放牧黒豚のパテドカンパーニュ」は定番の味わいで安定した美味しさ。ちょっとサイズが小さいかな。当店の料理は全体的にポーションが小さめなので、勢いよくジャンジャン注文すると良いでしょう。
「鹿のスコッタート」は鹿肉の表面を炭火で炙ったタタキのような料理。鉄分たっぷりで綺麗な鹿肉を旨味の強いチーズと共に頂きます。ややもするとマグロの刺身のようなエレガントさを湛えるひと皿です。
「里芋とゴルゴンゾーラのフリコ」はフリウリ地方の郷土料理でジャガイモを用いたパンケーキのような料理。当店では里芋を用いてネッチャリ感を演出します。ゴルゴンゾーラの青カビの風味が酒を呼ぶ。
「ローストトマトとバターのタヤリン」はバターっぽいベタっとした味わいを覚悟していたのですが、トマトの酸味がオシャレにきいていて嬉しい誤算。
他方、「サバの赤ワイン煮 スパゲティ」はもっと赤ワイン赤ワインした方向性かと思いきや、サバの味わいを全面に押し出したひと品であり、サバそのものの旨味が強い。パスタながらワインがとてもよく進みます。
お腹に余裕があったので「黒豚サルシッチャとプチヴェール」も注文。プチヴェールは軽く炙って甘味を増しており、サルシッチャの塩気と共にスポーティな味わい。

それにしても当店の料理人は仕事が早いなあ。店内じゅうのゲストからアラカルトでバランバランに注文が津波のように押し寄せて来るのに、誰も待たせることなくバババとタスクを捌いています。料理の追加注文はNGで、パスタは19時きっかりにならないと調理に着手しないという謎運用店はコチラで研修すると良いでしょう。
お会計はひとりあたり1.5万円。これは派手に飲み食いした結果であり、普通の飲食量であれば7-8千円ほどに落ち着きそう。店構えはカジュアルですが料理は本格派。こういう店にフラっと予約ナシで訪れてパっと食べて帰るみたいな運用を可能とするご近所住まいが羨ましい。

一方で、イキリの入った我が物顔の常連客が多く、店内のゲスト全員に演説するかのような調子で大声で語り合う態度は取り締まって欲しいところですが、まあ、お店のコンセプトを考えれば仕方がないことなのかもしれません。次回は私もイキってみようと思います。ククク。

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