飲み喰い処 小やじ(こやじ)/泉崎(那覇)

牧志の「飯ト寿 小やじ(めしとことぶき こやじ)」が魅力的な酒場だったので、間を空けずしてその総本山たる「飲み喰い処 小やじ(こやじ)」へと向かいます。場所は泉崎で、那覇市役所のすぐ近くです。
店内はカウンターが8席にテーブルが2卓。ちょっとした小上がりもあります。これぞ居酒屋といった風情を湛えた内装ですが、BGMはアメリカーの歌謡曲が中心でした。
沖縄では珍しく東北地方の料理を多く取り扱っており、彼の地の日本酒も豊富です。私は墨廼江のものを1合お願いしたのですが、確か1合で800円もしなかった。
お通しは玉こんにゃく。「たまこん」の愛称で知られる山形の県民食であり、しっかりと味が沁みてしみじみ旨い。私は大学時代に友人7人と免許合宿で山形に2週間ほど滞在した経験があり、あの日々はとても楽しかった。
閑話休題。真ダコと春菊のサラダ。真ダコ特有の旨味と春菊の苦味が良く合う。しっかり野菜なのですが不思議と酒にも良く合う魅力的なサラダです。
ホタルイカとうるいの酢味噌。こちらもそれぞれの食材の苦味を活用しており、仕上げに味噌の旨味と酢の酸で整える。日本酒をおかわりだ!
アボカドは「あけがらし」と共に頂きます。「あけがらし」とは山形の「山一醤油製造所」に伝わる伝統的な食品であり、仄かに辛味を湛えた味噌っぽい発酵食品です。山形ではゴハンにのせて食べたり、そのままダイレクトに酒のツマミにするそうです。
東北特集で参りましょう。こちらは「定義山三角油揚げ焼き」。仙台市青葉区の定義山の名物であり、その名の通り三角の形をした油揚げです。角の形をした油揚げの味がしました。
ブロッコリーの唐揚げ。衣を付けて揚げており、下味がついているのかブロッコリーなのにとてもお酒が進みます。みんなポテトチップスじゃなくてブロッコリーにすれば健康になれるのに。
名物の「厚切り牛タン炭焼き」。他のツマミがひと品600-700円のレンジに収まる中、こちらはひと皿で2,580円とラグジュアリー。もちろん牛タンとは高価な食材であり焼肉屋で同等のものを食べることを考えれば妥当な価格設定でしょう。炭火でじっくりと丁寧に焼かれており白ごはんが欲しくなります。
隣のおっちゃんが食べていた焼いたサバが旨そうだったので、我々は棒寿司として頂きます。バリっと焼けた香ばしい皮目に脂を湛えたジューシーな身。居酒屋の〆の食事としていは最高峰の美味しさです。
山形風の田舎蕎麦も旨そうだったので追加で注文。うどんもかくやと思わせる極太の麺であり、ガシガシワシワシと激しい食感。更科そばとは全く方向性の異なるパワフルなおそばです。
以上を2人で食べ、軽く飲んでお会計はひとりあたり5-6千円といったところ。「厚切り牛タン炭焼き」が一撃で支払金額を底上げしているので、普通に飲み食いするのであれば5千円を切ることでしょう。東京で食べれば7-8千円は覚悟すべきクオリティであり、東北料理ながら沖縄の美点を凝縮した酒場です。牧志の「飯ト寿 小やじ(めしとことぶき こやじ)」とはまた少し方向性が違うのも良いですね。次回は2号店の「パーラー小やじ」に行ってみよう。

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寒い季節は沖縄で暮らしているので、旅行やゴルフだけで沖縄に来る人よりかは一歩踏み込んでいるつもりです。沖縄の人ってネットに書き込みしないから、内地の人が知らない名店が結構多いです。
沖縄通を気取るなら必ず読んでおくべき、大迫力の一冊。米軍統治時代は決して歴史のお話ではなく、今の今まで地続きで繋がっていることが良くます。米軍の倉庫からかっぱらいを続ける悪ガキたちが警官になり、教師になり、ヤクザになり、そしてテロリストへ。沖縄戦後史の重要な事件を織り交ぜながら展開する圧巻のストーリー構成。オススメです。