日本料理 行雲(こううん)/首里(那覇)

2022年にオープンした「行雲(こううん)」。場所は首里で、儀保の交差点から浦添方面に向かう坂道沿いにあります。沖縄では珍しい本格派の日本料理店です。
ビシっとした空間づうくりに思わず背筋が伸びます。カウンター6席のみの小さなお店であり、昼と夜は同一メニュー。店主は京都で経験を積んだそうです。
アルコールにつき、日本のクラフトビールは1,000円。薄張りのグラスで口当たりが心地よい。日本酒は1合1,300-1,500円あたりのレンジが多かった。
春を感じさせる先付。お出汁のジュレの向こう側には春キャベツがたっぷり盛り付けられており、自然な甘味が後を引く美味しさです。
お椀が具沢山で、とりわけハマグリの迫力に圧倒されました。グニグニとした独特の食感が楽しく、まるで肉を食べているかのようです。
お造りが圧巻。筋肉質なタイと水のように滑らかな質感のイカ。醤油だけでなく塩水で食べるという試みも面白い。
八寸も華やかで、酒が進むものばかりなのも嬉しい。右端の玉子焼き(蒸し?)は緻密な舌ざわりで絶品と評すべき味覚です。
白エビの天ぷら。サクサクとした口当たりに品の良い甘味が特長的なのですが、そこへカラスミをブワっと削り、あァン美味しい。白ごはんに乗っけて丼にしてしまいたいぜ。
太刀魚はフカフカのフワフワで羽毛布団のように軽い。雑な塩焼きで食べることが多い塩焼きですが、懇切丁寧に調理されれば優雅なひと品へと昇華するのだ。
炊き合わせにタケノコのしんじょう。冒頭の春キャベツに始まり、徹頭徹尾、季節を感じさせるラインナップが嬉しいですね。旬を楽しむ生活はどんな装飾品よりも価値がある。
〆のお食事は桜海老ごはん。このビジュには思わず歓声が上がり、撮影会が始まってしまいます。
そのまま食べてもちろん美味しいし、タレに漬け込んだ卵にカラスミを削りかけるという精神的贅沢な極みで絶頂に達します。またひとつ罪を重ねてしまいました。
甘味は上質なイチゴを白あんで分厚くコーティング。濃厚なイチゴの風味も白あんの上品な甘味で閉じ込めます。
お茶を点てて頂きごちそうさまでした。以上のコース料理が8,800円で、ちょっと信じがたい価格設定です。家賃や人件費だけでは説明のつかない費用対効果の良さに思わずニコニコしてしまいますが、同時に飲んで食べて5万円は当たり前の東京の和食界隈に失望の念を禁じえない。問題はそれを生み出すシステムだ。

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沖縄通を気取るなら必ず読んでおくべき、大迫力の一冊。米軍統治時代は決して歴史のお話ではなく、今の今まで地続きで繋がっていることが良くます。米軍の倉庫からかっぱらいを続ける悪ガキたちが警官になり、教師になり、ヤクザになり、そしてテロリストへ。沖縄戦後史の重要な事件を織り交ぜながら展開する圧巻のストーリー構成。オススメです。